画は 再掲ですが 拙作にて
「幻想 夜の梅」です。
油彩 F10号
☆晴れ、気温低め。
戦略的水入り なんだろう、
◆https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/11031
長周新聞 2019年3月1日
◎米朝首脳会談 双方譲らず 合意先送り
「終戦 宣言」見据えて 進む経済協力構想
ベトナムの首都ハノイで2月27、28日、第2回目の
米朝首脳会談がおこなわれた。
昨年6月12日、シンガポールで開催された史上初の
米朝首脳会談から約8カ月を経て迎えた今回の首脳会談は、
主な合意事項として、朝鮮戦争の終戦宣言が盛り込まれる
ことが注目されたが、共同声明の署名式が直前で中止となり、
新たな合意は次回に持ち越された。
ただトランプ自身は「決裂ではない」と強調しており、
合意先送りの背景には、旧来の覇権主義にしがみついて
「非核化」での妥協を許さない
米国内の 対北朝鮮強硬派の圧力 があるとみられる。
トランプ大統領と金正恩労働党委員長による首脳会談は
27日夜の夕食会から始まり、冒頭では
「たくさんの問題が解決される ことを願う。
長期的に見て 素晴らしい状況を生むだろう」(トランプ)、
「すべての人が喜ぶ 立派な結果を作れると確信する」(金)
と成果を予言する一幕もあったが、
2日目の会談は予定よりも2時間早く終わり、
当初予定されていた共同声明の署名式はおこなわれなかった。
今回の会談に先立ってハノイでは、米国のスティーブン・ビーガン
北朝鮮政策特別代表と 北朝鮮の金革哲(キム・ヒョクチョル)
対米特別代表 による事前協議が5日間おこなわれた。
そこでは、シンガポール共同声明の具体化として、
「朝鮮戦争の終結を意味する 平和宣言に署名する」
「北朝鮮は朝鮮戦争で死亡した 米軍の遺骨の追加送還に同意する」
「双方が国内に 連絡事務所を設置する」
「北朝鮮が寧辺核施設を閉鎖する ことに応え、
南北の経済協力が促進するように 米国が国連安保理で
対北朝鮮制裁の一部緩和 を推進する」
ことを決めたという情報も流れており、
署名すれば 両国のみならず東アジア全体にとって画期的なインパクト
を与えるものと見られていた。
南北経済協力の早期再開を望む韓国は、制裁によって中断状態にある
金剛山観光や 開城工業団地の再開 への意欲を示し、
中国も「制裁の一部緩和や解除のような 前向きな措置を打ち出せれば、
(非核化)プロセスに役立つ」(陸慷報道局長)と表明し、
制裁緩和を通じて 経済立て直しを支援する姿勢を鮮明にした。
北朝鮮と「鉄道 拡大化事業」の契約を締結したロシアも、
米朝首脳会談後に、食料や繊維、鉄道事業の分野での
制裁緩和を 国連安保理に提案する計画である ことを表明するなど、
周辺国も 前のめりな姿勢を見せていた。
一方、米国が重きを置いた「非核化」交渉は膠着せざるを得なかった。
シンガポール会談後、共同声明文にはなかった
「CVID(完全で検証可能かつ 不可逆的な非核化)」
を要求し始めた米国に対し、北朝鮮は、
ミサイル発射や核実験・開発の廃止、豊渓里核実験場の爆破や、
朝鮮戦争当時の米軍遺骸の送還に加え、
昨年9月には ICBM(大陸間弾道ミサイル)の開発拠点だった
東倉里ミサイル試験場の 永久廃棄を表明するなど、
米朝合意の履行を進めてきた。
同時に、韓国をはじめ、中ロなど周辺国との交渉を加速させ、
既存の保有核については棚上げする コンセンサスをとりつけている。
そもそも北朝鮮の核問題は、核による恫喝で
北朝鮮の体制転換を目指してきた米国と 北朝鮮との二国間問題であり、
米国が北朝鮮の安全を保証する譲歩をしない限り、
北朝鮮がみずから進んで丸腰になることはありえない。
唯一の核兵器使用国であり、なおかつ核大国である米国の
核戦略を棚上げにして、北朝鮮のみに「非核化」を求めるなら
状況は後戻りするほかない。
米国の核による一方的な脅し が通用しなくなった段階で
対話へ進んだ経緯を見ても、一方的なCVID要求が進展するメドはなく、
米国が態度を硬化させればさせるほど、
朝鮮半島融和プログラムは 米国抜きの枠組みで進んでいく関係にある。
現に、ロシアのラブロフ外相は2月25日、ベトナム・ホーチミンで
「少なくとも国連安保理は 南北の共同事業の実現を妨げるような制裁
については 緩和や解除ができる」と主張し、
翌26日には 中国浙江省で王毅国務委員兼外相と会談して
対北政策で足並みを揃える動きを見せている。
トランプみずからが下した判断によって シンガポール会談が実現し、
南北融和が東アジアの既定路線 となるなかで、
米国が朝鮮半島で生まれる 新たな経済利権を手放したくなければ、
米朝の和解交渉は 後戻りさせることはできない段階に踏み込んでいる
のが現実といえる。
トランプ自身も会談後、非核化と制裁解除をめぐる
双方の条件が折り合わなかったことに言及しつつ、
「金正恩はよき友人だ。 北朝鮮の潜在力は 非常に魅力的だ」
「決裂ではなく、友好的だからこその 判断だ」
「合意の見送りは一方的な決断ではない。これからも関係は維持する。
これまで北朝鮮側の代表と非常によい関係を構築してきた。
これは歴代大統領が誰もできなかったことだ」と友好関係を強調した。
「決裂」しながらも 制裁の強化や軍事訓練の実施を否定しており、
両者の関係がはっきりあらわれている。
同時に、今回の合意先送りは、トランプ側の都合を強く反映したもの
であることをうかがわせた。
米朝首脳会談初日の米国では、米国議会がハノイ会談にあわせるように
トランプの元個人弁護士であったマイケル・コーエン(偽証罪で収監中)
を下院監視委員会の公聴会に招致し、
大統領選過程で、ロシアが内部告発サイト「ウィキリークス」を通じて
ヒラリー・クリントンのスキャンダルを流した という疑惑に
トランプ自身が関与していたことをうかがわせる証言 をおこなわせた。
3日間の公聴会のうち2月27日の証人喚問だけが公開され、
それをCNNをはじめ地上波3大メディアがテレビ中継するなどの
「一大イベント」に祭り上げたことも、
米朝会談の進展を好まない米国内強行派 の思惑を感じさせる動きとなった。
安倍首相は「非核化を実現する強い決意のもと、
安易な譲歩をおこなわなかったトランプ大統領の決断を
全面的に支持する」とのべ、
メディアも「非核化で 米が譲歩しなかった」
「トランプが 北朝鮮の要求を蹴った」
と米国メディアの側からの評価に明け暮れているが、
その逆に 北朝鮮も安易に譲歩しなかったことを示した。
会談をめぐる一連の動きは、弱体化する米国覇権 の外側で
激しく流動変化する東アジア の新しい力関係を示している。
再掲ですが、拙作二枚目、
「娘と紅梅 廣重風」です。 水彩 32cm x 40cm 紙
暗闘、
◆https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201903010000/
櫻井ジャーナル 2019.03.01
◎米支配層の不正 を隠し、
米露の軍事的緊張を高める ロシアゲートの茶番劇
ベトナムでドナルド・トランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長が
会談していた2月27日、アメリカ下院管理委員会の公聴会に
トランプの顧問弁護士だったマイケル・コーエンが登場した。
「ロシアゲート」に関する爆弾発言をすると
議員や有力メディアがかつて宣伝していた人物だが、何も出てこなかった。
「羊頭を掲げて 狗肉を売る」だ。
今回も売られたのは狗肉。 茶番だった。
コーエンは冒頭の声明でトランプの悪口を書いていたが、
ロシアとのスキャンダルと言えるようなものは含まれていなかった。
人種差別主義者で口が上手く詐欺師だというのだが、
個人的な感想を並べただけで何の意味もない。
それで有力メディアは騒いだのかもしれない。
ロシアとトランプとの関係についての話は、
2016年7月にトランプの事務所にいたときにロジャー・ストーンから
電話が入り、ウィキリークスのジュリアン・アッサンジから
数日後にヒラリー・クリントンの選挙運動に
大きなダメージを与える電子メールを公表すると知らされた
と連絡してきたという話くらいだ。
記者を含め、この程度の情報を知らされていた人は少なくないだろう。
ちなみにストーンは今年(2019年)1月25日、
ロバート・マラー特別検察官の捜査に絡んで逮捕されたが、
本人は無罪を主張している。
ロシアゲート疑惑の開幕は アダム・シッフ下院議員が
2017年3月に下院情報委員会で告げた。
2016年の大統領選挙にロシアが介入したとする声明を出したのだが、
証拠は何もなかった。 それにもかかわらず、
その年の5月にロバート・マラーが特別検察官に任命されたのである。
アメリカの支配層は 2015年の段階でヒラリー・クリントンを
次期大統領に内定していた と言われている。
その根拠のひとつは、2015年6月11日から14日にかけて
オーストリアで開かれたビルダーバーグ・グループの会合に
☆https://bilderbergmeetings.org/participants2015.html
ジム・メッシナというヒラリー・クリントンの旧友が
出席していたからだ。(このグループについての説明は割愛する)
アメリカの選挙は資金力が物を言う仕組みになっていて、
支配層に選ばれた人物が当選する確率が高い。
選挙制度は そうした支配層のカネにどっぷりつかった
民主党や共和党が優遇される ようになっている。
それだけでなく、投票が不正操作されている疑い も指摘されていた。
例えば、裁判所が当選者を決めた2000年の大統領選挙。
選ばれたのはネオコンに担がれた ジョージ・W・ブッシュだった。
この選挙ではバタフライ型投票用紙 などが原因で開票作業は混乱、
通信社のAPが「スーパー代議員
(上位代議員、あるいは特別代議員と訳されている)」の
投票予測でクリントンが圧倒、勝利は確定していると宣伝して
ブッシュ当選の雰囲気が作られた ことでも話題になった。
2016年の選挙を前に アメリカでは投票の電子化が進み、
不正は容易になった と指摘されていた。
ヒラリー・クリントンを当選させるために
不正システムが使われるのではないかと懸念されていたのだ。
(つづく)
バラク・オバマ大統領はロシアとの関係を悪化させる政策を
推進していたが、クリントンはその政策を継承、
核戦争も辞さない姿勢を示していた。
それに異を唱えたのが民主党ではバーニー・サンダース、
そして共和党のドナルド・トランプだ。
本ブログでも繰り返し書いてきたが、選挙の風向きが変化したのは
2016年2月3日のこと。 ヘンリー・キッシンジャーがモスクワを訪問、
ウラジミル・プーチンと会談したのだ。
そして3月からウィキリークスは ヒラリー・クリントンの
電子メールを公表しはじめる。
☆https://wikileaks.org/clinton-emails/
7月22日にはDNC(民主党全国委員会)の電子メールも
明らかにされるのだが、その中には、
民主党の幹部へ バーニー・サンダースが同党の大統領候補になる
ことを妨害するよう求めるもの も含まれていた。
民主党の幹部やクリントン陣営は トランプの前に
サンダースを潰しにかかったのだ。 それが発覚した。
この電子メールはハッキングされたと主張する人もいるが、
データの分析からハッキングではなく
内部でダウンロードされたと推測する専門家は少なくない。
7月10日に射殺されたDNCのスタッフ、セス・リッチが
ウィキリークスへ渡したと考える人もいる。
警察は強盗がリッチを殺したと発表しているが、
それに納得できなかったリッチの両親は
元殺人課刑事の私立探偵リッチ・ウィーラーを雇って調査を始める。
この探偵によると、セスはウィキリークスと連絡を取り合い、
DNC幹部の間で2015年1月から16年5月までの期間に遣り取りされた
4万4053通の電子メールと1万7761通の添付ファイルが
セスからウィキリークスへ渡されているとしている。
のちにウィラーガーが 雇い主に無断で調査結果を外部で話した
ことが問題になり、情報は出なくなった。
電子メールの件では国務長官時代のクリントンが
機密情報の取り扱いに関する法規に批判した可能性が指摘され、
FBIが捜査したのだが、ジェームズ・コミーFBI長官は取り扱いが
「きわめて軽率」だと認めたが、不起訴にした。
☆https://www.fbi.gov/news/pressrel/press-releases/
statement-by-fbi-director-james-b-comey-on-the-investigation-
of-secretary-hillary-clinton2019s-use-of-a-personal-e-mail-system
声明の中に出てくる「きわめて軽率(Extremely Careless)」
という表現は元々「非常に怠慢(Grossly Negligent)」だった
とされている。 それが書き換えられた。
「非常に怠慢」だと認められた場合、罰金、あるいは10年以下の懲役
が科せられるため、表現を変えたと見られている。
クリントンが3万2000件近い電子メールを消去してしまったことも
不起訴の理由として挙げられているのだが、
全てのメールはNSAが記録しているので理由にならない。
この件をFBIは封印したいのだ。
最近、アンドリュー・マッケイブ元FBI副長官は
新たなFBIの 反トランプ工作を明らかにした。
2017年5月にトランプ大統領が ジェームズ・コミーFBI長官を解任した後、
彼は同僚と ドナルド・トランプ大統領をホワイトハウスから追放する謀議
を行ったというのだ。
そのほかにも民主党やクリントンだけでなく CIA、FBI、司法省などが
トランプをターゲットにした秘密工作を展開していた
ことは本ブログでも繰り返し書いてきた。
アメリカ支配層が 執拗にロシア攻撃を続けている最大の理由は
破綻した世界制覇プランを 再び軌道に乗せるためだろう。
そのプランは 1992年2月に 国防総省のDPG草案 という形で作成された。
当時のアメリカ大統領はジョージ・H・W・ブッシュ、
国防長官がディック・チェイニー、国防次官がポール・ウォルフォウィッツ。
ウォルフォウィッツが中心になって書き上げられたことから
ウォルフォウィッツ・ドクトリンとも呼ばれている。
そのドクトリンが作成される直前、1991年12月にソ連が消滅した。
アメリカが唯一の超大国になったと認識した彼らは
潜在的なライバルを潰し、資源を独占しようとしたのだが、
そのプランは21世紀に入ってウラジミル・プーチンが
ロシアを再独立させたことで狂った。
まだロシアの経済は アメリカやイギリスの巨大金融資本に支配されているが、
それでも 外交や安全保障はプーチンたちが取り戻した。
ネオコンのような勢力は 世界制覇の実現という夢を捨てていない。
そのためにはロシアを再植民地化し、ライバル化しつつある中国も
潰さなければならないというわけだ。
ユーラシア大陸の沿岸部分を支配して 内陸部を締め上げる
という長期戦略も継続している。
中期戦略から見ても長期戦略から見ても、
彼らは中東を手放そうとはしないはずだ。
朝鮮半島を含む東アジアが経済活動で結びつくことも
アメリカ支配層は許さない。
日本はその手先として働かされるだろう。
そうした視点からトランプ大統領と金委員長のハノイ会談を見る必要がある。
(了)
再掲ですが、拙作三枚目、
「幻光Ⅱ(杉山寧 風)」です。 水彩 32cm x 40cm 紙
遺言ドーリとなるか?
◆https://toyokeizai.net/articles/-/179383
東洋経済オンライン 2017/07/07
◎中国「三峡ダム」が 直面している 巨大な危機
最悪の場合には 上海の都市機能が麻痺する
「ニューズウィーク 日本版」 ウェブ編集部
四川省で起きた大規模な山崩れは、本当に大雨だけが原因なのか。
世界最大の三峡ダムが一帯で大地震を頻発させている
という指摘があり、さらには砂礫により、
ダムそのものも 機能不全に陥っている
6月24日、中国・四川省で大規模な山崩れが発生した。
中国メディアによれば、住宅62戸が土砂に埋まり、
120人以上が生き埋めになったという。
山崩れの現場は、四川大地震と同じ場所であり、
ここ数日、大雨が降りつづいて地盤が緩んでいたことが原因だとされる。
だが原因はそれほど単純なものではないだろう。
2008年5月に発生した四川大地震は マグニチュード7.9を記録し、
甚大な被害をもたらした。
震源地近くでは地表に 7メートルの段差が現れ、
破壊力は 阪神・淡路大震災の約30倍 であった。
専門家は、四川盆地の北西の端にかかる約300キロにわたる
龍門山断層帯の一部がずれたために起きたと分析し、
これによって地質変動が起こり、龍門山断層帯は新たな活動期に入った
と指摘している。
今後、さらに大規模な地震が発生する可能性が高いのである。
四川盆地はもともと標高5000メートル級の山々がつらなる
チベット高原から 急勾配で下った場所に位置する
標高500メートル程度の盆地で、
ユーラシア・プレートと 揚子江プレートの境界線の上にあり、
大小さまざまな断層帯が 複雑に入り組む地震の多発地帯である。
それに加えて、最近の中国の研究では、
地震発生の原因のひとつは 「三峡ダム」の巨大な水圧 ではないか
との指摘がある。
ダムの貯水池にためた水の重圧と、地面から地下に沁みこんだ水が
断層に達することで、断層がずれやすくなったという分析である。
☆建設中から数々の難題、天気や地震にまで 悪影響
三峡ダムは、中国政府が「百年の大計」として
鳴り物入りで建設した 世界最大のダムである。
16年の歳月を費やして、四川省重慶市から 湖北省宜昌市にいたる
長江の中流域の中でも、とくに水流が激しい「三峡」
と呼ばれる場所に建設された。 竣工は2009年だ。
ダムは 70万キロワットの発電機32台 を擁し、
総発電量2250万キロワットを誇り、当初の計画では、
湖北、河南、湖南、上海、広東など主要な大都市に電力が供給され、
全中国の年間消費エネルギーの1割を供給でき、
慢性的な電力不足の解消に 役立つはずだった。
だが、建設中から数々の難題が生じた。
まず「汚職の温床」と化した。
総工費2000億元のうち 34億元が汚職や賄賂に消えた。
国民の多大な犠牲も強いた。
はじめに地域住民約110万人が立ち退きを迫られ、
強制的に荒地へ移住させられて 貧困化し、10万人が流民になった。
李白、杜甫、白楽天などの詩に歌われた
1000カ所以上もの文化財と美しい景観が水没し、
魚類の生態系が破壊され、希少動物の河イルカ(ヨウコウイルカ)が絶滅
したことは、中国内外で議論の的になった。
そればかりではない。四川大地震が発生した同じ2008年、
竣工を目前に控えた三峡ダムで 試験的に貯水が開始されると、
下流域で がけ崩れと地滑りが頻発した。
この年の9月までに発生したがけ崩れと地滑りは、合計32カ所、
総距離33キロに達し、崩れた土砂の量は約2億立方メートルにのぼった。
その後の調査で、地盤の変形などが合計5286カ所見つかり、
大きなひずみが生じていることが判明した。
ダムの構造物や防水壁には 約1万カ所の亀裂が見つかり、補修に奔走した。
そして2009年、三峡ダムが完成すると、
今度は 気候不順が起きた。
貯水池にためた膨大な量の水が蒸発して 大気中にとどまり、
濃霧、長雨、豪雨などが発生するようになったのだ。
気候不順は年々激しくなり、2013年までに、
南雪災害、西南干ばつなどの災害が相次いだ。
2016年にも豪雨による洪水が発生。
エルニーニョ現象が原因だとされたが、死者、行方不明者は128人にのぼり、
中下流域で130万人が避難を余儀なくされた。
大地震が次々に起きた。
2008年の四川大地震以外にも、汶川大地震、青海省大地震など、
毎年のように大小の地震が発生した。
2014年には、三峡ダムから約30キロ上流にある湖北省で
マグニチュード4.7の地震が 連続して2度起きている。
総じてみれば、人工物である三峡ダムが
天気や地震にまで影響を及ぼすとは、
まるで信じられないような話ではある。
☆水が流れず、貯水できず、解決策も見いだせない
だが、三峡ダムにとって、さらに深刻な事態がもちあがっている。
長江上流から流れて来る砂礫で、ダムがほぼ機能不全に陥り、
危機的状況にあることだ。
怒涛のように押し寄せる大量の砂礫で
貯水池が埋まり、アオコが発生してヘドロ状態になっている。
ヘドロは雑草や発泡スチロールなどのゴミと一体になり、
ダムの水門を詰まらせた。
ゴミの堆積物は5万平方メートル、高さ60センチに達し、
水面にたまったゴミの上を歩ける場所があるほど だという。
地元では環境団体などが毎日3000トンのゴミを掻き出しているが、
お手上げ状態だとされる。
重慶市でも、押し寄せる砂礫で長江の水深が浅くなった。
水底から取り除いた砂礫は50メートルも積みあがった。
重慶大橋付近の川幅はもともと420メートルあったが、
橋脚が砂礫に埋もれて砂州となり、
今では川幅が約半分の240メートルに狭まっている。
大型船舶の航行にも 著しい支障をきたしている。
水が流れず、貯水できないダムなど 何の役にも立たないが、
三峡ダムが周囲に及ぼす悪影響は、この先、
増えることはあっても減ることはないだろう。
中国政府も技術者も根本的な解決策を見いだせず、
すでに匙を投げてしまっているからだ。
だれも責任を取ろうとする者がいないまま、
今も三峡ダムは放置されている。
☆著名な水利学者の 遺言「ダムは 10年もたない」
もし三峡ダムが地震の原因のひとつであるなら、
今後さらに四川大地震のような大規模な地震が起きる可能性があるだろう。
そして大地震が発生したとき、原因を作った「瀕死」の三峡ダムは、
果たして持ち堪えられるだろうか?
万一、ダムが決壊するようなことがあれば、
長江流域の広大な土地が 洪水に見舞われ、穀倉地帯は壊滅して、
数千万人の犠牲者が出るだろう。
長江の河口部にある上海では都市機能が完全に麻痺し、
市民の飲み水すら枯渇してしまう。
そんな事態は想像するだけでも恐ろしい。
三峡ダムが建設された当初、中国政府は「千年はもつ」と豪語したが、
数々の難題が発覚して、わずか数年で「百年もつ」とトーンダウンした。
今日、巷では「10年 もつのか」と危ぶむ声がある。
「10年」と区切るのは、かつて三峡ダムの建設に反対した
著名な水利学者、清華大学の故・黄万里教授の言葉に由来している。
戦前、アメリカのイリノイ大学で博士号を取得した黄教授は、
建国間もない中国で 黄河ダム建設の計画が進められたときに強く反対し、
毛沢東から「右派」の烙印を押されて 22年間の強制労働に追われた。
1980年代に名誉回復した後、
長江の三峡ダム建設が国家の議題にのぼると、
中国政府に6度も上申書を提出して反対したが、
鄧小平と李鵬首相(当時)に無視された。
黄教授が反対した理由は、
21世紀の今日、私たちが直面している危機的状況を言い当てた
からにほかならない。
そして「もしダムを強硬に建設したら、10年もたないだろう」
と警告した。
2001年8月、黄教授は病床で家族に向かって三峡ダムを見守りつづけるように
と告げ、「どうにも立ち行かなくなったら、破壊するより方法はない」
と遺言を残した。 享年90。
中国の「水利事業の 良心」と称えられる伝説的な人物である。
もし「10年もたない」とすれば、期限は2019年だ。
あと2年で三峡ダムは決壊するかもしれないのだ。
タイムリミットは刻一刻と近づきつつある。
唯一の解決策は、黄教授の遺言通り、人間の手で破壊することだけなのだろうか。
譚璐美(タン・ロミ):
作家。東京生まれ、慶應義塾大学卒業、ニューヨーク在住。
↑
共産支那も 「持て余し状態」か。
まさに「腐海支那」は、「寄生虫にして疫病神」ですなぁ。
「幻想 夜の梅」です。
油彩 F10号
☆晴れ、気温低め。
戦略的水入り なんだろう、
◆https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/11031
長周新聞 2019年3月1日
◎米朝首脳会談 双方譲らず 合意先送り
「終戦 宣言」見据えて 進む経済協力構想
ベトナムの首都ハノイで2月27、28日、第2回目の
米朝首脳会談がおこなわれた。
昨年6月12日、シンガポールで開催された史上初の
米朝首脳会談から約8カ月を経て迎えた今回の首脳会談は、
主な合意事項として、朝鮮戦争の終戦宣言が盛り込まれる
ことが注目されたが、共同声明の署名式が直前で中止となり、
新たな合意は次回に持ち越された。
ただトランプ自身は「決裂ではない」と強調しており、
合意先送りの背景には、旧来の覇権主義にしがみついて
「非核化」での妥協を許さない
米国内の 対北朝鮮強硬派の圧力 があるとみられる。
トランプ大統領と金正恩労働党委員長による首脳会談は
27日夜の夕食会から始まり、冒頭では
「たくさんの問題が解決される ことを願う。
長期的に見て 素晴らしい状況を生むだろう」(トランプ)、
「すべての人が喜ぶ 立派な結果を作れると確信する」(金)
と成果を予言する一幕もあったが、
2日目の会談は予定よりも2時間早く終わり、
当初予定されていた共同声明の署名式はおこなわれなかった。
今回の会談に先立ってハノイでは、米国のスティーブン・ビーガン
北朝鮮政策特別代表と 北朝鮮の金革哲(キム・ヒョクチョル)
対米特別代表 による事前協議が5日間おこなわれた。
そこでは、シンガポール共同声明の具体化として、
「朝鮮戦争の終結を意味する 平和宣言に署名する」
「北朝鮮は朝鮮戦争で死亡した 米軍の遺骨の追加送還に同意する」
「双方が国内に 連絡事務所を設置する」
「北朝鮮が寧辺核施設を閉鎖する ことに応え、
南北の経済協力が促進するように 米国が国連安保理で
対北朝鮮制裁の一部緩和 を推進する」
ことを決めたという情報も流れており、
署名すれば 両国のみならず東アジア全体にとって画期的なインパクト
を与えるものと見られていた。
南北経済協力の早期再開を望む韓国は、制裁によって中断状態にある
金剛山観光や 開城工業団地の再開 への意欲を示し、
中国も「制裁の一部緩和や解除のような 前向きな措置を打ち出せれば、
(非核化)プロセスに役立つ」(陸慷報道局長)と表明し、
制裁緩和を通じて 経済立て直しを支援する姿勢を鮮明にした。
北朝鮮と「鉄道 拡大化事業」の契約を締結したロシアも、
米朝首脳会談後に、食料や繊維、鉄道事業の分野での
制裁緩和を 国連安保理に提案する計画である ことを表明するなど、
周辺国も 前のめりな姿勢を見せていた。
一方、米国が重きを置いた「非核化」交渉は膠着せざるを得なかった。
シンガポール会談後、共同声明文にはなかった
「CVID(完全で検証可能かつ 不可逆的な非核化)」
を要求し始めた米国に対し、北朝鮮は、
ミサイル発射や核実験・開発の廃止、豊渓里核実験場の爆破や、
朝鮮戦争当時の米軍遺骸の送還に加え、
昨年9月には ICBM(大陸間弾道ミサイル)の開発拠点だった
東倉里ミサイル試験場の 永久廃棄を表明するなど、
米朝合意の履行を進めてきた。
同時に、韓国をはじめ、中ロなど周辺国との交渉を加速させ、
既存の保有核については棚上げする コンセンサスをとりつけている。
そもそも北朝鮮の核問題は、核による恫喝で
北朝鮮の体制転換を目指してきた米国と 北朝鮮との二国間問題であり、
米国が北朝鮮の安全を保証する譲歩をしない限り、
北朝鮮がみずから進んで丸腰になることはありえない。
唯一の核兵器使用国であり、なおかつ核大国である米国の
核戦略を棚上げにして、北朝鮮のみに「非核化」を求めるなら
状況は後戻りするほかない。
米国の核による一方的な脅し が通用しなくなった段階で
対話へ進んだ経緯を見ても、一方的なCVID要求が進展するメドはなく、
米国が態度を硬化させればさせるほど、
朝鮮半島融和プログラムは 米国抜きの枠組みで進んでいく関係にある。
現に、ロシアのラブロフ外相は2月25日、ベトナム・ホーチミンで
「少なくとも国連安保理は 南北の共同事業の実現を妨げるような制裁
については 緩和や解除ができる」と主張し、
翌26日には 中国浙江省で王毅国務委員兼外相と会談して
対北政策で足並みを揃える動きを見せている。
トランプみずからが下した判断によって シンガポール会談が実現し、
南北融和が東アジアの既定路線 となるなかで、
米国が朝鮮半島で生まれる 新たな経済利権を手放したくなければ、
米朝の和解交渉は 後戻りさせることはできない段階に踏み込んでいる
のが現実といえる。
トランプ自身も会談後、非核化と制裁解除をめぐる
双方の条件が折り合わなかったことに言及しつつ、
「金正恩はよき友人だ。 北朝鮮の潜在力は 非常に魅力的だ」
「決裂ではなく、友好的だからこその 判断だ」
「合意の見送りは一方的な決断ではない。これからも関係は維持する。
これまで北朝鮮側の代表と非常によい関係を構築してきた。
これは歴代大統領が誰もできなかったことだ」と友好関係を強調した。
「決裂」しながらも 制裁の強化や軍事訓練の実施を否定しており、
両者の関係がはっきりあらわれている。
同時に、今回の合意先送りは、トランプ側の都合を強く反映したもの
であることをうかがわせた。
米朝首脳会談初日の米国では、米国議会がハノイ会談にあわせるように
トランプの元個人弁護士であったマイケル・コーエン(偽証罪で収監中)
を下院監視委員会の公聴会に招致し、
大統領選過程で、ロシアが内部告発サイト「ウィキリークス」を通じて
ヒラリー・クリントンのスキャンダルを流した という疑惑に
トランプ自身が関与していたことをうかがわせる証言 をおこなわせた。
3日間の公聴会のうち2月27日の証人喚問だけが公開され、
それをCNNをはじめ地上波3大メディアがテレビ中継するなどの
「一大イベント」に祭り上げたことも、
米朝会談の進展を好まない米国内強行派 の思惑を感じさせる動きとなった。
安倍首相は「非核化を実現する強い決意のもと、
安易な譲歩をおこなわなかったトランプ大統領の決断を
全面的に支持する」とのべ、
メディアも「非核化で 米が譲歩しなかった」
「トランプが 北朝鮮の要求を蹴った」
と米国メディアの側からの評価に明け暮れているが、
その逆に 北朝鮮も安易に譲歩しなかったことを示した。
会談をめぐる一連の動きは、弱体化する米国覇権 の外側で
激しく流動変化する東アジア の新しい力関係を示している。
再掲ですが、拙作二枚目、
「娘と紅梅 廣重風」です。 水彩 32cm x 40cm 紙
暗闘、
◆https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201903010000/
櫻井ジャーナル 2019.03.01
◎米支配層の不正 を隠し、
米露の軍事的緊張を高める ロシアゲートの茶番劇
ベトナムでドナルド・トランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長が
会談していた2月27日、アメリカ下院管理委員会の公聴会に
トランプの顧問弁護士だったマイケル・コーエンが登場した。
「ロシアゲート」に関する爆弾発言をすると
議員や有力メディアがかつて宣伝していた人物だが、何も出てこなかった。
「羊頭を掲げて 狗肉を売る」だ。
今回も売られたのは狗肉。 茶番だった。
コーエンは冒頭の声明でトランプの悪口を書いていたが、
ロシアとのスキャンダルと言えるようなものは含まれていなかった。
人種差別主義者で口が上手く詐欺師だというのだが、
個人的な感想を並べただけで何の意味もない。
それで有力メディアは騒いだのかもしれない。
ロシアとトランプとの関係についての話は、
2016年7月にトランプの事務所にいたときにロジャー・ストーンから
電話が入り、ウィキリークスのジュリアン・アッサンジから
数日後にヒラリー・クリントンの選挙運動に
大きなダメージを与える電子メールを公表すると知らされた
と連絡してきたという話くらいだ。
記者を含め、この程度の情報を知らされていた人は少なくないだろう。
ちなみにストーンは今年(2019年)1月25日、
ロバート・マラー特別検察官の捜査に絡んで逮捕されたが、
本人は無罪を主張している。
ロシアゲート疑惑の開幕は アダム・シッフ下院議員が
2017年3月に下院情報委員会で告げた。
2016年の大統領選挙にロシアが介入したとする声明を出したのだが、
証拠は何もなかった。 それにもかかわらず、
その年の5月にロバート・マラーが特別検察官に任命されたのである。
アメリカの支配層は 2015年の段階でヒラリー・クリントンを
次期大統領に内定していた と言われている。
その根拠のひとつは、2015年6月11日から14日にかけて
オーストリアで開かれたビルダーバーグ・グループの会合に
☆https://bilderbergmeetings.org/participants2015.html
ジム・メッシナというヒラリー・クリントンの旧友が
出席していたからだ。(このグループについての説明は割愛する)
アメリカの選挙は資金力が物を言う仕組みになっていて、
支配層に選ばれた人物が当選する確率が高い。
選挙制度は そうした支配層のカネにどっぷりつかった
民主党や共和党が優遇される ようになっている。
それだけでなく、投票が不正操作されている疑い も指摘されていた。
例えば、裁判所が当選者を決めた2000年の大統領選挙。
選ばれたのはネオコンに担がれた ジョージ・W・ブッシュだった。
この選挙ではバタフライ型投票用紙 などが原因で開票作業は混乱、
通信社のAPが「スーパー代議員
(上位代議員、あるいは特別代議員と訳されている)」の
投票予測でクリントンが圧倒、勝利は確定していると宣伝して
ブッシュ当選の雰囲気が作られた ことでも話題になった。
2016年の選挙を前に アメリカでは投票の電子化が進み、
不正は容易になった と指摘されていた。
ヒラリー・クリントンを当選させるために
不正システムが使われるのではないかと懸念されていたのだ。
(つづく)
バラク・オバマ大統領はロシアとの関係を悪化させる政策を
推進していたが、クリントンはその政策を継承、
核戦争も辞さない姿勢を示していた。
それに異を唱えたのが民主党ではバーニー・サンダース、
そして共和党のドナルド・トランプだ。
本ブログでも繰り返し書いてきたが、選挙の風向きが変化したのは
2016年2月3日のこと。 ヘンリー・キッシンジャーがモスクワを訪問、
ウラジミル・プーチンと会談したのだ。
そして3月からウィキリークスは ヒラリー・クリントンの
電子メールを公表しはじめる。
☆https://wikileaks.org/clinton-emails/
7月22日にはDNC(民主党全国委員会)の電子メールも
明らかにされるのだが、その中には、
民主党の幹部へ バーニー・サンダースが同党の大統領候補になる
ことを妨害するよう求めるもの も含まれていた。
民主党の幹部やクリントン陣営は トランプの前に
サンダースを潰しにかかったのだ。 それが発覚した。
この電子メールはハッキングされたと主張する人もいるが、
データの分析からハッキングではなく
内部でダウンロードされたと推測する専門家は少なくない。
7月10日に射殺されたDNCのスタッフ、セス・リッチが
ウィキリークスへ渡したと考える人もいる。
警察は強盗がリッチを殺したと発表しているが、
それに納得できなかったリッチの両親は
元殺人課刑事の私立探偵リッチ・ウィーラーを雇って調査を始める。
この探偵によると、セスはウィキリークスと連絡を取り合い、
DNC幹部の間で2015年1月から16年5月までの期間に遣り取りされた
4万4053通の電子メールと1万7761通の添付ファイルが
セスからウィキリークスへ渡されているとしている。
のちにウィラーガーが 雇い主に無断で調査結果を外部で話した
ことが問題になり、情報は出なくなった。
電子メールの件では国務長官時代のクリントンが
機密情報の取り扱いに関する法規に批判した可能性が指摘され、
FBIが捜査したのだが、ジェームズ・コミーFBI長官は取り扱いが
「きわめて軽率」だと認めたが、不起訴にした。
☆https://www.fbi.gov/news/pressrel/press-releases/
statement-by-fbi-director-james-b-comey-on-the-investigation-
of-secretary-hillary-clinton2019s-use-of-a-personal-e-mail-system
声明の中に出てくる「きわめて軽率(Extremely Careless)」
という表現は元々「非常に怠慢(Grossly Negligent)」だった
とされている。 それが書き換えられた。
「非常に怠慢」だと認められた場合、罰金、あるいは10年以下の懲役
が科せられるため、表現を変えたと見られている。
クリントンが3万2000件近い電子メールを消去してしまったことも
不起訴の理由として挙げられているのだが、
全てのメールはNSAが記録しているので理由にならない。
この件をFBIは封印したいのだ。
最近、アンドリュー・マッケイブ元FBI副長官は
新たなFBIの 反トランプ工作を明らかにした。
2017年5月にトランプ大統領が ジェームズ・コミーFBI長官を解任した後、
彼は同僚と ドナルド・トランプ大統領をホワイトハウスから追放する謀議
を行ったというのだ。
そのほかにも民主党やクリントンだけでなく CIA、FBI、司法省などが
トランプをターゲットにした秘密工作を展開していた
ことは本ブログでも繰り返し書いてきた。
アメリカ支配層が 執拗にロシア攻撃を続けている最大の理由は
破綻した世界制覇プランを 再び軌道に乗せるためだろう。
そのプランは 1992年2月に 国防総省のDPG草案 という形で作成された。
当時のアメリカ大統領はジョージ・H・W・ブッシュ、
国防長官がディック・チェイニー、国防次官がポール・ウォルフォウィッツ。
ウォルフォウィッツが中心になって書き上げられたことから
ウォルフォウィッツ・ドクトリンとも呼ばれている。
そのドクトリンが作成される直前、1991年12月にソ連が消滅した。
アメリカが唯一の超大国になったと認識した彼らは
潜在的なライバルを潰し、資源を独占しようとしたのだが、
そのプランは21世紀に入ってウラジミル・プーチンが
ロシアを再独立させたことで狂った。
まだロシアの経済は アメリカやイギリスの巨大金融資本に支配されているが、
それでも 外交や安全保障はプーチンたちが取り戻した。
ネオコンのような勢力は 世界制覇の実現という夢を捨てていない。
そのためにはロシアを再植民地化し、ライバル化しつつある中国も
潰さなければならないというわけだ。
ユーラシア大陸の沿岸部分を支配して 内陸部を締め上げる
という長期戦略も継続している。
中期戦略から見ても長期戦略から見ても、
彼らは中東を手放そうとはしないはずだ。
朝鮮半島を含む東アジアが経済活動で結びつくことも
アメリカ支配層は許さない。
日本はその手先として働かされるだろう。
そうした視点からトランプ大統領と金委員長のハノイ会談を見る必要がある。
(了)
再掲ですが、拙作三枚目、
「幻光Ⅱ(杉山寧 風)」です。 水彩 32cm x 40cm 紙
遺言ドーリとなるか?
◆https://toyokeizai.net/articles/-/179383
東洋経済オンライン 2017/07/07
◎中国「三峡ダム」が 直面している 巨大な危機
最悪の場合には 上海の都市機能が麻痺する
「ニューズウィーク 日本版」 ウェブ編集部
四川省で起きた大規模な山崩れは、本当に大雨だけが原因なのか。
世界最大の三峡ダムが一帯で大地震を頻発させている
という指摘があり、さらには砂礫により、
ダムそのものも 機能不全に陥っている
6月24日、中国・四川省で大規模な山崩れが発生した。
中国メディアによれば、住宅62戸が土砂に埋まり、
120人以上が生き埋めになったという。
山崩れの現場は、四川大地震と同じ場所であり、
ここ数日、大雨が降りつづいて地盤が緩んでいたことが原因だとされる。
だが原因はそれほど単純なものではないだろう。
2008年5月に発生した四川大地震は マグニチュード7.9を記録し、
甚大な被害をもたらした。
震源地近くでは地表に 7メートルの段差が現れ、
破壊力は 阪神・淡路大震災の約30倍 であった。
専門家は、四川盆地の北西の端にかかる約300キロにわたる
龍門山断層帯の一部がずれたために起きたと分析し、
これによって地質変動が起こり、龍門山断層帯は新たな活動期に入った
と指摘している。
今後、さらに大規模な地震が発生する可能性が高いのである。
四川盆地はもともと標高5000メートル級の山々がつらなる
チベット高原から 急勾配で下った場所に位置する
標高500メートル程度の盆地で、
ユーラシア・プレートと 揚子江プレートの境界線の上にあり、
大小さまざまな断層帯が 複雑に入り組む地震の多発地帯である。
それに加えて、最近の中国の研究では、
地震発生の原因のひとつは 「三峡ダム」の巨大な水圧 ではないか
との指摘がある。
ダムの貯水池にためた水の重圧と、地面から地下に沁みこんだ水が
断層に達することで、断層がずれやすくなったという分析である。
☆建設中から数々の難題、天気や地震にまで 悪影響
三峡ダムは、中国政府が「百年の大計」として
鳴り物入りで建設した 世界最大のダムである。
16年の歳月を費やして、四川省重慶市から 湖北省宜昌市にいたる
長江の中流域の中でも、とくに水流が激しい「三峡」
と呼ばれる場所に建設された。 竣工は2009年だ。
ダムは 70万キロワットの発電機32台 を擁し、
総発電量2250万キロワットを誇り、当初の計画では、
湖北、河南、湖南、上海、広東など主要な大都市に電力が供給され、
全中国の年間消費エネルギーの1割を供給でき、
慢性的な電力不足の解消に 役立つはずだった。
だが、建設中から数々の難題が生じた。
まず「汚職の温床」と化した。
総工費2000億元のうち 34億元が汚職や賄賂に消えた。
国民の多大な犠牲も強いた。
はじめに地域住民約110万人が立ち退きを迫られ、
強制的に荒地へ移住させられて 貧困化し、10万人が流民になった。
李白、杜甫、白楽天などの詩に歌われた
1000カ所以上もの文化財と美しい景観が水没し、
魚類の生態系が破壊され、希少動物の河イルカ(ヨウコウイルカ)が絶滅
したことは、中国内外で議論の的になった。
そればかりではない。四川大地震が発生した同じ2008年、
竣工を目前に控えた三峡ダムで 試験的に貯水が開始されると、
下流域で がけ崩れと地滑りが頻発した。
この年の9月までに発生したがけ崩れと地滑りは、合計32カ所、
総距離33キロに達し、崩れた土砂の量は約2億立方メートルにのぼった。
その後の調査で、地盤の変形などが合計5286カ所見つかり、
大きなひずみが生じていることが判明した。
ダムの構造物や防水壁には 約1万カ所の亀裂が見つかり、補修に奔走した。
そして2009年、三峡ダムが完成すると、
今度は 気候不順が起きた。
貯水池にためた膨大な量の水が蒸発して 大気中にとどまり、
濃霧、長雨、豪雨などが発生するようになったのだ。
気候不順は年々激しくなり、2013年までに、
南雪災害、西南干ばつなどの災害が相次いだ。
2016年にも豪雨による洪水が発生。
エルニーニョ現象が原因だとされたが、死者、行方不明者は128人にのぼり、
中下流域で130万人が避難を余儀なくされた。
大地震が次々に起きた。
2008年の四川大地震以外にも、汶川大地震、青海省大地震など、
毎年のように大小の地震が発生した。
2014年には、三峡ダムから約30キロ上流にある湖北省で
マグニチュード4.7の地震が 連続して2度起きている。
総じてみれば、人工物である三峡ダムが
天気や地震にまで影響を及ぼすとは、
まるで信じられないような話ではある。
☆水が流れず、貯水できず、解決策も見いだせない
だが、三峡ダムにとって、さらに深刻な事態がもちあがっている。
長江上流から流れて来る砂礫で、ダムがほぼ機能不全に陥り、
危機的状況にあることだ。
怒涛のように押し寄せる大量の砂礫で
貯水池が埋まり、アオコが発生してヘドロ状態になっている。
ヘドロは雑草や発泡スチロールなどのゴミと一体になり、
ダムの水門を詰まらせた。
ゴミの堆積物は5万平方メートル、高さ60センチに達し、
水面にたまったゴミの上を歩ける場所があるほど だという。
地元では環境団体などが毎日3000トンのゴミを掻き出しているが、
お手上げ状態だとされる。
重慶市でも、押し寄せる砂礫で長江の水深が浅くなった。
水底から取り除いた砂礫は50メートルも積みあがった。
重慶大橋付近の川幅はもともと420メートルあったが、
橋脚が砂礫に埋もれて砂州となり、
今では川幅が約半分の240メートルに狭まっている。
大型船舶の航行にも 著しい支障をきたしている。
水が流れず、貯水できないダムなど 何の役にも立たないが、
三峡ダムが周囲に及ぼす悪影響は、この先、
増えることはあっても減ることはないだろう。
中国政府も技術者も根本的な解決策を見いだせず、
すでに匙を投げてしまっているからだ。
だれも責任を取ろうとする者がいないまま、
今も三峡ダムは放置されている。
☆著名な水利学者の 遺言「ダムは 10年もたない」
もし三峡ダムが地震の原因のひとつであるなら、
今後さらに四川大地震のような大規模な地震が起きる可能性があるだろう。
そして大地震が発生したとき、原因を作った「瀕死」の三峡ダムは、
果たして持ち堪えられるだろうか?
万一、ダムが決壊するようなことがあれば、
長江流域の広大な土地が 洪水に見舞われ、穀倉地帯は壊滅して、
数千万人の犠牲者が出るだろう。
長江の河口部にある上海では都市機能が完全に麻痺し、
市民の飲み水すら枯渇してしまう。
そんな事態は想像するだけでも恐ろしい。
三峡ダムが建設された当初、中国政府は「千年はもつ」と豪語したが、
数々の難題が発覚して、わずか数年で「百年もつ」とトーンダウンした。
今日、巷では「10年 もつのか」と危ぶむ声がある。
「10年」と区切るのは、かつて三峡ダムの建設に反対した
著名な水利学者、清華大学の故・黄万里教授の言葉に由来している。
戦前、アメリカのイリノイ大学で博士号を取得した黄教授は、
建国間もない中国で 黄河ダム建設の計画が進められたときに強く反対し、
毛沢東から「右派」の烙印を押されて 22年間の強制労働に追われた。
1980年代に名誉回復した後、
長江の三峡ダム建設が国家の議題にのぼると、
中国政府に6度も上申書を提出して反対したが、
鄧小平と李鵬首相(当時)に無視された。
黄教授が反対した理由は、
21世紀の今日、私たちが直面している危機的状況を言い当てた
からにほかならない。
そして「もしダムを強硬に建設したら、10年もたないだろう」
と警告した。
2001年8月、黄教授は病床で家族に向かって三峡ダムを見守りつづけるように
と告げ、「どうにも立ち行かなくなったら、破壊するより方法はない」
と遺言を残した。 享年90。
中国の「水利事業の 良心」と称えられる伝説的な人物である。
もし「10年もたない」とすれば、期限は2019年だ。
あと2年で三峡ダムは決壊するかもしれないのだ。
タイムリミットは刻一刻と近づきつつある。
唯一の解決策は、黄教授の遺言通り、人間の手で破壊することだけなのだろうか。
譚璐美(タン・ロミ):
作家。東京生まれ、慶應義塾大学卒業、ニューヨーク在住。
↑
共産支那も 「持て余し状態」か。
まさに「腐海支那」は、「寄生虫にして疫病神」ですなぁ。