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多雨の夏至Ⅱ

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 画は 葛飾 北斎(葛飾 北齋)かつしか ほくさい 

 宝暦10年(1760)? ~ 嘉永2年(1849年)

 号は、葛飾 北齋、前北齋、戴斗、為一、
                  画狂老人、卍 など。        作



  「冨岳三十六景 凱風快晴」です。


☆曇り、気温低め。

すべての在日米軍基地の撤去を!

◆http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/simaguruminoyuruganutikara.html
長周新聞  2016年6月20日付


    島ぐるみの揺るがぬ力

  元海兵隊の蛮行糾弾する沖縄県民大会

    沖縄から海兵隊撤退せよ



「元海兵隊員による残虐な蛮行を糾弾! 

被害者を追悼し、海兵隊の撤退を求める県民大会」

(主催・辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議)が19日、
沖縄県那覇市の奥武山陸上競技場をメイン会場にして開催された。

今年4月に沖縄県うるま市で起きた、元海兵隊員による
20歳女性の強姦殺人事件に対して、満腔の怒りを持って糾弾するとともに、
二度と同じ悲劇をくり返させないために日米両政府に米海兵隊の撤退を求めた。

沖縄全土をはじめ本土からの参加者も含めて6万5000人が結集し、
会場は熱気に包まれた。

喪服に身を包んで参加する島民の姿もあった。

 
☆6万5000人の熱気 日米政府に突きつける

集会は参加者全員で黙祷をおこなった後、今回の事件で亡くなった
20歳女性の父から届いた手紙が代読された。

父親は「米軍人、軍属による事件、事故が多いなか、
私の娘も被害者の一人となった。なぜ娘なのか、

なぜ殺されなければならなかったのか、今まで被害にあった遺族の思いも
同じだと思う。被害者の無念は計り知れない悲しみ、苦しみ、怒りとなってゆく。

それでも遺族は安らかに成仏してくれることを願っている。

次の被害者を出さないためにも、全基地撤去、辺野古新基地建設に反対、
県民が一つになれば可能だと思っている。

県民、名護市民として強く願う」と思いを託した。

続いてオール沖縄会議の共同代表たちが挨拶した。

名護市の稲嶺進市長は、2日前に名護市で追悼集会を開催したことを伝え、
「われわれはもうすぐ慰霊の日を迎える。71年前もこんな暑さだったのだろう。
あのときも多くの県民が戦火の中を逃げ惑った。

そして20万余の犠牲があった。

太平洋戦争から71年がたつが、今日このような集会を開かなければならない。
71年前から沖縄県民の人権は無視され、多くの犠牲が押しつけられてきたし、
今なお変わらない実態があらわれている」

「すべての夢とその未来を一瞬にして消し去られてしまった、
親は子どもに対して強い思いを果たしてきた。

われわれ行政をやる者、政治の場にいる者、そして多くの県民は、
今回もまた一つの命を救う“風がたか”(雨風から守る風よけ)になれなかった。

無力感もあるが、悔しさはその何倍も私たち一人一人のなかにある。

このような事件が二度と起こらないようにわれわれは頑張らないといけない」
と事件への思いをのべた。

そして、名護市辺野古への新基地建設に反対し、一時的ではある
が押しとどめていることについて
「これは県民の力だ。私たちのこの力で二度とこのような事件を起こさないと誓い、
行動を起こし、みんなの心を一つにしてこれからも頑張っていきたい」と挨拶した。

同じく共同代表の呉屋守将氏は、2日前に名護市で開催された追悼集会で
被害者の両親が「最後の犠牲者にしてください」
と訴えたことに勇気づけられたことをのべ、

「静かに被害者の冥福を祈ることが追悼ではない。
彼女を最後の犠牲者とすべく具体的な有効策を講じることが
われわれに託された責務だ」と訴えた。

そして、「戦後71年に及ぶ屈辱的な扱いのなかで失われ、
あるいは傷つけられてきた沖縄人の尊厳と誇りをとり戻すことが今、
なによりも求められている。

われわれと、そして未来の沖縄人のためにも、いったい何名の犠牲者を出さないと
この沖縄の苦しみをわかってもらえないのか。

私はこのことを安倍総理をはじめとする責任ある人人に問いかけたい。

戦中・戦後を通じて沖縄県民に押しつけられてきた差別的、
そしていわれのない犠牲の強要があった。

それについて安倍総理、あなたは遺族そして沖縄県民に真剣に向きあって
心から謝罪をすべきではないか。

みなさん、われわれ一人一人は弱いかもしれないが、
決して屈しない、屈してはならない」と訴えた。

会場からは「そうだ!」というかけ声がかかり、拍手が沸いた。

島ぐるみ会議共同代表の高里鈴代氏は奪われた命に追悼の意を表明した後、
35年前のある朝、3人の米兵からレイプされた女性が、
当時那覇市で婦人相談員をしていた同氏に、

「私は21歳で人間でなくなったけど、私は人間だからね。忘れないでね、高里さん」
と電話を寄せた出来事を重ねて語った。

彼女のその後の人生は厳しく、精神科への入退院をくり返しながら、
ともにアパートを探したりして寄り添っていたこと、

ベトナム戦争当時には、絞め殺されそうになって難を逃れた女性たちにも出会い、
実際にレイプされて絞め殺され、死体となって溝に放置されている女性が
1年間に4人もいたことを語った。

そして、「“ベトナム戦争ですさまじかったから”“あのときは復帰前だから”と
思いたくなってしまうが、復帰して今日までそのようなことが起こっている。

もう二度とくり返させないために、この場に集まった私たちはどのように思いをあらわし、
行動したらいいか考えなければならない。

軍隊が駐留し、その軍隊が日日の訓練のなかで殺戮と破壊の訓練を受け、
イラク、アフガン、そして今から起こるであろう世界の紛争に出かけていく。

沖縄がそのような場所であるなら、今回の女性の被害と同じように
新たな被害を生んでしまわないだろうか。

私たちは多くの傷つき殺され、沈黙を強いられている声を
しっかり耳を澄ませて聞こうではないか。

実はこういうのもある、まだあるよと埋もれている声も発掘して、呼び起こして、
その声を集めて新たな基地の建設および海兵隊の駐留を認めない行動につないでいきたい」
とのべた。


☆若い世代も真剣な訴え 「一番の脅威は米軍」

被害者女性と同年代の玉城愛氏は
「バラク・オバマさん、アメリカから日本を解放して下さい。そうでなければ、
沖縄に自由とか民主主義が存在しない。

私たちは奴隷ではなく、あなたや米国市民と同じ人間だ。
オバマさん、米国に住む市民のみなさん、被害者、沖縄人に真剣に向きあって謝って下さい。

自分の国が一番と誇ることはけっこうだが、人間の命の価値がわからない国、
人殺しの国だと呼ばれていることをご存じだろうか。

軍隊や戦争に対する本質的な部分をアメリカがみずから問い直すべきだと思う」

「生きる尊厳と生きる時間が軍隊によって否定される、命を奪うことが正当化される。
こんなばかばかしい社会をだれがつくったのか。

沖縄から人間の生きる時間、人間の生きる時間の価値、
命には深くて誇るべき価値があるんだという沖縄の精神を声高高と上げていこう」
とのべた。

続いて、若い世代を代表して沖縄出身や、県外出身で沖縄に在住している
4人の大学生が登壇し、一言ずつ発言した。

沖縄出身の男子学生の一人は、「元海兵隊員による女性遺棄事件が発覚したとき、
私はとても悲しく、悔しい気持ちでいっぱいだった。

このような事件で県民大会が開かれるのは1995年の少女暴行事件以来だと思う。
当時私は4歳だった。私には当時の記憶はないが、当時の人がどのような思いだったのか、
今回の事件でわかったような気がする。

1950年以降、強姦殺人だけでも22人、未遂を含む強姦は321人、
その他、殺人、強盗、強姦を含めた凶悪犯罪は1972年の復帰以降だけでも
571件にのぼっている。

このような事件が続いている以上、原因は米軍基地にあるといわざるをえない。

米軍基地をとり除くことでしか解決しないといわざるをえない」

「日本の安全保障とはいったいなんなのか。一番の脅威は私たち隣人を襲う
米軍・米兵の存在ではないか。

日本政府がいう国民に沖縄の人は含まれているのか。

憲法がうたう国民に沖縄の人は含まれているのか。

私たちが平和に生きる、幸せに生きる権利はあるのか。

そのような疑問が次次と私のなかに沸いてくる。

沖縄、この島に住む人は何にもおびえることなくウォーキングをしたいだけだ。

この島に住む人は何の心配もなく、いってらっしゃいと息子を、娘を、恋人を
送り出したいだけだ。

この島に住む人は何の不安もなく家族が、恋人が待つ家に帰りたいだけだ。

私たちはただ、普通にこの島で生きていたいだけだ。

このような事件がもう二度と起きないように、

二度とこのような事件に対して県民大会を開くことがないように、この島に、

沖縄に住み生きる人たちが、とくに女性、子どもたちが普通に暮らせる、

生きやすい社会を私たち一人一人がつくっていこう。

私はつくっていくとここに誓う!」とのべ、大きな拍手がわき上がった。

集会の最後に発言に立った翁長雄志・沖縄県知事は、
遺族に対して哀悼の意を表した後、

「二一年前のあの痛ましい事件を受けての県民大会で、二度とこのような事件を
くり返さないと誓いながら、政治の仕組みを変えることができなかったことは、
政治家として知事として痛恨の極みであり、大変申し訳なく思っている」とのべた。

そして、安倍首相に事件について抗議した際、沖縄県知事として
県民の生命と財産、尊厳、人権、子孫の安全を守るために
日米地位協定の見直しを強く要望し、

運用改善による対応では限界があることを伝え、
凶悪事件の発生は広大な米軍基地があるが故だと強く主張したことを明らかにした。

しかし事件が明るみになった直後の日米首脳会談であったにもかかわらず、
首相は日米地位協定の見直しに言及せず、

「辺野古移設が唯一の解決策である」などとのべた。

そのことについて、「私たちは心を一つにして強い意志と誇りを持って
この壁を突き崩していかなければならない。

今日、この日を改めての決意の日にして全力で頑張っていこうではないか」と訴えた。

「政府は県民の怒りが限界に達しつつあること、これ以上の基地負担や県民の犠牲は
許されないことを理解すべきだ。

私は県民の生命と財産、尊厳と人権、そして将来の子や孫の安心と安全を守るべき
知事として、このような事件が二度と起きないよう県民の先頭に立って

日米地位協定の抜本的な見直し、海兵隊の撤退、削減もふくむ基地の整理・縮小、
新辺野古基地建設阻止にとりくんでいく不退転の決意をここに表明し、挨拶とする」

とのべ、最後に沖縄方言で「みなさん! 負けてはいけませんよ! 

沖縄の人人みんなで子や孫を守っていきましょう!」

と呼びかけると万雷の拍手やかけ声、指笛が鳴り響いた。



北齋、二枚目、



「百物語 お岩さん」です。


キンペーも長くなさそうだ、

◆http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48959
現代ビジネス  2016年06月21日(火) 近藤 大介
◎『人民日報』がまさかのトップ批判!
  激化する「習近平vs李克強」路線闘争、その舞台ウラを読み解く
  漂流する中国経済


☆中南海」で何が起こっているのか?

先週6月15日は、習近平主席の63回目の誕生日だった。

おそらく習主席は、誕生日を利用して自己の偶像崇拝化を図ろうとしたのではないか
と思うが、その2日前の6月13日に、強烈な「反撃パンチ」を浴びた。

習近平政権の「公式見解」が載るはずの中国共産党中央機関紙『人民日報』に、
「トップのあるべき姿とは」と題した驚くべき評論が載ったのだ。


〈 トップ(一把手)であるには、自分が握っている舵の限度をよくわきまえねばならない。
何が可能で何が不可能なのかということだ。

あるトップは、自分がナンバー1だと勘違いして、職場を自分の「領地」に見立てて、
公権を私権に変えて、やりたい放題だ。

自分の話を誇大妄想的に政策にしていき、職場を針も通さない、
水も漏らさない独立王国に変えていく。

このような唯我独尊的な権力の保持は、大変危険であり、
往々にしてそのようなトップは「哀れな末期」を迎えるものだ。

その他、トップというのは、全局を掴み、大事を謀り、
大を掴んで小を手放すのに長けていなければならない。

それなのにあるトップは、自分の手元から大権がこぼれ落ちるのを恐がって、
分をわきまえない。それですべての権、財、物、人を独占しようとする。

大から小まですべてを掌握しようとして、結果、何も掌握できない様となるのだ 〉


ここに掲げたのはエッセンスで、実際の文章はもっと長い。
文中で論じた「トップ」が習近平主席のことであるとは一言も書いていないが、
中国人なら誰が読んでも、習近平主席を想像して、思わず苦笑してしまう文章だ。

これほど強烈な習近平批判ののろしが、党中央機関紙から上がったことは、
過去に一度もない。「中南海」で、いったい何が起こっているのか?


☆新婚初夜に党章を書き写す「模範党員」

先月のことになるが、5月16日午後3時40分、中国南部・江西省の省都・南昌市にある
南昌鉄道が運営している自社のミニブログに、
若い新婚夫婦を撮った一枚の写真が掲載された。

写真には、南昌送電所のエンジニア助手・李雲鵬君と、鉄道の補修工助手・陳宣池さんが、
それぞれ燕尾服とチャイナドレスを着て写っている。

前日の15日日曜日に、晴れて結婚式を挙げた二人は、「初夜」を迎えた。

ところが写真に写った新郎の李氏は、夜自宅のデスクに電気をつけ、
ノートを広げて一心不乱に筆記している。

新婦の陳さんは、そんな夫に寄り添って、書き写す様子をうっとりした表情で見守っている――。


「新婚之夜抄党章」(新婚の夜に中国共産党の党章を書き写す)と題されたこの写真は、
その後、図らずも、13億7000万中国人の間で、侃々諤々の議論を呼んだ。

5月3日にアップした本コラムで詳述したように、
4月26日、安徽省を視察した習近平総書記は、「両学一做」(二つの学習と一つの行為)の
大号令をかけた。

これは、8779万人の中国共産党員が全員、中国共産党の党章党規と習近平総書記の重要講話を、
手書きで写し、党員としてふさわしい行いをするようにという命令だ。

このようなことは、鄧小平、江沢民、胡錦濤の前3代の政権時にはなかった。

毛沢東時代の個人崇拝を、「負の遺産」として、固く禁じていたからだ。

筆記作業の第1弾となる党章は、調べてみたら、全文約1万5000字もある。
これを100日かけて書き写そうとすれば、1日150字ずつ、
無味乾燥な条文(失礼!)を書き写さねばならない。

忠実なる中国共産党員である李雲鵬君は、習近平総書記の「大号令」に反応した
南昌鉄道の共産党委員会に命じられて、毎晩、仕事を終えて帰宅すると、
党章の書き写しを始めた。

その20日目に、前から予定していた結婚式の日を迎えた。

だが新婚の夜も、熱心に党章を書き写したのだった。

そんな「模範党員」ぶりを示したのが、南昌鉄道のミニブログに掲載された写真というわけだ。


☆文化大革命をも肯定する習近平路線

そもそも、この物議を醸した写真が発表された5月16日は、
文化大革命の50周年記念日だった。

半世紀前の1966年5月16日、毛沢東は中国共産党中央政治局拡大会議を招集し、
「五一六通知」を採択した。

ここから「4人組」(文化革命小グループ)を立ち上げ、全国に「紅衛兵」を組織し、
「造反有理」(造反には理がある)をスローガンにして、
その後10年間で数千万の中国人が犠牲となる未曾有の悲劇が起こったのである。

中国共産党はその後、1981年6月、鄧小平の指導のもとで開いた
第11期中央委員会第6回全体会議で、「毛沢東同志に関しては功績が第一」としながらも、

文化大革命を起こした毛沢東の誤りを総括している
(「中国共産党中央委員会の建国以来の党の若干の歴史問題に関する決議」)。

この決議から35年の年月を経て、習近平総書記は、文化大革命50周年を機に、
毛沢東元主席が犯した文化大革命の過ちを、正当化しようと目論んだ。

今年2月26日、中国共産党中央機関紙『人民日報』は突然、次のような記事を掲載した。

〈 最近、習近平総書記は、毛沢東同志の『党委員会の活動方法』に学ぶように
という重要指示を出した。各級の党委員会のリーダーたち、特に重責を担う同志に、
この毛沢東同志の著作を重視するよう、明確に要求した 〉

ここから習近平総書記は、毛沢東主席の生涯の「功績」に対して
批判することを禁じていった。

それは、文化大革命をも肯定するということであり、
いつのまにか1981年の決議を反故にしてしまったのである。

これに、鄧小平を「政治の師」と仰ぐ李克強首相以下、
「団派」(中国共産主義青年団出身者)の幹部たちが不満を募らせたことは、
想像に難くない。

その後、全国人民代表大会(3月5日~16日)の前後に、
習近平vs李克強の激しい権力闘争が起こった。

そのことは、このコラムで書いてきた通りだ。

続いて、習近平総書記は安徽省視察(4月24日~27日)で、
毛沢東ばりの個人崇拝路線に舵を切った。

そして文革50周年にあたる5月は、習近平総書記への個人崇拝路線を是とするか非とするか
という「党内闘争の月」となったのである。

ところが、この写真がアップされたとたん、中国のネット上で、直ちに「炎上」してしまった。

「何とも哀れな、若き中国共産党員よ! 自分も家族も、共産党員でなくてよかった」

「李雲鵬は、きっとゲイなんじゃないか?」

「いや、インポテンツなんだよ。だから初夜なのにベッドへ行かず、
党章なんか書き写している」

「關關雎鳩、在抄党章。窈窕淑女、還抄党章」

(關關たる雎鳩は、党章を書き写している。窈窕たる淑女も、
いまだに党章を書き写している。=『詩経』の有名な冒頭のもじり)

「挙頭望明月、低頭抄党章」
(頭を挙げて明月を望み、頭を下げて党章を書き写す。
=李白の有名な詩「静夜に思う」のもじり)

このように、個人崇拝の浸透を狙った習近平執行部から見たら、
思わぬ方向に議論が展開してしまったのである。

そのため中国共産党中央宣伝部は、ネット警察を駆使して、
ネット上に広がった「不穏当な発言」を、一斉に削除していった。

しまいには、もとの南昌鉄道のミニブログまで閉鎖してしまった。

この頃は技術の進歩によって、共産党執行部にとって好ましくないコンテンツが
ネット上にアップされると、たちまちのうちにパッと消されてしまう。

これを皮肉る「秒删」(ミャオシャン=秒消し)という新語が、流行語になっている。

「秒删」はいまや、中国人にとって日常の風景だ。


☆中国版AKBへの書き込みも「秒删」

「労働節」(メーデー)3連休の中日にあたる5月2日の夜7時半、
著名な映画監督の謝軍が演出を担当し、労働節を祝うビッグ・コンサートが、
北京の人民大会堂(国会議事堂に相当)内の「万人礼堂」で行われた。

万人礼堂は、名前の通り1万席以上ある巨大ホールで、
全国の党・政府・軍の幹部たち、それに多くのメディアが招待された。

この日、コンサートを開いたのは、「56輪の花」という名の、
14歳から20歳までの56人の少女たちだった。

一説によると、元国民的歌手で習近平夫人の彭麗媛が、
日本のAKB48のようなグループを中国に作ることを命じたという。

実際、中国メディアは、「56輪の花」に、
「世界最大規模のグループ歌手」という形容詞をつけている。

中国人は約92%が漢民族で、残りの約8%が55の少数民族である。

そのため、1民族1人ずつ美女をピックアップして、計56人の美女軍団を作ったのである。

だが、AKB48と違って、「56輪の花」が歌うのは、
「紅歌」(中国共産党賛歌)である。

この日は30曲の「紅歌」を熱唱し、そこには「偉大なる習近平」を讃える歌も並んでいた。

2013年11月3日に、習近平総書記が湖南省の貧しい苗族の村を視察したことを讃えた
『あなた様を何と呼んでいいか分からない』。

習近平政権のキャッチフレーズである「中国の夢」を讃えた
『中国の夢は最も美しい』などだ。

これは私の推測だが、「56輪の花」はコンサートを行うたびに、
古典的な「紅歌」を減らして、代わりに習近平総書記を讃える新曲が増えていく気がする。

ほとんど北朝鮮の「金正恩喜び組」の中国バージョンだ。

この時のコンサートでは、招待を受けた中国メディアは、
「56輪の花」の称賛報道をするよう強いられた。

今年2月以降、習近平総書記の命によって、すべての中国メディアは
「中国共産党の色」に染まることを義務づけられている。

そのため、かつては「北京市民の社会正義の代弁者」を標榜していた『北京青年報』までが、
「56輪の花の少女たちが人民大会堂に紅歌の熱風を巻き起こした」
と題したヨイショ記事を書いた。

このコンサートについては、「何だ、この歌詞は?」
「こんな歌でライバルのAKB48に勝てるのか?」といったネット上の書き込みも相次いだが、
すべては「秒删」されてしまった。


☆「権威人士」とは何者か?

続いて5月9日、『人民日報』に、「権威人士」なる人物が「中国経済の現状」を語る
異例の長文インタビュー記事が掲載された。

「権威人士」が『人民日報』に登場したのは、昨年5月25日、
今年1月4日に次いで3度目だった。

この記事は中国共産党内で、侃々諤々の議論を呼んだ。

政府の経済政策に反するような内容も、一部含まれていたからである。

そもそも中国経済の運営は、国務院総理である李克強首相の管轄である。

実際に李首相は、3月に全国人民代表大会で、2時間近くもかけて
『政府活動報告』(中国経済報告)を行ったばかりだ。

それなのに2ヵ月後に『権威人士』が出てきて、再び語る必要がどこにあるのか。

この件について詳しい中国共産党員に聞くと、次のように述べた。

「この『権威人士』というのは、習近平主席の中学校の同級生で、
最大の経済ブレーンである劉鶴・
中央財経指導小グループ弁公室主任兼国家発展改革委員会副主任だ。

習近平総書記と李克強首相は、経済運営を巡っても対立している。

李首相は民営化・自由化論者で、
習近平総書記は中国経済を、自己の権力基盤を固める道具と考えている。

劉鶴主任は習近平総書記の意を受けて、『人民日報』を、いわば『占領』した。

これは習近平総書記から李克強首相に向けた『警告』だ。

すなわち、『今後黙って自分に従わないならばクビを切るぞ』ということなのだ」

「権威人士」が語った内容については、大変長いので省略するが、
国務院が進める経済改革には問題があって、
党中央が規定する正しい「供給側構造改革」に沿って進めていかないといけない
と戒めるものだ。


北齋、三枚目、



「東海道五十三次」 「興津」です。



☆すべては李克強派を封じ込めるため

習近平総書記は、わざわざ文化大革命50周年の日にぶつける形で、
5月16日午前、中央財経指導小グループ第13回会議を開いた。

この小グループには、「トップ7」(党中央政治局常務委員)の中から4人が入っている。

グループ長の習近平総書記、副グループ長の李克強首相、
文化マスコミ担当の劉雲山常務委員、江沢民派の張高麗筆頭副首相である。

習近平総書記は、5月9日に「権威人士」が『人民日報』に語った内容から
ピックアップして演説した。

すなわち、中国経済を回復させるため、「供給側構造改革」を断行することが重要であり、
今年は特に「三去一降一補」
(過剰生産の除去、在庫の除去、金融リスクの除去、生産コストの低下、欠点の補填)
を進めるということだ。

また、中産階級を拡大させることも強調した。

習近平総書記の演説の他には、江蘇省、重慶市、河北省、深圳市の代表が、
「供給側構造改革」の実践例を報告した。

いずれもトップに習近平派が連なる地域だ。

続いて、国家発展改革委員会、財政部、人力資源社会保障部の代表が、
中産階級拡大への取り組みについて報告した。

前出の中国共産党員が語る。

「胡錦濤時代には、国家の重要事項は、党中央政治局常務委員会と
国務院(中央官庁)常務委員会が一体となって決めていた。

ところが習近平総書記は、政敵の江沢民派が過半数の4人もいる
党中央政治局常務委員会は信用していない。

かつ李克強首相がトップで、李克強派(団派)が多い国務院も信用していない。

そこで国家の重要事項を、中央財経指導小グループで決定し、
それを党中央政治局常務委員会と国務院常務委員会に下ろすシステムを構築した。

わざわざ文革50周年の日に合わせて中央財経指導小グループを開催したのも、
文革を徹底的に否定しようとする李克強派を封じ込めてしまうために他ならない」

こうして、もとのブログは閉鎖されたというのに、党中央宣伝部は、
「『新婚之夜抄党章』は国を利し、国民を利する良い行いだ」と題した文章を、
全国のメディアに対して転載するよう指示したのである。


☆『人民日報』に載った大胆な論評

結局、この文革50周年当日、中国メディアは沈黙した。
だが翌17日になって、『人民日報』に、
「歴史を鑑とすることは、よりよく前進するためだ」と題した論評が出た。


〈 文化大革命は、われわれの党と国家の発展段階の中で起こった大きな曲折だった。
1980年8月に、鄧小平同志はイタリアのファラチ記者に2度会い、当時、
中国内外が注視していた中国共産党の毛沢東同志と文化大革命に対する評価問題について、
鮮明に答えた。

一年後、党の第11期6中全会で、「建国以来の党の若干の歴史問題に関する決議」を採択した。
そこで文化大革命と、無産階級専制下での革命継続理論を、徹底的に否定した。

そして事実に基づいて、毛沢東同志の歴史的地位を評価し、
毛沢東思想を党の指導的思想とする偉大な意義について十分論述した。

文化大革命はリーダーが誤って発動したものであり、反革命集団に利用され、
党と国家と各民族の人民に、重大な災難となる内乱をもたらし、
行われた危害も全面的に重大なものだった。

歴史が十分証明しているのは、文化大革命が理論上も実践上も、完全に誤りだった
ということであり、文化大革命にはいかなる革命的意義も、社会進歩もない。

わが党のリーダーを含む失策と誤りから汲み取った厳粛な方針は、
第一に承認する勇気を持ち、第二に正確に分析し、第三に決然と修正することだ。

われわれは文革の再演を、絶対に起こさないし、許さない 〉


この『人民日報』の論評には、「任平」という署名が入っていた。
「百度」(バイドゥ)でこの名前を検索すると、
華為(ファーウェイ)の任正非総裁の息子を始め、11人の「任平氏」が出てきたが、
いずれもこのような大胆な論評を書くような人物ではない。

任という姓で最も有名かつ中国人が連想するのは、「大口叩きの任」
というニックネームの任志強・元華遠集団会長である。

任志強は2月19日、習近平総書記が「全メディアが共産党の色に染まれ」と
大号令をかけたことに抗議し、自身のミニブログに習近平批判を書き続けた。

その後、任志強が忽然と姿を消したことで、監獄に繋がれたという噂が立った。
だが5月2日になって、北京市西城区委員会がホームページで、
「党の政治紀律違反で一年間の監察処分となった」と発表した。

友人の王岐山・党中央紀律検査委員会書記が救ったとも言われる。

そんな人物を連想させるような署名で、習近平総書記が目論んだ
「文革肯定」と「個人崇拝」を阻止するような文章が出されたのである。

これはどう解釈すべきか?


☆すかさず反撃に出る習近平総書記

一つの仮定としては、李克強派(団派)が、文革の苦労を共有している
共産党の長老たちを巻き込んで、「習近平包囲網」を敷いたのではないか。

その結果、習近平総書記が一時的に、「後退」せざるを得なくなったのである。

だが、習近平総書記は、すぐさま反撃に出た。

この「文革否定論文」が出た5月17日午前、哲学や社会科学方面の学者たちを集めて、
「哲学社会科学活動座談会」を開催。

中国中央テレビのカメラを入れて、長い演説をぶったのである。

演説草稿全文を精読したが、A4用紙で14枚にも及び、
習近平総書記のマルクス主義に対する強烈な思いが込められている。

習近平総書記はよく長広舌をぶつが、これほど長いものは珍しく、
「マルクス→毛沢東→習近平」という思想の系譜を考えているように思われる。

そのエッセンスは、次の通りだ。

〈 今日はマルクス主義を含む理論研究の大家たちに来ていただき、挨拶を述べたい。
(2012年12月の)第18回中国共産党大会以来、宣伝思想文化と理論研究の活動を強化、
改変してきた。党中央が前後して開いた全国宣伝思想活動会議、文芸活動座談会、
新聞世論活動座談会、インターネット安全及び情報化活動座談会などの会議を通じて、
私は談話を述べてきた。
中国の特色ある社会主義を堅持し発展させるために、哲学や社会科学に携わる者たちは、
余人を持って代えがたい重要な役割を担っているのだ。

革命戦争時代、毛沢東同志は言っている。
「社会科学を用いて社会を理解し、社会を改造し、社会革命を進行させるのだ」。
毛沢東同志はまさに、偉大な哲学家であり、思想家であり、社会科学者だった。
毛沢東同志が著した『矛盾論』『実践論』などの哲学名著は、
いまに至るまで、重要な指導的意義を持っている。
毛沢東同志の多くの調査研究の名論文は、わが国の社会をつぶさに分析し、
社会科学の教科書となるものなのだ。

マルクス主義の誕生は、人類思想史上の偉大な事件だった。
(1917年にロシアに起こった)十月革命の砲声は、
中国にマルクス・レーニン主義をもたらした。
マルクス主義を意識形態において指導的な地位に置きながら、
いかにして社会主義の核心的な価値観を教育し実践していくか。
それこそが、哲学と社会科学の任務なのだ。

哲学と社会科学は、中国の特色ある社会主義事業を堅強な指導の核心に定めて、
「二つの百年」(2021年の中国共産党百年と2049年の建国百年)の目標を実現し、
中華民族の偉大なる復興という中国の夢を実現するのだ 〉


☆決定的な「習近平賛歌」

習近平総書記は、反撃の第二弾として、5月20日午後、
中央全面深化改革指導小グループ第24回会議を招集した。

この中央全面深化改革指導小グループは、2013年11月の3中全会
(中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議)で、
経済分野に関する実権を李克強首相から奪った習近平総書記が、
「改革の司令塔」として設立した組織だ。

習近平グループ長の下に、李克強、劉雲山、張高麗の3人の副グループ長がいる。

この会議でも習近平総書記は、
社会主義の核心的価値観の堅持、教育、実践を説いたのだった。

社会主義の核心的価値観とは、富強、民主、文明、和諧、自由、平等、公正、法治、
愛国、敬業、誠信、友善のことである。

習近平総書記は、この12の価値観によって中国の特色ある社会主義は発展していく
と説いている。

私見では、習近平政権下の中国では、このうち富強と愛国が、
やや先走っているように思えるが、ともかく「習近平思想」は、
この社会主義の核心的価値観によって成り立っている。

5月26日、『人民日報』は、ダメ押しとも言える習近平擁護論文を掲載した。

タイトルは、「一部の人間は国有企業改革を私有化の方向に持って行こうと尽力している」。

筆者は、周新城・中国人民大学教授である。

〈 習近平同志は、(2015年11月23日の第28回)中央政治局集団学習で、
「マルクス主義政治経済学」を学習テーマにした。その時、こう述べた。

「マルクス主義政治経済学の基本原理と方法論を学習することは、
科学的な経済分析方法を掌握し、経済運動の過程を認識し、社会経済発展の規律を把握し、
社会主義市場経済の能力を引き上げるのに役立つ。

国有企業はわが国の経済の支柱であり、国有企業改革は必ず、
マルクス主義政治経済学の基本原理と方法を堅持しながら運用し、
問題を分析していかねばならない」

習近平同志は、わが国の社会主義の60数年の発展の経験を奥深く総括し、
明確に指摘している。

「国有企業、特に中央が管理している国有企業は、国家の安全と国民経済の命脈に関係した
主要な業界と領域で、支配的な地位を占めている。
それらは国民経済の重要な支柱であり、わが党の執政と社会主義国家政権の経済の
基礎の中にある。必ずやうまくやるのだ」

この言葉に、国有企業改革の目標と方向が示されているではないか。

生産の公有制は、社会主義経済の基礎である。

この社会主義初級段階の基本的な経済制度は、わが党がマルクス主義の基本原理を
現実と結合させようと長年模索してきた成果であり、
今後も相当長期にわたって、経済分野の根本的な制度となるものだ。

社会主義というこの4文字は、絶対になくすことのできないものであり、
わが国の市場経済の性質、方法、手段を示したものである。

長期にわたって経済学界は、公有制と市場経済は相容れず、
市場経済を推し進めるなら私有化を実行しないといけないなどという誤りが
存在していた。こんな間違ったロジックを受け入れていては、
社会主義市場経済は作れない。公有制、国有企業と市場経済は、結合できるのだ。

国有企業の改革のポイントは、所有権と経営権の分離を実行することだ。

それなのに一部の人々は、国有企業改革を私有化(民営化)の方向へ持っていこうと
尽力している。われわれは旗幟を鮮明にして、正確な改革の方向へ進んで行かねばならない 〉


まさに決定的な「習近平賛歌」、
そして国有企業を民営化の方向に持っていきたい「李克強路線」への押さえ込みである。

こうした習近平路線に対する強烈な反撃が、
冒頭に掲げた「6月13日『人民日報』論文」だったというわけだ。

来年秋の第19回共産党大会に向けて、これから1年半、
こうした路線闘争はますます激化していく。

そしてその間、中国経済は「漂流」していく――。


<付記>

本文で示したように、国内では「中国の皇帝」、
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『パックス・チャイナ 中華帝国の野望』

 著者: 近藤大介
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キンペーは以前にも書きましたが目付きが悪いw 酷薄さがでておるわなぁ。

下放されて地獄を見てきたせいだと思うが、ろくな末路ではないだろうな。

李克強は小沢の書生やっておったんだろ、日本には詳しい。

李克強の路線が正道なんだが、なにせ毛沢東流・共産主義の亡霊がウロウロw

学生時分に第二外国語に現代中国語を取り、手前の生涯のミスでw

如何に毛沢東のレベルが低いか、ウンザリしたものです。

やる気無くし一年留年して、三年もやるハメになった、他にもいたねぇw

担任が毛沢東主義者で、その後名誉教授にもなったようだが、

洗脳されて文学部中国文学科に学士入学した同級生が何人も出たらしい。

彼らのその後の人生やいかに? ですなぁw


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