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対米開戦の日

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 画は 藤田 嗣治 (ふじた つぐはる レオナール・フジタ)

 エコール・ド・パリの代表的な画家

 Leonard (Tsuguharu)  Foujita

 明治19年(1886) ~ 昭和43年(1968)        作


  「12月8日の真珠湾 1942年」です。



☆曇り。

戦略皆無の愚行、まんまと嵌められた「昭和天皇」、

未だ引きずる 巨大な負債。


負債の一つ、属国化の仕上げ、英語の公用語化、

いい記事ですが、長いので抜粋しました、

◆https://www.chosyu-journal.jp/kyoikubunka/14511
長周新聞  2019年12月5日
◎日本人全員に 英語4技能は必要か ~
 大学入試を食いものにしながら 肥え太る 教育産業 ~ 
 国際教育総合文化研究所・寺島隆吉


より抜粋、



大学入試センターによる入試の「外注」「民営化」は、
様々な議論を呼んできましたが、萩生田文科相の「身の丈」発言で、
あっけなく延期となりました。
その意味では萩生田光一氏に深く感謝しなければなりません。

というのは、この英語民間試験については、私は昨年の季刊誌『IB』
(2018夏季特集号)に載ったインタビューで、

その問題点を指摘し、その後もブログ「百々峰だより」を通じて繰り返し、
その中止・廃止を訴えてきたからです。

しかし、大手メディアは一向にこの問題を取りあげようとはしませんでした。

(中略)


これではノーベル賞級の研究が 生まれるはずがありません。

真の独創的な研究は既成の価値観に挑戦するところから生まれるからです。

既成の価値観に従順である限り、独創的な研究は生まれようもないでしょう。



19

ここで、もう一つ付言しておきたいことがあります。
それは文科省が「英語民間試験に合わせて 現在の指導要領を変えたい」
と言い始めていることです。

これは、「人間のサイズに合わせてベッドの長さを決める」のではなく、
「ベッドのサイズに合わせて人間の足を切り縮めたり引き伸ばしたりする」
愚行とよく似ています。

このようなことを言い出したのは、英検やGTECの問題が
指導要領に則ってつくられていないという批判をかわすためでしょう。
まして外国の試験であるTOEFLやIELTSが
文科省の指導要領に従っていることは、先ずあり得ません。

今頃こんなことを言い出すのは、いかに文科省が教育的観点ではなく
「まず 入試の民営化を」という発想で動いてきたか、
ということの証明ではないでしょうか。

彼らは、教育という観点ではなく、経済という観点で行動してきたのです。

口では「英語教育の改革を」と言いながら、頭では「教育産業の 活性化」
しか考えてこなかったのです。

アメリカがイラクに侵攻するとき、サダム・フセインが大量破壊兵器をもち
民衆を毒ガスで殺しているから「人道的見地から」
アメリカはイラクに出撃しイラク民衆を救わなければならない、
と言ってきたのに似ています。

だとすると、「日本人は英語が話せない。だから英語改革を」
という文科省の言い分も 再検討する必要があります。

そこで問題点を次のように設定してみましょう。

(1)日本人の英語力は 世界的に見て、それほど低いのか

(2)英語力=「話す力」なのか、「話す力」は それほど必要なのか

(3)英語力と研究力は 比例するのか。
ノーベル賞の受賞者は 英語が達者だったのか



20

文科省や自民党の文教族が声高に「英語で授業を」と叫んだり、

「入試改革で日本の英語教育を変える」と言ったりするのは、

「日本人は英語ができない」 という思い込みがあるのかもしれません。

確かに日本人は英語で話すのがそれほど上手いとは言えません。

しかし会話力=英語力ではありません。

日本人が会話が不得手というのは、英語を話す機会が少ない、
日常生活で英語で話す必要に迫られていないことの反映にすぎません。

その証拠に私が韓国、中国、ベトナムを旅行したとき、土産物売り場では
流ちょうな日本語で話しかけられて驚くことが少なくありませんでした。
聞いてみると彼らは小学校から日本語を勉強したわけではなく、
日本人の観光客が多いから必要に迫られて独学したり
日本語学校で学んだと言っていました。

ベトナムではホームレスの子どもが英語で絵はがきを売りつけてきたり、
日本人だと分かると即座に日本語に切り替えて話しかけてきました。

彼らはストリートチルドレンですから学校に行って英語を学んだり
日本語を学んだわけではありません。
生きるために、観光に来た日本人を教師に日本語を鍛えたにすぎませんでした。

ですから「日本人は英語ができない」と声高に言い続けることは、
日本人の劣等感に拍車をかけるだけで 教育的には何の意味もありません。

それどころか「日本人は会話ができない」という理由で、
「会話練習に大きな時間をかけること」
「英語の授業を日本語を使わずに英語で授業をすること」は、

この劣等感を増幅させるだけでなく、
むしろ英語力を低下させる ことにもなります。

なぜなら日本語を使えば簡単にすむ説明を 英語でするから、
生徒は なおさら英語が理解できなくなったり 英語が嫌いになったりします。

また日常的に使わない単語や文句は、どれだけ憶えても すぐ記憶から消えて
行きます。 ザルに水を入れても溜まらないのと同じです。

これを私は 「ザルみず効果」と名付けているのですが、
このような授業を小学校からやってもほとんど教育効果が出てきません。

それどころか、今までは「中学校から英語をやっているのに
話せるようにならない」という嘆きが、

今度は「小学校から英語を学習しているのに話せるようにならない」
という嘆きになり、絶望感が一層深くなるだけでしょう。

「日本人はやっぱり頭が悪いんだ」と、日本人がみずからの能力に見切りをつける
ことに英語学習が貢献するということになりかねません。

かつてアメリカの黒人が白人によって「黒人は頭が悪い」と思い込まされていた
のと同じことを、英語の授業で、あるいは英米人によって刷り込まれる
ことになりかねません。

なぜなら、英米人はともすると「英語話者は そんな言い方をしない」
「それは間違った英語だ」 と日本人を非難することが少なくない からです。

しかし長年、日本に住んでいながら「日本語を話せない自分」
「日本語を読み書きできない 自分」に思い至らない英米人 も少なくないのです。

日本人は日常的に英語と接していないし、英語を話さなければならない環境
で生きているわけでもありません。

ところが日本に長年住んでいても「日本語が読めない書けない」どころか、
「話せない 聞けない」英米人 を私は数多く見てきました。

だとしたら「英語を話せなくて何が悪い」
「おまえは日本にいるのだから 日本語を話せ」
と開き直る度胸や根性が 必要なのではないでしょうか。

日本にいる英米人は 英語で話しかけられるのに慣れてしまっているので、
英語を上手く話せない日本人を蔑視する傾向 があるように思います。

かつて戦後の日本を占領軍指揮官として支配したマッカーサーは
「日本人は12歳の子ども」と言ったそうですが、
そういう態度の英米人 をみると、さすがに いい気はしません。

ところが白人とみると、会話練習とばかり、すぐにすり寄って行く日本人
も少なくないので、本当に憂鬱になります。

ダグラス・ラミスは名著『英会話のイデオロギー』のなかで、
「英米人は日本に来た途端に教師になる」と言っていますが、

このように考えてみると、そんな態度を助長してるのは、
むしろ日本人なのかも知れません。

日本にあこがれてきたフィリピン人が、いつの間にか英語を話せない日本人
に対して優越感をいだくようになっていくのも、
それを助長しているのが日本人 なのかも知れないのです。



21

私の研究所の研究員のなかに英語教師がいますが、彼は成績評価の基準を公開して、
それを動機づけの一つにして授業をおこなっていて生徒の評判は悪くないのですが、
一つだけ気になることがありました。

彼は成績をつける際、「必修課題」と「選択課題」を生徒に明示して、
それらに取り組ませていました。
このような評価方式も取り組む課題が明確になるので、
生徒にとっても有難い評価方式です。

しかし「必修課題」のなかみを見て少し気になることがあったのです。

というのは生徒全員が義務として取り組むべき課題として
「ALT(英語指導助手)に 必ず最低*回は話しかけること」
という項目があったからです。

しかし、このような課題が必修だとすると、先述したように、
英語で話しかけることのできない自分が、
ますます惨めに見えてくる危険性があります。

そこで、この項目を「必修課題」からはずして「選択課題」にしたらどうか
と提案しました。そうすると生徒の顔が明るくなり、
かえって生徒はALTに気楽に話しかけるようになったという報告がありました。



22

しかし、そもそも本当に日本人の英語力は世界的に見て、そんなに低いのでしょうか。

確かに、寺沢拓敬『「日本人と英語」の社会学』に載せてある
「英語力保持者の国際比較」という図表を見ていると、
「高度な英語力」という項目では日本が一番低いので、
日本人の英語力はこのなかで最低というふうに見えないこともありません【図2】。

▼https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2019/12/
 372dc09cfa9b3fa6d3ac546d7a228b9a-388x600.jpg  【図2】


▼https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2019/12/
 372dc09cfa9b3fa6d3ac546d7a228b9a-388x600.jpg   【図3】


しかし、この図の上下を逆転させた【図3】をみてください。

そうすると、灰色の「英語力なし」という項目では
(フィリピンのように完全に英語を公用語としている国は別として)
シンガポールやマレーシアのような英語をほぼ公用語とする国でも
「英語力なし」というひとが少なからずいることに驚かされます。

しかも、ギリシャ、ドイツ、ポルトガル、フランス、タイ、スペイン、イタリア、
インドネシア、台湾、中国、韓国といった国が、
のきなみ 日本よりも「英語力なし」の比率が高い のです。

そこで日本よりも「英語力なし」の比率が高い国を、高 → 低 
の順に並べてみると、次のような順になります。

イタリア→スペイン→中国→ギリシャ→インドネシア→フランス→台湾→
ポルトガル→ドイツ&タイ→韓国

こうしてみるとCEFRという物差しを開発して
「母語(母国語)以外に 二つの外国語を!」と呼びかけているEU諸国に、
意外と「英語力なし」の比率が高い国が多い ことに気づかされます。

そこで、上記の高→低の順に並んでいる「英語力なし」の国のなかで、
EU諸国だけを抜き出して並べてみると 次のようになります。

イタリア→スペイン→ギリシャ→フランス→ポルトガル→ドイツ

EUの会議では英語がなかば共通語になっている感がありますが、
それにもかかわらず、イタリアを初めとして スペイン語を母(国)語
とするイタリア、スペインや、
スペイン語とあまり変わらない言語をもつフランス、ポルトガルで、
「英語力なし」の比率が高いのです。

これは驚くべき事実ではないでしょうか。

だとすれば、「日本人は英語力がないんだ」という宣伝は、
日本人をなるべく貶めて 元気をなくさせる戦略ではないか
とすら思わされます。

しかも恐ろしいことに、その宣伝の先頭に立っているのが
自民党であり文科省なのです。

いまイギリスはEUから脱退しようとしていますが、もしそうなれば
英語はEUの会議語・公用語としては使われなくなりますから、
ますます英語の影響力はEUで小さくなっていくでしょう。

これはドルの威力が 現在ますます小さくなりつつあるのと並行しています。

だとすれば、私たちは「英語が話せない」という理由で
卑下する必要は全くありません。

むしろ話せなくても 英語で読み書きできる基礎学力 を保持していることを、
もっと誇るべきなのです。

黒人がマルコムXの「Black is beautiful」というスローガンに励まされて、
公民権運動に邁進したのと同じように、

「辞書さえあれば 英語を読み書きできる」ことに、

私たちはもっと自信と誇りをもって、日本の立て直しに 邁進すべきなのです。



23

いま学校教育では英会話に多大なエネルギーを割いていますが、
それは「ザルみず 効果」で効果がないだけでなく、

むしろ英語力を低下させ、同時に日本語力をも 低下させます。

憶えてもすぐ忘れることに精力と時間を削がれ、
その分だけ 日本語を鍛える時間が奪われる からです。

その一例を少し紹介させていただきます。

先日、週刊『エコノミスト』11月5日号で東大の阿部公彦教授が
「英語民間試験」について言及しているという知らせを、
週刊誌『I・B TOKYO』の記者からいただきましたので、
さっそく注文しようと市内の本屋に電話しました。

ところが電話に出た店員が、週刊『エコノミスト』を知らないので、
何度も書名を繰りかえすことになりました。
これだけ「小学校から英語を!」と叫ばれているにもかかわらず、
「エコノミスト」という簡単な単語すら理解できない店員に、
私は思わず絶句してしまいました。

しかし何度、「エコノミー(経済)」→「エコノミスト(経済学者)」
と繰りかえしても理解してもらえないので、
仕方なく「エ・コ・ノ・ミ・ス・ト」と、一語ずつ区切って言わざるを得ませんでした。

それでも、その店員は不安だったようで 「念のためISBNの番号を教えてください」
と言うので、更に絶句。

思わず 「economy, economistという単語を知らないの」と叫んでしまいました。
一般人ならいざしらず、いちおう知的分野の一角を占める本屋の店員が、
economy、economistという簡単な単語すら知らない、
脳に定着していない事実に、暗澹としました。

これが「小学校から英語を!」 と叫んでいる日本の英語教育の実態なのです。



24

では日本語の方はどうでしょうか。 これもかなり怪しくなってきています。

私は葛飾北斎という画家の、その浮世絵のなんとも言えない色彩と
その構図の大胆さ・見事さに、感服しています。

ところがあるとき、北斎とその娘を描いた『百日紅(さるすべり)』
という漫画があることを知り、さっそく前述の本屋に電話しました。

ところが電話に出てきた店員は、杉浦日向子の漫画『百日紅(さるすべり)』
を知らないので、「さるすべり」という花樹を知らないんですかと尋ねました。

するとその店員は、そういう花樹は知らないというのです。

岐阜市内の庭を持つ家では、「さるすべり」は普通に見られる花樹で、
夏になると真っ赤な花を延々と100日間も咲かし続けるので、
漢字では『百日紅』と書くのですが、

最近の若者はハロウィーンは知っていても、日本の四季には
全く興味をもたなくなっていて、市内のあちこちに見られる「百日紅(さるすべり)」
も知りませんし、当然それを漢字で「百日紅」と書くことも、
それを「さるすべり」と読むことも知りません。

まして、その「百日紅」は年月が経つうちに樹皮を落とし、
猿がその木に登ろうとしても、樹肌があまりにもスベスベしていて、
木登り上手の猿でさえ足をすべらせてしまうので、
そのような名前がついたということは、その店員にとって知るよしもありません。

そこで、そのような説明をしてやると、やっと納得して注文に応じてくれたのでした。
これも日本中が英語熱・英会話熱に浮かされている悪弊の現れではないでしょうか。

会話学校で習うような英語のフレーズは、

今では ポケトーク のような翻訳機器が出回るようになっているのですから、

「ザルみず効果」に終わるような英語学習は、もう終わりにしなければなりません。

さもなければ、英語力を研究力に転化する ことは望むべくもありません。

そもそもノーベル賞を受賞した人たちを詳しく調べてみても、

英会話学習にうつつを抜かしていたひとはひとりもいませんでした。

だから英会話もそれほど得意ではありませんでした。



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そこで最後に、ノーベル賞受賞者と英語の関わりを少し紹介して本稿を閉じたいと思います。

まず最初に紹介したいのは、2008年にノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎氏です。
氏が1978年に文化勲章を受章した際に、福井新聞社が東京・山の上ホテルで
妻、智恵子さんにインタビューしました。そのとき彼女は次のように語っています。

「彼は 私に日本の妻がするような衣類の着せ替え的主婦業は期待してません。
その代わり一人前の人間として独立心を持つことを求めます。

例えば、米国に来てすぐのことですが、電話がかかってきたので『あなた出てよ』
と言ったら、彼が『君が出なさい。私が家にいないときは、
君が出ないといけないんだから』としかられました。

こんなふうに厳しいんですが、結果的には私が早く英語ができるようになり、
米国の生活に慣れましたの。こうして、いろんな意味で教えられました。」

(福井新聞社『ほがらかな探求 南部陽一郎』2009:112)

福井新聞社が智恵子さんにインタビューしたのは、
南部陽一郎氏が福井県出身だったからなのですが、この記事を読むと、

南部氏は英会話が得意だったからアメリカに行ったわけでもなく、
英語ができたからアメリカで研究生活を送ることができたわけでもないことが分かります。

妻の智恵子さんが「結果的には私が早く英語ができるようになり…」
と言っていることは、アメリカに行ったとき2人とも
それほど英語ができたわけではなかったということを示しています。

それどころか、生活言語としての英語には、むしろ智恵子さんの方が早く慣れて
しまったのです。主婦として買い物などで「生活言語としての英語」
を毎日のように使うわけですから、これは当然のことでしょう。

ではアメリカで研究者としての南部氏を支えたのは何だったのでしょうか。
それはもちろん数学であり物理学であって 英会話ではありませんでした。

研究者として先ず第一に必要なのは、自分が研究したい分野で
どのような論文がすでにあり、どこまでその研究が進んでいるかです。

そのためには先行研究を読み尽くさねばなりません。
ですから先ず第一に要求されることは 英語論文を速く正確に「読む力」であり、
会話力ではありません。

次に要求されるのは英語で論文を発表するための「書く力」です。
しかし大量の論文を読んでいれば、論文の「書き方」は 自然に習得できます。

すでに大量の論文を読んでいるのですから、そして、それを真似て書けばよい
のですから、英語で論文を「書く」のは 比較的簡単です。

ところが東大でも京大でも、最近は、理系に入った学生は
「将来、英語で論文を発表しなければならないだろうから」という理由で、

徹底的に「英語の書き方」を訓練する授業が、教養部の英語授業に
組み込まれるようになりました。

しかし、これは全く本末転倒です。

教養部時代の貴重な時間を英作文に奪われ、読みたい本を大量に読む時間を奪われる
としたら、研究力は伸びるどころか縮んでしまうでしょう。

たとえば、「ここの前置詞の使い方は間違っている」
「ここで使うべき冠詞はa ではなくthe である」などと、

細かく添削されればされるほど、教養部時代の学習は英語一色になり、
知的好奇心に従って読むべき本も、読む時間がなくなるでしょう。

こんな環境では、創造的な芽が育つはずはありません。

鈴木章氏は2010年にノーベル化学賞を受賞しているのですが、
ウィキペディアによれば、当初は数学を志していた鈴木氏が
有機合成の道へ進んだ契機となったのが、2冊の本との出会いであったと語っています。

一つは、北海道大学教養部の教科書として用いられた、
米ハーバード大学のフィーザー教授夫妻の著した
『テキストブック・オブ・オーガニック・ケミストリー』
というアジアの学生向けの英語による有機化学を説明した廉価本で、

もう一つは、恩師となった米パデュー大学ブラウン教授の『ハイドロボレーション』
という、英文で書かれたホウ素化合物の合成反応に関する本だったそうです。

ですから英語学習の基本は まず「読むこと」であり

「書くこと」「話すこと」ではないのです。

ところが今、大学入試は「話すこと」に焦点が集中し、
しかもそれを民間企業に売り渡すことをめぐって
多大な時間と労力とお金が浪費されています。
全くの無駄遣いとしか言いようがありません。



26

大学における「研究力」は「会話力」ではないという例を、
もう一つだけ紹介しておきます。
2016年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典氏は、
大学院博士課程を終了し、1974年に博士号を取得した後、
「博士研究員」としてロックフェラー大学に留学しています。

私は拙著『英語で大学が亡びるとき』で、
「留学するのであれば 博士研究員として留学すればよいのであって、

アメリカの大学は 博士課程すら行く必要はない」

と主張してきたのですが、大隅氏も私の主張するとおりの道を歩んでいました。

というよりも、今までのノーベル賞受賞者を調べてみると、
学部レベルどころか大学院博士課程でさえ、アメリカの大学に行っていない
ひとが圧倒的多数なのです。

ということは、留学のための英語学習に多大な時間と労力を奪われなかった
からこそ、ノーベル賞を受賞できたとも言えるのです。

それはともかく、大隅氏は自分の留学について次のように語っています。

「ニューヨークへの出発は1974年の暮れでした。
単身赴任という選択肢もありましたが、初めての海外渡航で、
またとない機会ですので、妻、長男と3人で一緒に行こうということになりました。

留学したロックフェラー大は、マンハッタン島のほぼ中央のイーストリバー沿い
にあります。まずは、大学に近い一番街にある古いアパートに入居しました。(中略)

3年間米国で暮らしたので、さぞ英語は達者になっただろうと思われそうですが、
実は2人とも英語は全く鍛えられませんでした。

妻は同大の遺伝学研究室に客員研究員のポストを得ましたが、
私たち2人の研究室は、ともに ほとんどミーティングを行わず、
発表や議論の機会も少なかったのです。

家に帰れば日本語の世界で、保育園に通っていた長男だけが、
テレビを見て笑っているというような生活でした。」

(「時代の証言者大隅良典」『読売新聞』2019年6月25日)

ご覧のとおり、大隅氏も英語ができたからアメリカに留学したわけではありませんでした。

それどころか、3年間もアメリカで暮らしたにもかかわらず

「実は2人とも英語は全く鍛えられませんでした」と言っているのです。

では大隅氏は、どのような研究生活をおくっていたのでしょうか。
それを氏は、「私たち2人の研究室は、ともにほとんどミーティングを行わず、
発表や議論の機会も少なかった」と述べています。

ですから大隅氏の研究生活は、先行研究の論文を読んだり実験したりの毎日で、
アメリカにいたときは「話す力」をほとんど要求されなかったのです。

それでも大隅氏はノーベル賞につながる研究を続けることができました。

だとすれば研究者に必要とされているのは、「日本語で深く思考する力」
であって「英語で会話する力」ではないのです。

ですから 小学校から英語を学習する必要もありません。

その証拠に、ウィキペディアによれば大隅氏は次のような少年時代を送っているのです。

「家は福岡市の外れにあり、周囲は農家の子どもたちばかりという環境で、
皆と一緒に自然の中で遊んだ。
幼い頃から、兄の和雄に贈られた自然科学の本に親しんだ。
特に八杉龍一の『生きものの歴史』、マイケル・ファラデーの『ロウソクの科学』、
三宅泰雄の『空気の発見』などに心を動かされ、科学に興味を持った。」

しかし現在の学校は、中学校までも、「英語の授業は英語で教える」ことを強いられ、
小学校でさえ 英語の「教科化」が進められてきています。

それどころか、英語特区として「小学1年生から英語を教える」
ことを売りにしている市長・町長まで現れるようになってきています。

このように今の日本は、ますます英語漬けの雰囲気が強まり、
大隅氏が過ごしたような少年時代をおくれない ような環境になってきています。

しかし、自然と親しみ、知的好奇心を掻きたてる本を読むなかで、
科学する心が育っていったことを、大隅氏の軌跡がよく示しているのではないでしょうか。

だとすれば、現在の文科省が進めている文教政策は、有害無益
と言ってよいでしょう。

というよりも、安倍政権が進めているのは「教育政策」ではなく
「経済政策」なのです。



おわりに

「話す力」を試す試験は 全国一斉の大学入試 に必要ありません。

ノーベル賞につながる研究でさえ、「話す力」は直接、必要なかったのですから。

では、どのような大学入試が望ましいのか。

もうすでに充分長くなっていますので、これについては別の機会に詳しく述べたいと思います。

また、このたび話題になっている「記述式テスト」についても
述べたいことは多々あるのですが、またの機会を待ちたいと思います。

 (元岐阜大学教育学部 英語教育講座 教授)



画は 吉岡 堅二 (よしおか けんじ)

 1906年 ~ 1990年。
 
 「奈良の鹿」昭和5年 第11回帝展(特選) 24歳。

 西洋と東洋を融合させた 常に新傾向の日本画を追求。       作


  戦争画 「ハワイ眞珠灣 強襲」です。

  「1943年12月8日に発行された “大東亜戦争記念 報國葉書”」より。






そうかもしれん、

◆http://blog.livedoor.jp/hisa_yamamot/archives/4748168.html
新ベンチャー革命 2019年12月6日 No.2541
◎アフガニスタンでの 中村医師の殺害事件と、
 イラクでの奥・外交官殺害事件は酷似する:
 今の安倍氏なら 憲法違反してでも、米国戦争屋の要求 を呑みそう


1.アフガニスタンで中村氏が殺害された事件と、
  その直前の米トランプによる アフガン電撃訪問は関係がありそう

先日の12月4日、アフガニスタンで活躍していた日本人の代表・中村氏が、

テロ襲撃によって、死亡されています。
https://www.bbc.com/japanese/50657223

この事件の直前である11月28日、米トランプがアフガンを電撃訪問し、

反政府勢力・タリバンとの協議再開を公表したそうです。
https://www.bbc.com/japanese/50597026

上記、二つのニュースは なんらかのつながりがある

と本ブログでは観ています。

米トランプ政権は、13000人規模のアフガン駐留米兵のうち、

4000人以上を削減する計画を公表しています。

この計画には当然ながら、反対する勢力がいます、

それは日本を闇支配する 米国戦争屋CIAネオコン でしょう。

今のトランプ政権は、彼らとは 一定の距離を置いています。

本ブログの見方ではズバリ、米戦争屋の魂胆は、

アフガンで削減する米兵の穴埋めを 日本の自衛隊や韓国軍で補おう

としているのではないでしょうか。

そのためにも、米戦争屋にとって日韓関係の悪化は好ましくないはずです。



2.自衛隊を 米軍傭兵としてアフガンに派遣させる計画を
  日本国民に容認させるために、中村氏の暗殺 が実行された可能性がある

米国戦争屋CIAネオコンは、極めて狡猾な連中ですから、

中村氏の暗殺計画を企てるくらいは、日常茶飯事の作戦です。

ところで、2003年、米戦争屋がイラク戦争を仕組んでいた当時、

今回の中村氏殺害事件とそっくりな事件が起きています、

それは奥氏など日本人外交官殺害事件です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/イラク日本人外交官射殺事件

この事件の黒幕は米戦争屋CIAネオコンと本ブログでは観ていますが、

その狙いは、自衛隊を米軍傭兵として、イラクに派遣させるためだった

と観ています。

今回の中村氏殺害も、奥氏ら殺害事件と 手口が全く同じです。



3.窮地に追い込まれている安倍氏なら、憲法改悪をせずに、
  自衛隊の米軍傭兵化 を強行しそう

本ブログ前号にて、今の安倍氏では、米国戦争屋から要求されている

憲法改悪(自衛隊の米軍傭兵化の合憲化)を達成できないのではないか

と指摘しました。
http://blog.livedoor.jp/hisa_yamamot/archives/4735898.html

今の安倍氏は、すでに国民からの信頼を失っているわけですから、

ハードルの高い憲法改悪は ほとんど不可能です。

そこで、安倍氏を傀儡化している 米戦争屋CIAネオコンおよび

ジャパンハンドラーは、安倍氏に対し、憲法に違反しても、

彼らの要求にそって、自衛隊をアフガンに派遣させるよう 迫ってくる

のではないでしょうか。

これに対し、今の安倍氏なら、嬉々として、自衛隊をアフガンに派遣しそうです。

いずれにしても、今の安倍氏は、日本国民(自衛隊員およびその家族を含む)

のことはまったく考えていなく、ただひたすら、米戦争屋の言いなりになる

ことによって、総理の座にしがみつこうとするでしょう。

こうなると、残るのは、やはり、世論調査にて 安倍内閣支持率をゼロ

にすることしかありません。

いまだに、安倍自民を支持する人は 猛省して欲しい!




画は 古嶋松之助 (生没年不詳) 洋画家。

戦時中に 満州、中国北部中部 に従軍画家として赴いている。  作




「ハワイ真珠湾 攻撃」です。



日頃の 手前の持論と 同旨ですな、

◆https://okita2212.blogspot.com/2019/12/blog-post_56.html
日々雑感   12月 05, 2019
◎役立たずの用心棒を いつまで 居候させるつもりか。


<トランプ米政権が 日本と韓国に対して
米軍駐留経費の大幅増額 を求めている問題について、
米下院の外交、軍事両委員長が 連名で懸念を示す書簡を
政権に送っていたことが3日、分かった。

日米韓3カ国が 北朝鮮や中国の脅威に対処すべき時に、
「米国と同盟国の間を 不必要に引き裂く」と政権の姿勢を批判した>
(以上「時事通信」より引用)


トランプ米政権が日本と韓国に対して米軍駐留経費の大幅増額を求めている

問題について、米下院の外交、軍事両委員長が連名で懸念を示す書簡を

政権に送った、という。 常識的な米国人なら 当然のことではないか。

日本は 必要以上に「思いやり予算」を米国に支払っている。

これ以上の 支払いを求められるなら、その増強要請される予算で

日本国民は 米軍よりも自衛隊を増強して防衛力強化を図るべきだ

と考えるようになるだろう。

実際に、米軍は 日本国内の基地を 日本の防衛のためにだけ使っている

のではない。 むしろ世界戦略の一環として、

極東の日本に米軍基地を置いている に過ぎない。

その日本国内の米軍基地の受け持つ範囲は アジアからアフリカにまで及ぶ、

という。 そうした米軍の駐留予算の実に75% を日本国民が支払っている。

なんと 割に合わない負担だろうか。


そして駐留米軍が 日本の防衛のために血を一滴たりとも流していない。

彼らはベトナムで戦争を行い、アフガンで戦争を行い、イラクで戦争を行い、

そしてシリアでIS掃討作戦に従事してきた。

それらは日本の防衛に関係ないどころか、日本を米国の戦争に巻き込みかねない

危険なものでしかない。

東西冷戦が 東西の軍産共同体が世界に流布したプロパガンダだったように、

米中軍事衝突を煽り立てているのも、

軍産共同体の掠りを食って生きている連中たちだ。

実際に米中が硝煙の地で相まみえることは決してない。

なぜなら、米中が本格的に軍事衝突したなら、それは軍産共同体が儲かる

どころか核攻撃で地球を破滅させて 元も子も無くすからだ。

彼らにとって好都合な戦争は 本国に類が及ばない、小規模な戦闘が

永続的に途切れないことか、戦争寸前で止まり、

周辺諸国がそれらの国の軍産共同体から 兵器を爆買いすることだ。

北朝鮮や中国の脅威と 本当に向き合うつもりなら、

軍事物資を完全禁輸 すれば済む話だ。

韓国へのフッ化水素を日本が制限したように、

軍事転用される可能性のある物資を 徹底的に自由主義諸国で国際管理すれば、

北朝鮮も中国も 旧態依然としたポンコツ兵器で「張子のトラ」化するだろう。

核兵器を保有しているといっても、水爆ですら十数年で更新しなければならない。

一度製造すれば永遠に持つものでないことは自明の理だ。

北朝鮮の核兵器は不完全な代物のため、たとえ保有していたとしても

劣化は早いと思われる。

そうした核兵器や大陸間弾道ミサイルの 維持・管理費によりソ連は崩壊した。


中国は身の丈に合わない軍拡を続けたため、その装備が好い加減な段階だ

と想像に難くない。 しかも250万人ともいわれるすべての兵員に

近代装備を行き渡らせるのは困難だ。

つまり現況ですら 中国軍は「張子のトラ」と思われる。

戦争をすれば忽ち「張子のトラ」がバレてしまう。

それは即座に国内政治マターとなって、習近平体制は崩壊する。

だから決して米中戦争はあり得ないし、中国が日本に攻撃することもあり得ない。

なぜなら中国は「張子のトラ」だからだ。

声高に 北朝鮮や中国の軍事的脅威を煽る評論家や政治家たちは

軍産共同体の走狗だ。

彼らは日本国民に 北朝鮮や中国の脅威を煽って、米国のポンコツ兵器爆買いと、

米軍の日本国内駐留を正当化する。

しかし、日本に駐留している米軍が 極めて程度の悪い連中だ

ということは 最高規律を叩き込まれているはずの艦載機パイロットが

飛行訓練中に手放し読書や 自撮りをしていることが露呈した

ことからも明らかだろう。

役立たずの用心棒をいつまで居候させるつもりだろうか。

大きな顔をして「地位協定」を日本国民に強い、

高級住宅を要求してヌクヌクと暮らしている米軍に

これ以上の「思いやり予算」を是認することは出来ない。




タカリが 習い 性となった ユダヤ米兵・軍属・家族ども、

日本におると 預金できる とかw  阿呆らしい。

 

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