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錦繍の街Ⅲ

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 画は 歌川 芳瀧 (よしたき) 

 天保12年(1841) ~ 明治32年(1899)

 歌川國芳門人・芳梅の門人で上方浮世絵師。  号は一養亭など、 

                               作

  「油売 恋山崎」 「油屋与兵へ 実川延三郎」(初代)  

  「吾妻 坂東彦三郎」(五代目)です。


☆雨、立冬。

日本の破壊者=背乗り・世襲・カルト「自公政権」、

買弁=下痢壺とシロアリ官僚ども、

◆http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/kokuminnoinotitunagusyokuryouseisanmamore.html
長周新聞  2015年10月30日付


    国民の命繋ぐ食料生産守れ

      TPPで総崩れの危機に

      水田80㌶消えた下関の実情 


今年も新米の時期を迎えているが、昨年の米価暴落から下関市内でも今春、
稲作をやめた農家が増加し、荒れた田が目に見えて拡大した。

現状でも「5年、10年先に下関に農業が残っているのか」
「このままいけば飢餓も他人事ではなくなる」との危機感は
かつてなく強まっており
安倍政府がこれにとどめを刺すTPPを強行していることへの怒りが、
戦後70年の経験をふり返りながら語られている。

TPPでは「聖域を守る」どころか農林水産物2328品目のうち8割の
関税を撤廃するという度外れた内容で合意しており、

778%の関税をかけてきたコメについても、アメリカの要求に従って
無関税枠を7万8000㌧拡大した。

現在輸入されているミニマムアクセス米77万㌧を上回るコメが流入してくることになる。
「食料こそ国民の命を守る一番重要な産業ではないか」と語られている。

 
☆機械化の負担で苦しさ増す

地元の人たちが「一番コメのおいしい地域」という下関市豊田町のある集落では今年、
もっとも休耕田が増加した。

地区の水田面積約30㌶のうち、減反分と以前から作付していない1・5㌶をのぞき、
昨年までは20㌶で稲作をしてきた。

しかし今年、2㌶を持つ農家が1・5㌶の耕作をやめ、
1㌶の農家(90代)がやめるなど四軒がやめたのに加え、
他の農家から預かって耕作している農家が1㌶減らしたため、
合計5㌶(地区の水田面積の4分の1)が休耕田になった。

今年やめた60代の農家に実情を聞くと、
2014年度産米の仮渡し金は1俵8200円だった。

売れた分の精算金額が追加で振り込まれて1俵9000円ほどにはなったが、
それでも1反当り2万円の赤字だ。

機械を持たないため、稲刈りなどを他の農家に依頼してきたが、
刈り取り作業だけでも現金を80万円ほど準備しなければならない。

以前はアルバイトをして給料をつぎ込んでいたが、
赤字幅が拡大してまかなえなくなった。

また苗床も親が元気な頃は自分でつくっていたが、
介護が必要になり一人ではできないので苗も農協から購入していた。

戸別補償の1万5000円を苗代にあててきたが、
安倍政府になって戸別補償の廃止が決まり、昨年から半額の7500円となり、
2018年には廃止される。

肥料や農薬も値上がりする一方だ。
これから農機具を買いそろえようと思うと1000万、2000万円かかる。

今後続けていく見通しがなく、作付をやめたのだという。

「この地域は自分が一番年下だ。
なんとかつくっている農家も、今ある機械が壊れたら、新しい機械を買ってまで
続けることはできないのではないか」と危惧する。

豊浦町の80代の婦人は、「稲刈りの時期に主人が腰を痛めた影響もあって、
今年は天気もよかったが、11月に入っても刈り取りが終わる見込みがない」と話す。

10年ほど前に息子が帰って農業を手伝うようになって、これまで続けてきたが、
面積が広いため体力的に追いつかず、田植えから草刈り、農薬散布、刈り取りなど
年間通じた作業に手間取るようになってきた。

だが一つ一つの作業の時期を逃せばコメはできない。

仕方なくシルバー人材センターなどにお金を払って草刈りを頼んでいるという。

「去年コメの値段が下がって収入が減っているのに労働力も追いつかなくなり、
シルバーに頼むしかない。1人雇うのは出費が大きいから、
シルバーの選択肢しかなくなってきた。
なんのために農業をしているのだろうかという気持ちになる」と話した。

来年にもどの田をやめようか…と話しているところだという。

減反政策(現在は生産目標数量)で作付面積を減らしている以上に、
やめていく人が後を絶たない。

今年度の下関市内の食用水稲作付面積は、昨年度と比べて、
もっとも高齢化が進む豊北町・豊田町で約30㌶ずつ減、豊浦町が約8㌶減、
旧市東部が約九㌶減、旧市西部が約7㌶減となり、
他の地域で減った分を受け入れた菊川町で約6㌶増えたのみ。

今年だけで全市で約80㌶の水田がなくなった。

仮に1㌶で80俵とれたとすると6400俵もの減収だ。

「一粒百行」という言葉は、一〇〇の作業を重ねてやっと一粒のコメがとれる
という意味を持つ。

水利から田植え、草取り、収穫まで、
すべて手作業でおこなってきた時代に生まれた言葉だ。

一粒一粒の尊さをかみしめながら、農家はコメを収穫してきた。

豊北町の農家は、「今は機械が出てきて大型化され、“一粒百行”といわれた時代ほど
人の手はかかっていない。楽になっているはずなのに、
むしろ苦しい気がするのはコメが安くなったからだ」と話す。

今年のJA米の概算金は、昨年と比べるとわずかに上がったものの、
コシヒカリは1等米が1万1340円、2等米が9360円、3等米が8340円。

ひとめぼれ・きぬむすめ・ヒノヒカリは1等米が9480円、2等米が8520円、
3等米が7500円と、とても生産費(政府の統計で玄米1俵当りが1万6000円)
に見合う額ではない。

米価が下がる一方で機械、農薬、肥料は値上がりし、消費税増税も加わっている。

山口県内平均で、1反当り3万~3万5000円の赤字(農機具の償還なども含む)、
1㌶になると30万~35万円の赤字だ。

ある農家は「30年ほど前までは1俵=1万8000円で、
生活レベルも今より低かったので農業だけで生活できていた。

しかし米価が下がり始めたうえに、減反政策で土地はあってもつくれなくなり、
子どもたちが外へと働きに出始めた」と話す。

わずか30年の間に過疎・高齢化が一気に進行した。

同時に機械化も進み、1町歩、二町歩では生活が成り立たない。

夫婦とも勤めながら農業を続けてきた。
「それまでは1軒に最低でも4人いたから、家族で農作業をし、
イノシシが出る時期になると交代で夜通し火を焚いて追い払っていた。

今は多くて年寄り2人、うちのように1人になると、とても1家族だけでは続けられない。
“コメが余っているからつくってはいけない” と国内を制限して、
なぜアメリカからコメを買うのか。
アメリカもコメが余っているなら飢餓が起こっている国に無償で提供するのが筋だ」と語った。

こうしたなかでも、「食料生産を途絶えさせてはいけない」
「地域の田を守らなければならない」と、集団化して踏ん張っているが、
TPPで1俵4000円ともいわれる米国産米が入ってくれば
集落営農や農業法人も総崩れになると危惧されている。

豊北町田耕の中河内では、基盤整備を機に「一つの田も荒らさない」を合言葉に、
集落の田をすべて請け負う形で協力体制をつくりあげ、数年前に法人化した。

その結束力が誇りだ。
同地区の農家は「“みんなで協力して”という体制をつくってきたから、
今のところ個人農家のような大きな赤字はない。だが法人化できない地域の方が多い。

以前は、3ちゃん農業(じいちゃん、ばあちゃん、かあちゃん)だったが、
3ちゃんみんなが年をとって後継者がいない。
定年退職して4、5年の人が農業をやっているのが実情で、
この人たちが年をとると後がいない状態だ」と話す。

猟銃免許をとったのが50年代。その頃は年に2、3回しかイノシシやシカが出なかったが、
今では真っ昼間からあらわれる。

「山も田も、人が農業をしないから獣が出る、獣が出るから人がしない
という悪循環になっている。最近はそれにサルという
柵では防ぎようのないものが出てきた」と、地域全体が荒廃していることを語った。


☆1993年 輸入自由化で米価急落

戦後は食糧管理法(食管法)にもとづいて、国が主食のコメに責任を持って
生産・販売する制度をとってきた。

生産者からは生産費に見合う米価で買い上げ、消費者には安い価格で販売するという仕組みだ。

政府は財政負担を削減するために、この生産者米価を引き下げることに奔走し、
1俵=2万円台から1俵=1万8000円台にまで切り下げた。

それが急落を始めたのは、93年の「冷夏による凶作」を理由にした
韓国やタイからの緊急輸入、同年にガット・ウルグアイラウンドでコメの輸入自由化を認め、
2年後には食管法を廃止、米価に市場原理を導入したことだった。

農協が農家のコメを集荷し、業者に販売する制度に変わり、
米価はスーパーの店頭価格や量販店や外食産業との相対取引価格が基準となった。

またたく間に米価は下落し、1俵=1万5000円になり、1万円台に下落した。

輸入自由化に道を開いた結果、食料自給率は39%にまで落ち込み、
穀物は28%と先進国中最低の国になっている。

トヨタなどが海外でクルマを売るために輸入自由化を受け入れ、
おかげで国内の第一次産業が壊滅的な状況に追い込まれてきた。

ガット・ウルグアイラウンド合意以後の八年間で、
「農業対策費」と称して六兆円もの税金を投入したが、巨額の税金は農業には回らず、
地方の道路や温浴施設、道の駅など土木事業に投入され、
ゼネコンが回収してもうけただけだった。

農業振興にはなんの役にも立たなかった。
さらにミニマムアクセス米を輸入し、
需要が少ないため赤字分は300億円を超える税金で穴埋めをしている。

阿東町の農家は、「戦中は、飯米を減らしてまでコメを強制的にとられ、
今度は余るといってコメをつくらせない。最後は、
輸入をするからもうコメはつくらなくていいという。

国は国内に百姓などいらないと思っているのだろう。
安い外国米が大量に輸入されて喜ぶのは、外食産業などの企業だ。

大企業のもうけのために百姓は捨てられる」と憤りを語っている。

安倍政府はTPPをやり、国内農業がつぶれる状況のなかで
「国際競争力を高めるのだ」 「ブランド化して海外に売り込むのだ」といっている。

よりおいしい物をつくるのはもちろんいいことだが、
食料はその国の人人が生きていくためのものであり、国際競争力どころか、
国内でも競争する必要のないものだ。

人の命を左右するものが、市場原理によって「金になるか、ならないか」で、
本来の食料としての役割、価値とは無関係のところで競争が煽られ、
「競争力がない者は消えるのが当たり前だ」という調子である。

戦後「民族の食料を増産しなければならない」と、山奥を開墾し
自給率80%にまで押し上げてきた日本の農家のなかでは、その誇りとともに、
食料生産を守り抜かなければならないとの思いは強まっている。

国民の生命に直結するのが食料産業であり、安かろうで国内農業を潰したしっぺ返しは
国民生活にふりかかる。

日本人の胃袋を多国籍企業に握られ、食料安保を投げ捨てていく政治に対して、
農業者だけでなく全国民的な世論とつなげて対峙していくことが求められている。



芳瀧、二枚目、



「本朝二十四孝」 「見立六曜星 先勝」 「武田勝頼 実川延若」(初代)です。



媚中の論者で、ちっと長いが、

◆https://tanakanews.com/151105china.htm
田中 宇(さかい) 2015年11月5日
◎日本が南シナ海で中国を挑発する日


10月27日、米海軍の駆逐艦ラッセン号が、
南シナ海のスビ礁の沖合12海里以内の海域に入り、数時間滞在した。

スビ礁(渚碧礁)は、もともと干潮時のみ岩の一部が海面上に出て、
満潮時は全体が海面下に没する、海図上「干出岩」に分類される環礁だった。

南シナ海(南沙諸島)の領有権紛争の対象地の一つで、
中国のほかフィリピン、ベトナム、台湾が領有権を主張している。

米国が南シナ海で中国包囲網策を強めた2014年初めから、
中国が埋め立てを開始し、埋め立てた地面の上に港湾、滑走路、燃料タンク群、
200人の中国軍兵士が駐屯できる建物、測候所などを建設した。

中国は同時期に、付近のいくつかの珊瑚礁を埋め立てている。

国際法である海洋法条約は、干出岩を領土とみなさず、干出岩を領有する国が、
その周囲の12海里までの海面を領海として指定することができないと定めている。

同条約は、干出岩など岩礁を埋め立てた人工島が島としての地位を持てない
ことも定めている。

中国は、埋め立てたスビ礁を、海南省三沙市に属する領土として領有権を主張しているが、
海洋法条約を意識して、埋め立てた島々の周辺海域に対する領海の権利を主張してこなかった。

中国共産党の機関紙、人民日報の英語版である環球時報が、
そのように書いた記事を出している。

スビ礁など埋め立てた珊瑚礁群が海洋法条約上、領海の権利を主張できない場所であることを、
環球時報つまり中国共産党自身が認めている。

米国はこの点を突いて、軍艦をスビ礁から12海里以内の海域に派遣し、
岩礁を埋め立てて軍隊を駐留させても国際的に認められるものではないぞ
と主張する行為をやった。

米政府は今回の行為について、世界中の海洋国が勝手に領海を設定して
国際的な航行の自由を阻害していないかどうか、実地に軍艦を派遣して確かめる
「航行の自由作戦(FONOP)」であり、

米国は海洋法条約ができる前の1979年からこの作戦をやっているので、
中国を敵視するものでないと弁明している。

南シナ海では、中国だけでなく、フィリピンとベトナムも、
それぞれが領有権を主張する岩礁群を埋め立てて人工島にして、
軍人や一般人を居住させている。

米軍のラッセン号は今回、中国のスビ礁の沖合を航行する前後に、
フィリピンやベトナムの人工島の沖合も航行している。

米国は「世界中の勝手な埋め立て行為を、航行の自由の維持の観点から
取り締まる行動であり、中国を敵視するものでない」という姿勢を念入りにとっている。

しかし米国は、フィリピンやベトナムが
中国より前から南シナ海で人工島を作っていた時には何も行動を起こさず、
中国が埋め立てを行うと、急に何度も「航行の自由」を持ち出して
中国を苛立たせる行為をやっている(中国の埋め立ては、比越よりはるかに大規模ではあるが)。

こうした経緯からは、やはり今回のラッセン号の航行が、
中国を怒らせる策、中国敵視策であると考えられる。

米国の挑発行為に合わせるように、10月29日、国連海洋法に基づく国連の仲裁裁判所が、
フィリピン政府が中国の領有権主張を無効だとして仲裁を求めた件について、
中国が求める門前払いを行わず、仲裁について審理を開始すると決めた。

国連の仲裁法廷は中立な立場だが、覇権国である米国の圧力を受け、
審理開始の決定時期を米国の挑発行為に合わせたようだ。

中国側が挑発に乗せられ、中国の軍艦が、人工島の沖合で
米軍艦の航行を妨げる行動をとったりしていたら、米中が交戦する危険な事態になる。


米国の行動は一見すると「中国との戦争も辞さず」という勇ましさ(好戦性)を持っている。

だが実のところ、米中関係の全体を見ると、米国の行動は、中国に対してかなり腰が引けている。

米国は、ラッセン号がスビ礁の沖合を航行する前と後に、
軍幹部を中国に派遣して話し合いを持っている。

中国の環球時報によると、ラッセン号がスビ礁沖に着く6日前の10月21日には、
米海軍の27人の幹部たち(captains)が米中軍事交流の一環として中国を訪問し、
中国初の空母である遼寧号に招待される歓迎を受けている。

この時すでに米国では、ラッセン号がいつスビ礁沖に到着するかと
政界やマスコミでの騒ぎが起きており、中国政府は米国の敵視策を非難していた。

ラッセン号のスビ礁沖航行の直後の10月29日には、
米海軍の作戦部長と中国海軍の司令官がテレビ会議を行った。

1週間後の11月2日には、米海軍のハリス太平洋軍司令官が北京を訪問している。
翌11月3日には、マレーシアで開かれたASEAN+米中日印豪の
「ASEAN拡大国防相会議」のかたわらで、米中の国防相が会談した。

いずれの会合でも、米中は、航行の自由や南シナ海の問題などについて話し合っている。

ASEAN拡大会議では、米日が共同声明の中に南シナ海問題を入れようとしたが、
中国が反対し、ASEAN諸国が中国に配慮した結果、
南シナ海問題に触れない共同声明が出された。

米国は、全体会合で中国を批判しつつ、二国間で緊密な対話を維持している。

日本では、首相や担当閣僚が、少し仲が悪いだけの中国や韓国の相手方と、
長らく会わない姿勢をとっている。
中国軍と一戦交える構えで軍艦を南シナ海に送り込んだ米国は、
さぞや中国と国交断絶寸前だろうと思いきや、
毎日のように米中の軍事の高官が会談し、相互に鋭く警告を発しつつも、
緊密に対話を維持している。

米国側は「航行の自由を守る行動は今後もぜったい続ける」と言い続け、
中国側は「領土や領海をぜったい守る」と言い続けている。

その一方で、中国側は、米国側との会合において、
スビ礁沖が中国の領海だと地名をあげて宣言することをせず、
米国の自由航行権を黙認している。

米国側は、南シナ海の領有権紛争について米国は中立な立場だと言い続け、
比越を支持して中国との対立を強める気がないことを示している。

自国に自制を求める前出の中国環球時報の記事は
「ラッセン号航行の米国の意図は、存在感を誇示したいだけだ。
中国と戦争する気などない。米国は、中国を怒らせるための政治劇をやっている。
(そもそも中国が南シナ海の岩礁の領海問題を曖昧にしてきたことが一因なのだから)
中国は、米国の策に乗せられて怒るのでなく、冷静に対応すべきだ」と書いている。

中国政府は、米国の意図を見抜いている。

南シナ海の領土紛争では、2011年に米国がこの問題で中国を敵視する策を始めて以来、
米国が中国敵視策を続けるほど、
中国は南シナ海への実効支配を強める強硬策をとるようになっている。

13年に米国がフィリピンをうながして国連の仲裁裁判所に対立を持ち込んだ後、
中国は昨年初めにスビ礁など7つの珊瑚礁で大規模な埋め立てを開始し、
その後の1年半で、基本的な工事の多くを完了した。

米国は、工事が不可逆的に進んだ今になって、航行の自由を掲げて珊瑚礁の沖に軍艦を派遣した。
だが、それは示威行為でしかなく、
もはや米国が中国の南シナ海の実効支配を縮小することは不可能だ。

米国が南シナ海で中国を軍事的に威嚇するほど、中国は南シナ海で軍備を増強して対抗する。

米国は、中国を軍事大国へと誘導している。

米国は今回、南シナ海の自由航行問題を使って中国を威嚇すると同時に、
シリアの対テロ戦争でロシアに圧されているのを挽回するため、
中央アジアやコーカサスで、ロシア敵視策を強めている。

ロシアの隣のグルジアでは、米国の資金で生物化学兵器の開発施設が作られている。
まるで米国がグルジアに、生物兵器でロシアを攻撃しろと勧めているかのようだ。

米国のケリー国務長官は中央アジア5カ国を歴訪し、
この10年ですっかり露中の影響下に入った中央アジアを、米国の側に引き戻そうとしている。

ケリー歴訪の直前には、日本から安倍首相が中央アジアを歴訪した。

米国が出したくない経済援助金を、代わりに気前良く各国にばらまいた安倍は、
ケリー歴訪の「露払い」の役目を果たした。

中央アジアにおいて、露中の影響は永続的なものだが、対照的に、
米日の影響力行使は一過性で、長期的な効果がほとんどない。

ケリーや安倍の歴訪は愚策だ。

米国によるロシア敵視策と中国敵視策は、一体のものだ。

ロシアは、中国が石油ガスなど資源を旺盛に買ってくれるようになったので、
欧米に経済制裁されても頓着せず、
自由に旧ソ連や中東で影響圏を拡大する戦略に専念している。

だが、米国が中露を一体のものとして敵対策を強めるほど、中露は、
米国から脅威を受けている点で利害が一致し、
中露が結束して米国の覇権に対抗するようになる。

ロシアと戦うなら中国を宥和し、中露を結束でなく対立させるのが国際戦略の要諦だが、
米国は見事にそれと逆のことをやっている。

中露が結束して非米的な多極型の世界体制を構築し、米国の覇権が崩れる傾向が続いている。



芳瀧、三枚目、



「鴈星正太郎  実川 延若」です。



米国は今回、軍艦をスビ礁沖に派遣するにあたり、日本やオーストラリアに対し、
一緒に軍艦を出さないかと誘っている。

今後も南シナ海に頻繁に軍艦を出すと宣言している米国は、日本や豪州を誘い続けるだろう。

米国が南シナ海で中国を威嚇する策が、米国の示威行為を超えた意味を持つとすれば、
それは日本や豪州、フィリピン、韓国といった東アジアの米国の同盟諸国が、
どこまで米国につきあって中国敵視策をやるか、という点だ。

豪州はすでに今回、米国につきあって中国敵視を続ける隊列から離れ、
落伍(もしくは反逆)している。

米軍のラッセン号がスビ礁沖に近づいていた時、
豪州の2隻の軍艦(HMAS Arunta と HMAS Stuart)が、ちょうど南シナ海を航行していた。

2隻は、11月はじめに中国南部で行われる中国と豪州の合同軍事演習に参加するため航行していた。

米国と豪州は10月に行われた外相国防相会議(2+2)で、
南シナ海での米軍の対中威嚇(航行の自由作戦)について非公式に話し合ったばかりだった。

ウォールストリート・ジャーナルは、米軍艦に続いて豪州の軍艦が
(今回の中国への行きか帰りに。もしくは今回でなくてもいずれ)
中国の人工島の12海里以内に立ち入るのでないか、と期待をふくらませる記事を書いた。

豪経済は、鉄鉱石や穀物を中国に輸出することで成り立っている。

中国政府(軍関係者)は豪政府に対し
「わが国と緊張関係を高めることは貴国の利益になりませんよ」と警告(威嚇)した。

結局、豪政府は「米国の航行の自由作戦を支持する」と表明しただけで、
軍艦を人工島の沖に入れることはなく、2隻は予定どおり中国軍との合同演習に参加した。

豪州は9月半ば、与党保守党の党首選挙で、首相が右派(保守派)のアボットから
中道派(親中派、穏健派)のタンブルに交代したばかりだ。

タカ派マスコミは、大事な航行の自由や、米国との同盟関係を軽視し、
中国にすり寄ったと、タンブル政権をいっせいに批判した。

豪政府は「中国との演習は、以前から予定されていたので参加しただけで、
大したものでない」と「寝返り」を否定するコメントを発した。

豪タンブル政権は今回、中国寄りの姿勢をとりつつ、米国の顔も立ててしのいだ。

だが米国防総省は、今後、南シナ海での航行の自由作戦を
「四半期ごとに2回ずつか、もう少し頻繁に」繰り返す予定だと発表している。

米国は、何度も軍艦を繰り出して、今は何とか自制している中国を苛立たせ、
激怒させたいのだろうが、これは同時に豪州や日本など同盟国にとって、
どっちつかずな態度で中国敵視策への関与を控えることが難しくなる。

豪州では、右派が「中国敵視」を重視する半面、
左派(リベラル派)は好戦策をやりすぎる米国に批判的だ。

右派は、企業の利益や国家的な経済利得を重視する勢力でもあるので、
表向き中国敵視を叫んでいても、同時に、
中国に依存する豪州経済の悪化に拍車がかかることを恐れている。

今夏来の中国経済の減速で、すでに豪州経済は急速に悪化している。

豪州は、米国が過激な(経済利得を無視した)中国敵視策を続けるほど、
右派と左派、経済重視と安保(軍産、米覇権)重視との間で揺れ、
右往左往することになる。

米国は今回、豪州だけでなく、日本にも、
ラッセン号の自由航行作戦に自衛隊の軍艦を参加させないかと打診した。

だが、日本も参加しなかった。

豪政府は日本の出方を見ていたと、豪州の新聞が報じている。
日本が参加していたら、豪州は、自国も参加することについて中国に言い訳がしやすくなり、
米日豪による挑発行為になっていたかもしれない。

日本が参加しなかった理由について、いくつかの見方が存在する。

一つは「今年やった集団的自衛権の拡大が国民に不評だったので、
安倍政権は国民の支持を回復するため、しばらくは中国との対立を煽ることをやりたくない。

だから当面、人工島に近づいて中国を挑発する米軍艦の作戦に、
自衛隊の軍艦が同行することはない」というものだ。

これをさらに進めると「安倍政権は、来年7月の参議院選挙で自陣営の議席を増やし、
衆参両院の3分の2以上をとることで、憲法改定を発議し、国民投票にかけて改憲を実現したい。

参院選挙前に中国との軍事面の対立を煽りすぎると、安倍政権への支持が下がりかねないので、
しばらくは静かにしておき、参院選に勝って次は改憲実施だという段になったら、
米軍艦の対中挑発行動に参加するなど、中国との敵対を煽り、

中国が攻撃してくるかもしれないので戦争禁止条項のない憲法に替えておいた方がいい
という世論を醸成し、国民投票での改憲支持者を増やすつもりでないか」といった感じになる。

米国は日本に対し、南シナ海で、無人有人の偵察機や、
探知用のレーダーつきの軍艦、潜水艦などを出して、中国軍の動向について情報する
「情報・監視・偵察(ISR)」をやってほしいと要望し続けている。

だが日本は、まだ日本の領海である南西諸島など東シナ海でのISRを拡大している最中で、
まったくの外国である南シナ海でISRを始める余力がない、と米国に返答してきた。

日本は自国周辺のISRについて、長らく米軍に全面依存し、
独自の情報収集機能をほとんど持たなかったが、
冷戦後の1998年ごろから米国の要請を受け、
自国周辺のISRを自衛隊自身が行う傾向になっている
(98年の北朝鮮のテポドンミサイル試射で日本が大騒ぎしたのは、
米国の要請に応えて日本が自前のISR機能を持つことを政治的に円滑に進めるための、
意図的に過剰な大騒ぎだったと考えられる)。

それから約15年かけて、日本政府は防衛費を増やしつつ、ISR機能を拡大している。

自衛隊が米軍艦に同行して一度や二度、中国の人工島沖を挑発的に通過することは、
政治的に、日中関係を悪化させる結果になるが、
近年の日本政府(外務省など)の策は、米国の中国敵視策に相乗りすることで
日米関係を強化して日本の対米従属の恒久化を進める作戦であり、
日中関係の悪化は、むしろ好都合だ。

だが、一時的な航行でなく、日本が南シナ海で恒常的に中国軍の動向を把握する
ISR(軍事諜報活動)を行うとなると、話は全く違ってくる。

東シナ海は日本の領土領海なので、そこでのISRは正当な防衛だが、
日本と何の関係もない南シナ海で日本が恒常的なISR活動を行うことは、
南シナ海を中国の領海や経済水域でなく全くの「公海」とみなしたとしても
「外国への軍事的影響力の行使」「覇権行為」になる。

自衛隊が南シナ海でISRを開始することは、日本にとって、
外国に対する影響力行使を完全に拒否し、
どこまでも対米従属する米国の傀儡国として歩んできた戦後の国是の否定になる。

米国が「南シナ海を中国が支配するぐらいなら、それを阻止して日本に支配させた方がいい。
南シナ海は戦前、日本領だったわけだし」と言い出しても、日本はそれを受け入れられない。

仮に(ありえないことだが)米国が、台湾、フィリピン、南シナ海という
一体の地域・海域を日本の影響圏として指定し、
台湾とフィリピン、中国、東南アジアがそれを了承したとしても、
日本がそれに乗ることは、戦後の日本の対米従属と官僚隠然独裁の体制を崩してしまう。

米国は日本を従属国とみなさなくなり、米国を「絶対のお上」として

外務省などが「米国の意志」を歪曲捏造して日本を統治する隠然独裁が崩れ、

いずれ官僚が政治家に権力を奪われる流れ(真の民主化)になる。

だから日本としては、日米軍艦による対中挑発と、
南シナ海での日本のISRが一体になっている以上、いくら「お上(米国)」の命令でも、
従うわけにいかない。

実際には、南シナ海も台湾もフィリピン(などASEAN)も、どんどん中国の影響が強くなり、
政治的に日本が入るすきなどない。

戦前に日本が支配していた南シナ海(台湾の高雄県の一部に行政区分していた)に、
軍事費を急増し 憲法9条を廃止し 首相が靖国神社に参拝するようになった日本が
影響力行使を試みることは、まさにステレオタイプな
「反省しない日本が戦争犯罪を繰り返す」構図に合致してしまう愚策であり、
国際的に受け入れられない。

だが米国は、日本を、ぐいぐいと南シナ海紛争の中に引っぱり込んでいる。

米軍と自衛隊の艦隊は、10月19日までインドとの3カ国の合同軍事演習(Malabar 2015)
に参加したかえり、日米軍が一緒に南シナ海を通った時に、
10月28日から2週間ほどの期間で、初めての南シナ海での日米合同軍事演習を行っている。

中国を敵に見立て、航行の自由を確保する軍事演習などが行われた。
こうした流れから考えると、日本が南シナ海で中国を挑発する日は、意外と近いとも思える。

日本政府は、日米が結束して中国を敵視することは
対米従属を強化できて好都合と考えているだろうが、
米国は同盟国にも知らせず突然仇敵に対して譲歩することがあるので、この点も要注意だ。

米国は、イスラエルにつき合ってイランに核の濡れ衣をかけて潰そうとしていたはずが、
いつの間にかイランを許して核協約を結び、
イスラエルを国際的な孤立に追い込んでいる。

日本が今春、米国と一緒に加盟を拒否した中国主導の国際銀行AIIBも、
その後、米国政府は加盟こそしないもののAIIBを支持すると表明し、
日本だけが孤立して中国敵視の姿勢を崩せない「はしご外し」に遭っている。

日本政府の中でも、外務省は徹頭徹尾の対米従属だが、
外務省と並んで官僚独裁機構の中枢にいる財務省は、そうでもないかもしれない。

財務省は10月26日、在日米軍の駐留費の一部を日本政府が負担する
「思いやり予算」の中の米兵用娯楽施設の運営費などを削減し、
その資金を東シナ海でのISRの増強など防衛費増にあてる構想を発表した。

米軍が日本(沖縄)に駐留している理由は、思いやり予算をくれる(米兵が沖縄で遊べる)からだ。

米軍は今春、駐留費の負担増を拒んだドイツから撤退している。

日本も、思いやり予算を削ったら、米軍の沖縄撤退につながりかねず、対米従属の維持が困難になる。

以前、米国が日本に「集団的自衛権を拡大しろ」と求めた際
「自衛隊の海外派兵を増やす『兵力の負担増』を日本がするなら、
見返りに思いやり予算の削減という『財力の負担減』をやってもいい」と
米国から日本に伝えてあったようだ。

その言質を取った財務省は、安倍政権が集団的自衛権の拡大を達成した後の今
「約束どおり思いやり予算を削りますよ。良いですね」と言い出している。

米国は横暴な覇権国なので、自分が言ったことに責任を持たない。

米政府は逆に「思いやり予算の増額」を日本に要求している。

「思いやり予算を増やしてくれないと、在日米軍を撤退し、

日本の官僚が独裁を続けられないようにしてやる。

困るだろ。ならばおとなしく金を出せ」というのが米国の言い分だ。

そもそも減額の提案は、増額を防ぐための予防線として張られた可能性もある。

おそらく財務省は最終的に思いやり予算の減額要求を引っ込めるだろう
(引っ込めず粘るなら画期的で素晴らしいが、それは期待できない)。

だが、米国覇権の低下が続き、米軍に出ていってもらいたい沖縄県民の意志も強まる一方な中で、
日本が米軍駐留や対米従属を維持することは、しだいに難しくなっている。

今回とりあげた、米国が日本を南シナ海紛争に介入させたがっている件も、
日本が受け入れにくい 無茶な米国からの要求として、日本に難しい決断を迫っている。




「日米安保体制」は壮大な虚構の「化け物屋敷」だ、と何度も書いてきました。

ユダ米にしたら、米国内ではできぬ訓練はやり放題、日米地位協定で保護され、

危険皆無で、事故れば救急病院だらけ、しかも電気水道タダ=貯金できる広い基地外住宅、

世界最高のレジャーランド、役立たずの居座り強盗どもの天国。

すべて税金、阿呆らしき限りさ。




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