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野分の候

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 画は 豊原 國周 (とよはら くにちか)
 
 天保6年(1835) ~ 明治33年(1900)     

 号は一鶯齋、など。               作


  「三十六花艸の内 秋海道」 「早野かんへい」です。


☆晴れ、昨日もよく晴れました。

颱風18号 接近中、野分の候ですねぇ。

昨日はまーた北鮮のミサイル発射、警報がうるさくて不快ですなぁ、

みなし公海である津軽海峡 遙か上空(大気圏外で領空外)通過、二回目です。

避難しようもないわけで、いたずらに危機を煽ってもしょ~がないわな。


毎度ながらいい記事で、よくまとまっています、

◆https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/4712
長周新聞  2017年9月14日
◎大企業の内部留保460兆円に  為替や金融への依存強め


財務省が法人企業統計を公表し、2016年度の「内部留保額」が
全産業で過去最高となる460兆円(金融業、保険業も含む)をこえた
ことが明るみに出た。

第2次安倍政府登場後の4年間で100兆円以上の増加である。

町を歩けば商店街では「物が売れない」ともっぱらの話題で、
多くの勤労家庭でも「給料は増えないのに物価や税金だけ高くなる。

生活は厳しくなる一方」と語られている。

本来、企業は社会に役立つ製品を作り、
それを売らなければ利益を上げられないはずだ。

ところが今は国内消費が落ち込むなか、大企業だけがばく大な利益を上げ、
内部留保をため込んでいる。

いったいどのような企業がどうやって内部留保を積み上げ、
それをどう活用しているのか実態を見てみた。


法人企業統計による「内部留保」とは、

企業の利益から従業員への給料や株主への配当を差し引いた「利益剰余金」を指す。

いわゆる企業がため込み続けてきた資金である。

この総額は2012年段階で342兆126億円だった。

それがアベノミクス実行後の4年で急増し、
2016年度は460兆6122億円に膨れあがった【棒グラフ参照】。

▼https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2017/09/
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しかもこの内訳をみると資本金10億円以上の企業の内部留保額が
245兆2761億円で、全内部留保額の53%を占めた。

全企業数のわずか1%にも満たない大企業の金庫にばく大な資金が流れ込んでいる。


なお内部留保額の多い企業(2015年度)は、1位=トヨタ自動車(16・8兆円)、
2位=三菱UFJフィナンシャル・グループ(8・6兆円)、
3位=ホンダ(6・2兆円)、4位=NTT(5・1兆円)、
5位=三井住友フィナンシャルグループ(4・5兆円)、
6位=NTTドコモ(4・4兆円)、7位=日産自動車(4・1兆円)、
8位=日本郵政(3・5兆円)、9位=キヤノン(3・4兆円)、
10位=三菱商事(3・2兆円)などである。

トヨタ自動車の内部留保は右肩上がりで伸び続けており、16年度は前年比
8000億円増の17・6兆円に達している。

だがこれらの企業の売上高はあまり伸びていない。

全製造業の売上高合計を見ると横ばい傾向が続き、
2014年からは微減している【グラフ参照】。

▼https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2017/09/
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総務省による家計調査報告「家計支出の年間平均1カ月間の支出(2人以上の世帯)」
も同様で、2012年に28万6169円だったのが

2014年は29万1194円に微増するが、その後は毎年減り、
今では27万9197円(2017年7月)になっている。

2014年以後の3年で約1万2000円ほど平均出費が落ちた。

多くの家庭が必死で出費を切り詰めてきたことを反映している。


売上が伸び、個人消費が増えていくなら当然、さまざまな企業の利益が増えていく。

だが現在、ばく大な内部留保を積み上げているのは
中小を除いたごく一握りの巨大企業だけである。

しかも売上も個人消費も伸びていないのに、ばく大な利益をあげ
巨額の内部留保をため込み続けている。

この売上が伸びなくても 巨額な資本蓄積が可能な経済構造の存在が
「トリクルダウン」どころか、
一般国民にはまったく富が回ってこない事態を招いている。



☆冷戦後の経営戦略 非正規増やし市場開拓

日本における財界の経済戦略は米ソ二極構造の崩壊、
バブル経済の破たんを契機に大きく変化した。

それまで財界や大企業は「長期的視野に立った経営」

「人間中心の経営」を建前にしてきた。

公益に基づいて手厚い社会保障のある社会主義国が 世界に複数存在し、
アメリカをはじめとする資本主義国と対峙していたことが背景にある。

このもとで終身雇用制と年功序列型賃金制度を維持し、
巨額な利益のなかから微微たる賃上げも実施してきた。

1980年度から1990年度の10年間を見ると売上高は1・8倍、
内部留保は3・3倍となった。

このときも売上高や内部留保の増加幅には遠く及ばないが、
実質賃金は1・2倍になっている。


だが91年にソ連が解体し 米ソ二極構造が崩壊すると、

公然と終身雇用制、年功序列賃金の解体に乗り出し、

営利優先・市場原理の本性をむき出しにした。

真っ先に労働コストの削減に着手し、「売上がなくても利益が上がる経営戦略」

の実行へ舵を切った。

当時の財界は旧来の日本型経営堅持を主張する製造業を基盤にした勢力が
主流派を占めていたが、

「企業は株主にどれだけ報いるかだ。
雇用や国のあり方まで経営者が考える責任はない」

(当時オリックス社長・宮内義彦)と主張する勢力が前面に登場し、

アメリカ型経営への転換へ突き進んでいった。


その方向性を具体化したのが日経連(現在の経団連の前身)の
『新時代の“日本的経営”』である。

その中身は、労働法制の全面改悪を進めて 非正規雇用労働者を増やし、

福利厚生や社会保障を切り捨て、給与水準を押し下げていくことだった。

その結果、1998年に3794万人いた正規労働者が

2007年は3399万人になり、395万人減少した。

反対に1173万人だった非正規労働者は1728万人になり、555万人増加した。

さらに民間賃金水準(民間給与実態調査・国税庁)が年間419万円から

367万円へ推移し52万円減った。

223兆円規模だった給与総額も201兆円になり、約12兆円も減った。


従来の経済構造のままなら、内需に直結する労働者の賃金が

これだけ減少するなかで企業の売上が伸びることは望めない。

だが07年度の大企業の売上は622兆円になり、

98年度(512兆円)のときより大幅に増加した。

経常利益も12・4兆円から32・3兆円(2・6倍)になり、

内部留保も143・4兆円から228・4兆円(1・6倍)になった。


国内での売上がなくても ばく大な利益を確保できたのは、

不安定な非正規雇用を増やして賃金水準を引き下げて 製造原価を押し下げ、

国内市場に見切りを付けて海外販路拡大で収益を上げたことと関係している。

トヨタの07年3月の決算を見ると自動車の販売台数852・5万台のうち、

日本向けが273・3万台(前期比4%減)、

アメリカ向けが294・3万台(同15%増)、

欧州向けが122・4万台(同20%増)だった。

このとき国内の生産拠点をつぶして海外に移し、

安い部品を逆輸入して国内で組み立て、海外へ輸出する動きも加速した。



☆二〇〇〇年代 財テク資金で株買漁る

しかしいくら大企業のみが巨利を手にし、内部留保を積み上げても、

買い手である国民の貧困化が加速する一方で、

消費や売上は落ち込み、内需もさらに縮小するしかない。

国内で物が売れなければ過剰生産で物が余るため、
製造設備への設備投資も尻つぼみとなるしかない。

利益にならないため 賃金を増やすことにも一切回さない。

内部留保をせっせとため込んだが、労働者を搾り過ぎて
現実社会で投資先を失う 末期的な段階にまで到達した。

こうしたなかで、ため込んだ内部留保を活用して利益をひねり出すために
編み出した利益拡大策が、内部留保で投資有価証券を購入し、

財テク(財務テクノロジー)で利益を上げることだった。

財テクは企業が本業以外に株式・債券・土地・不動産、外国為替取引などに投資し

資金運用を多様化してもうける方法だ。

実体経済ではなく、株など架空の金融マネーゲームで利益をむさぼるもので、
とくにリーマンショックが起きる08年頃を前後して
大手企業の財テク重視は顕著になった。

大企業の有価証券等保有資産の推移を見ると、1998年度は80・9兆円だった。

それが2005年頃には150兆円台に拡大し、
2013年度には222・5兆円に膨れあがった。

内部留保の増加と符合して投資有価証券保有額は増えていき、
15年間で約142兆円増加している。

このなかで増加したのが財テク利益だった。

財テク利益は投資活動など本業以外の活動で得た営業外収益から
営業外費用を差し引いたものだが、
2004年までは一貫してマイナスだった。

生産活動をはじめとする本業に軸足があるときは、本業の営業利益で
営業外費用のマイナス分を埋めて 経常利益を増やす関係だったからだ。

ところが04年度に初めて財テク利益がプラスに転じ、07年度2・7兆円、
08年3・4兆円と増え、13年度には7兆円に達した。

リーマンショックを契機にして急増した財テク利益は、
いまや企業の経常利益の2割以上を占めている。

近年、自動車や家電製品の欠陥品製造があいつぎ、
リコール(不良品の回収)が後を絶たない。

こうした技術低下は 製品製造という本業を切り捨て、
財テク利益の増加にばかり傾斜していることとも無関係ではない。


さらに大企業が保有する投資有価証券のなかで急増したのは

株式(当期末固定資産)である。

2003年度から10年間で107兆円増え、2013年度には196兆円に達した。

子会社の株式や日本企業が設立した現地法人の株式が多く、

海外子会社の設立やM&Aによる海外企業の買収で
株式保有が増加したことを示している。

リーマンショック以前の企業の海外進出は、内需が見込めないなか、
海外で安い部品を作って海外販路を広げるという海外進出だったが、

今では海外にあるめぼしい企業の株式を買いあさり、
ピンハネだけで利益を得る方向へ舵を切っている。

そのため自動車業界も東南アジアやインドなどに生産拠点を作り、
そこから日本も含め世界中へ輸出する体制を強化している。

海外の日系企業が世界で販路を拡大すれば、
株式を持っているだけで株主配当は高くなり、
なにもせずに利益が転がり込んでくる関係だからである。

こうした新手の海外進出によって大企業は日系進出企業の株式保有を増やし、
そこからの配当金とロイヤルティを受けとり、海外企業の利益を獲得している。

現地法人からの大企業の受取収益はリーマンショック前の07年は2・2兆円だったが、
2014年度は5・8兆円(経産省「海外事業活動基本調査」)になり2・6倍に伸びた。

国内で本業を切り捨てて財テクで内部留保をため込み、

その資金で海外企業の株式を保有し、

株主配当やロイヤルティによるもうけをむさぼっているのが巨大企業の姿である。

そこには社会で役立つ製品を開発・製造し、

その販売や社会的有用性によって利益を追求していく生産原理の経営姿勢は微塵もない。


このようなカネでカネをもうけていく経済構造が存在する限り、

国民には一切資金は回らず、国内経済が好転しないのは歴然としている。



☆大企業に至れり尽せり

こうした大企業のみを国挙げて優遇する構造を強化したのがアベノミクスだった。

もともと39・54%(2011年)だった法人実効税率は

2012年に37%に下がったが、これを14年=34・62%、

15年=32・11%、16年=29・97%に引き下げ、

2018年度には29・74%にすることを決めている。

法人実効税率は2%の引き下げで約1兆円規模の減税となる。

ここ5年の10%近い減税は大企業全体で5兆円規模の減税措置である。

加えて時の政府が大企業の税金を特別に安くする「政策減税」もある。

その合計額は2014年度で約1兆2000億円に上った。

トヨタ自動車は研究開発減税の1083億円、

研究費総額に係る税額控除の777億円など、約2300億円もの減税措置を受けていた。


さらにトヨタや日産など輸出主体の大企業は、製品を輸出するたびに

「輸出品は消費税の回収ができない」という理由で

消費税分が還付される制度がある。

消費税が1%増えるたびに還付金が増える仕組みで、

この還付金は国内の中小商店が納めた消費税納付額から支払われる。

還付額がもっとも多いトヨタ自動車は
消費税5%だった2010年度段階の還付金が約2200億円で、

消費税が8%になった2015年度の還付金は3633億円に膨れあがった。

一般庶民は消費税が増えると財布から出費が増えていくが、

大企業は逆に消費税でばく大な利益が転がり込むしくみである。


そして大きいのは異次元緩和と呼ばれる円安誘導策である。

もともと通貨に関しては、どの国も政府が決めるのではなく中央銀行が独自に決め、

中央銀行の政策で通貨の流通量を決めてきた。

だが安倍政府は政府が勝手に通貨の流通量を増やすことを決め、

日銀側がその要求を拒むと日銀総裁を更送し金融緩和を強行した。

その結果、2012年に約1㌦=80円前後だった相場が

現在1㌦=112円になり、この5年間で32円規模の円安になった。

輸出企業であるトヨタは1円円安になっただけで年間利益が400億円増える

といわれており、30円規模の円安となれば約1・2兆円も増益になることを意味する。

同時に円安は 海外預金やFX(外国通貨を売買する投資)などで

外貨を保持している投資家の利益も増加させた。


こうしてアベノミクスで大企業は巨万の富を築いているが、

国民が経験してきたのは、非正規雇用の4割超え、

所得税、住民税、相続税の増税、介護報酬の削減、年金支給の減額、

消費税の8%への増税、物価上昇など惨憺(たん)たる現実だった。

それは物が有り余って大量に廃棄される一方で、

高齢者の餓死や孤独死が頻発する社会情勢にも反映している。


安倍政府によるアベノミクスで拍車をかけてきたのは、まぎれもなく、

富める者がさらに富んでいく構造であり、

国民のもとにはトリクルダウンどころか一滴の富もしたたり落ちない構造が

すでに出来上がっている。

日本社会を豊かにするためには、実体経済を切り捨てて

内部留保を握りしめて離さない 強欲な大資本の富を解放し、

社会の利益に役立たせる以外にない。



國周、二枚目、



「江戸八景 品川秋月」 「丁子車のお粂 岩井粂三郎」 「立花の市 市村羽左衛門」です。



ど腐れ官僚どもの内ゲバかw

◆http://www.asyura2.com/17/senkyo232/msg/293.html
投稿者: 赤かぶ 日時: 2017 年 9 月 14 日  kNSCqYLU
◎中枢がヒビ割れを起こした安倍政権は もう長くはもたない 
 永田町の裏を読む(日刊ゲンダイ)


▼http://asyura.x0.to/imgup/d7/6637.jpg

☆https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/213447
日刊ゲンダイ 2017年9月14日 


「安倍政権はいちばん中枢のところからヒビ割れを起こしていて、

このままでは年内もつのかどうかだ。 来年9月の総裁3選などとんでもない」と、

自民党のベテラン秘書が言う。

中枢のヒビ割れとは、両輪となって安倍外交を支えてきた

今井尚哉首相秘書官と 谷内正太郎国家安全保障局長の関係が険悪化していることだ。

すでに谷内は辞表を出したが、安倍が何とか説得してとどまらせようとしている。

それを見て今度は今井がむくれて、

「安倍政権は来年9月で終わりだ」などと公言し始めた。


2人の関係がこじれたきっかけは、ロシア外交である。

昨年12月のプーチン大統領の来日を、北方領土がどんな形にせよ

返ってきた場合にそこを日米安保条約の適用範囲とするのかといった難問を含めて、

地道に準備してきたのは谷内である。

ところが、今井は“そんなやり方ではまだるっこしい”とばかり介入し、

マスコミを通じて今にも北方領土が返ってくるかの期待感を盛り上げ、

山口県の高級温泉旅館にプーチンを泊まらせて、

安倍と一緒に風呂に入る場面を撮影させようなどと

バカ騒ぎといえるような過剰な演出で何とか成果を出そうとした。

しかしプーチンはこんな幼稚な仕掛けには乗らず、

大山鳴動ネズミ一匹の大失敗に終わった。

しかも今井は、その失敗を糊塗しつつ自分の力を誇示しようとして、

東京に戻ってから、自分が官邸の一室で谷内や秋葉剛男外務審議官らと

対ロ交渉方針を協議している場面を、

かねて親しい関係にあるNHKの岩田明子記者に“スクープ”させ、

特番を組んで流させた。

音声抜きではあったが、今井が滔々と語るのを

谷内が黙って聞いているというその映像は、

「安倍外交を取り仕切っているのは俺だ」とアピールするためだけのもので、

NHK電波の私的利用に当たる。


2人の関係がさらに決定的になったのは、5月に北京で開かれた

「一帯一路」国際会議に今井が安倍のいわば名代として出席したことである。

これは、米国と歩調を合わせて習近平肝いりのAIIB(アジアインフラ投資銀行)

への参加に慎重な姿勢をとってきた安倍政権にとっては、重大な路線転換で、

日中関係のみならず日米関係も含めた

戦略的な判断と周到な調整が必要だったはずだが、

今井は谷内を無視してスタンドプレーに走った。

それで谷内は辞表を叩きつけたのである。

中枢がこんな壊れ方をしたのでは、もはや政権は長くはもたない。


                          高野孟 ジャーナリスト



國周、三枚目、



「見立白浪八景 砂村の秋の月」 「大寺庄兵衛 中村芝翫」です。



民進党の分裂加速中、小澤の民進党への復帰説もある、

◆http://www.twitlonger.com/show/n_1sq69e3
市村 悦延 · @hellotomhanks  12th Sep 2017
◎甘利明は守られて 山尾志桜里は守られずー(田中良紹よしつぐ氏)


前回ブログを書いた直後に
山尾志桜里衆議院議員が民進党を離党する記者会見を行い、

そのことを巡ってまたテレビのワイドショーがバカ騒ぎを続けている。

なぜバカ騒ぎが続くかと言えば「男女関係はない」と言い切る山尾氏が

離党したからである。

「男女関係がないならなぜ離党したのか、嘘をつかずに男女関係を認めろ」

というゲスの怒りが爆発し、だからテレビが取り上げる。

しかしフーテン(田中良紹)は前回のブログで書いたが、

政治家の身の下問題を騒ぐことほど愚劣なことはないと考える。


政治家の最も「私」の部分に属する問題は、

政治家にとって最も重要な「公」の能力と何の関係もない。

政治家の能力は 唯一「公」の分野で判断されるべきで、

もし問題にされることがあるとすれば

身の下の相手に「公」の立場を利用して利益を供与した場合である。

私的な関係の範囲を超えていなければ問題は何もない。


民主主義政治の先進国ではそれが常識なのだが、

米国だけがそれとは異なっていたものをクリントン大統領の

セックス・スキャンダルが命取りにならず、

「未熟な米国政治がようやく成熟した」と

フランスのメディアから称賛された事例を前回のブログで紹介した。


従ってフーテンは山尾議員の議員辞職などとんでもないと思い

離党にも反対であった。

文春の記事に堂々と対応した方が良い、

対応ぶりによっては「禍を転じて福」とすることもあり得ると考えていた。

ところが山尾氏は「男女関係はない」と言い切る一方、

民進党に迷惑をかけるという理由で離党を発表した。

これで民進党に山尾氏を守る気がなかったことが分かる。


同じく週刊文春に「口利き疑惑」を報道された甘利明衆議院議員が

自民党を離党せず今も主要な地位にいるのとは対照的である。

スキャンダル報道に対し自民党は所属議員を守るが民進党は守らない。

その構図が鮮明になった。


言うまでもなく「口利き疑惑」の方が 「不倫疑惑」より政治家にとって

致命的である。

フーテンの考えでは100対0の割合だ。

「不倫疑惑」は騒ぐ方がおかしいので問題にならないが、

「口利き疑惑」は汚職の疑いだから100%問題にすべきである。

「口利き疑惑」は国会で厳しく追及されて当然の事案である。


しかし「不倫疑惑」を国会で追及する議員はいるだろうか。

追及すれば追及した議員がバカにされ つまはじきされるだろう。

「不倫疑惑」はせいぜい三流週刊誌やテレビのワイドショーで

バカ騒ぎするゲスな大衆向けの話題で、

まともな場所でまともな人間が追及する問題ではない。


ところが山尾議員は党から離党を迫られ甘利議員は党によって守られた。

これがどのように政党に跳ね返ってくるか、そのことを民進党は考えたのだろうか。

民進党執行部は山尾議員を守れば国民の反発を買い

党は致命的な打撃を受けると考えたのだろう。

しかし離党させることが党の利益にならないことだってある。

そこのところの計算がフーテンには分からない。

現実に起きているのは、山尾氏を離党させたことで

民進党が週刊誌報道を認めた形に見え、

一方の山尾氏は「男女関係はない」と言い切り、

ゲスが怒りだして問題が尾を引いている。


自民党と民進党では考え方に隔たりがある。

フーテンの見るところ自民党は建前よりも利を重視する。

しかし民進党はきれいごとに目が行きがちで利に疎い。

その印象が今回の騒動で増幅された。

そしてフーテンが思うのは、

国民は瞬間的には「建前のきれいごと」を支持するが、

長い目で見れば「きれいごと」を言って利に疎いより、

「薄汚く思えても」利に聡い方を好感する。

政治は理想をくどくど言われるより 利益をくれる方が良いという結論になる。

これは間違っているとは言えない。


自分たちの暮らしを良くしてくれるのが政治であり、

食えない理想論を説教されるのを拒否するのはまともである。

従って09年の総選挙で民主党が「国民の生活が第一」を掲げ、

新自由主義によって格差を拡げた自民党を大敗させたのは当然であった。

国民は「改革」を連呼する自民党より

「生活」を連呼する民主党に期待をかけた。

しかし長年自民党政治のやり口を見てきたフーテンには

政治を分かっている者が民主党にはあまりおらず、

きれいごとを言うだけの集団に見えた。

自民党が恐れるのは小沢一郎代表ただひとりに見えた。


またロッキード事件で検察のやり口を見てきたフーテンは

検察は必ずでっち上げ捜査で 小沢代表の政治生命を絶つだろうと予想した。

不幸にも予想は当たり 小沢氏は民主党代表を降りることになる。


この時も民主党は全く小沢氏を守ろうとしなかった。

そして「生活」を守ると約束した選挙公約が

次々に変えられ国民の支持を失っていく。

その民主党の政権運営の未熟さをつついて安倍総理が権力に返り咲き、

アベノミクスというニンジンで国民を幻惑したが、

国民は全く生活の向上を実感できず、

その上にお友達への利益誘導と見られる「森友・加計問題」によって

国民の不信感はこれまでになく高まった。


そうした時に 野党第一党の民進党は 安倍政権に全く一矢を報いることが

出来なかった。

「国民に受ける」という理由だけで蓮舫代表を選んだことが間違いだ

ということに気づかない政党だからである。

政治能力とは何かを分かっていない。


「建前のきれいごと」はバカでも言える。

きれいごとでないことをどうやってやるかが政治で、

そのためには汚れ役も必要なら 役割分担も必要で、

何よりも 政治は騙しである ことを身に沁み込ませる必要がある。

そうでなければ権力闘争に勝つことは出来ず、政治の理想は達成できない。


「孫氏の兵法」の要諦は「兵は詭道キドウなり」である。

つまり戦争は騙し合いだという。

騙す方が戦いに勝つ。

政治は戦いであるからそれと同じである。

あのリンカーンが奴隷解放を成し遂げるため

裏でどれほど騙しや利益誘導を行ったかを調べてみると良い。


政治家の能力は結果がすべてで 人気や支持率は関係ない。

人気や支持率を気にする政治家に碌な政治家はいない。


今回の山尾議員離党劇には「建前のきれいごと」を気にする

いつもながらの民進党の体質が現れたようでフーテンは失望した。

民進党はさらに離党者が出るものと見られているが、

落ちるところまで落ちたのだから、

それもこれも学習の一助として 受け止めていくしかないだろう。



◆http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2017/09/post-9449.html
植草一秀の『知られざる真実』
2017年9月16日 (土)
◎小沢一郎氏が再び 民進党救世主になる


年内に衆院総選挙があるかも知れない。

もりかけ疑惑で安倍自民党は窮地に追い込まれたが、
追及する主役であるべき民進党が自爆している。


2006年も小泉政権が窮地に追い込まれ始めたタイミングで民主党がこけた。

米国牛肉の輸入を拡大したが危険部位が混入されていた。

耐震偽装疑惑が拡大した。

防衛施設庁の汚職問題が拡大した。

小泉純一郎氏が支援したライブドアの堀江貴文氏の刑事事件が発覚した。

民主党が小泉政権打倒に進むべき局面

民主党が堀江氏と自民党幹事長武部勤氏との間で交わされたとするメールの
取り扱いで失態を演じ、
小泉自民党を追い詰めるはずが、前原民主党が崩壊するという結果を招いた。


しかし、「災い転じて福となす」、あるいは「禍福はあざなえる縄のごとし」である。

前原誠司代表が辞任して、火中の栗を小沢一郎氏が拾った。

ここから民主党の大躍進が始まったのだ。

民主党は4月の千葉7区衆院補選に奇跡の逆転勝利を演じた。

小沢代表は「国民の生活が第一」のスローガンを掲げて、

2007年の参院選に大勝利。

参院第一党に浮上し、2008年に代表三選を果たした。

日本政治刷新を恐れる既得権勢力は、

民主党の小沢一郎氏と鳩山由紀夫氏に対する

卑劣で苛烈な人物破壊工作を展開したが、

この攻撃をかわして2009年に政権交代の偉業を成就した。


しかし、日本政治刷新を阻止しようとする既得権勢力の執念はすさまじかった。

小沢一郎氏、鳩山由紀夫氏に対する人物破壊工作を激化、

民主党の内部に手を回して政権転覆を図った。

革新政権は破壊され、既得権勢力の傀儡政権である菅直人政権、野田佳彦政権

が樹立され、安倍自民に大政が奉還されたのである。

今回、安倍政治を打倒するべき局面で前原民進党がこけて、

安倍政治の延命可能性が浮上している。

再び小沢一郎氏が民進党の救世主として登場し、局面の大転換を実現するのか。

極めて重大な局面が到来している。


政治を刷新するには、何よりも選挙に勝たねばならない。

安倍政治を打破する勢力が結集しなければならない。

何よりも重要なことは、主権者国民が結集することだ。

主権者国民が全面的に支援する体制を構築しなければならないのだ。

そのためには、主権者にとって最も重要で、最も切実な問題に焦点を当てる必要がある。

その最重要テーマに掲げるべきと考えられるのが 原発と消費税だ。


原発稼働停止=原発廃止については、

すでに多数の主権者がこれを求めていることが明確になっている。

原発についての政策を選択する選挙では、「原発NO」の旗を明確に掲げた勢力が、

これまでの知事選等でも勝利を収めている。


もう一つの最重要テーマに消費税を掲げるべきだ。

消費税減税、消費税廃止を掲げると、

「これには賛成しかねる」と反応する国民は少なくない。

この人々は、すべて、財務省の詐術に絡め取られているのである。

前回の2014年4月の消費税増税で、日本経済は大不況に転落した。

この点は拙著『日本の奈落』(ビジネス社)をご高覧賜りたい。

私は、2013年末に『日本経済撃墜』(ビジネス社)で、

消費税増税で日本経済が撃墜されることを予測した。

そして、その通りの現実が日本経済を襲ったのである。

日本政府は2014年1月以降の景気後退を隠蔽したまま、

景気回復が続いていることにして「いざなぎ超え」などという虚偽情報を流布している。

2016年度の税収55.5兆円が

消費税が導入された1989年度の税収54.9兆円とほぼ同額であるから

現実の変化を理解しやすい。

主要税目の税収は、1989年度が所得税21.4兆円、法人税19.0兆円、
消費税 3.3兆円だった。

これが、2016年度に、所得税17.6兆円、法人税10.3兆円、
消費税17.2兆円になった。

この27年間に生じた変化は、所得税が4兆円、法人税が9兆円減って、

消費税が14兆円増えたというものである。


消費税が社会保障拡充のために拡大してきたというのは真っ赤なウソなのだ。

法人税と所得税を減税するために消費税増税が強行されてきた。

法人税と所得税減税で恩恵を受けてきたのは、一握りの富裕層である。

法人税率は42%だったものが23.4%にまで引き下げられてきた。

所得税・住民税の最高税率はかつて88%だったが、

これが消費税導入とともに65%に引き下げられ、さらに50%に引き下げられてきた。


さらにもう一つ、決定的に重要な財務省の「ウソ」がある。

それは、日本政府が1000兆円の借金を抱えて、

「いつ財政破綻の危機に直面してもおかしくない」という「ウソ」が

バラ撒かれてきたことだ。

政府が発表している国民経済計算年報という資料に基づくと、

2015年末の日本の一般政府債務残高は1262兆円で、

たしかに1000兆円を超す債務は抱えているが、その一方で、

1325兆円の資産を保有していることが分かる。

差し引き63兆円の資産超過なのだ。

このような財務状態で財政破綻に陥る可能性はゼロである。


弱肉強食の経済政策と 法人税・所得税減税=消費税増税の政策によって

もたらされてきたのが、「世界有数の格差大国」という日本の現実なのである。

「消費税減税・廃止」を次の総選挙の最重要争点に掲げるべきである。




年内解散はあると思う、臨時国会・冒頭解散の可能性が高い。




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