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夏雲よ湧け

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 画は Vincent van Gogh 

 フィンセント・ファン・ゴッホ

 1853〜1890 / オランダ  / 後期印象派      作


  「Garden-of-Daubigny,-Auvers-sur-Oise-1890 with black cat」です。

   邦題は「ドービニーの庭、オーヴェル=シュル=オワーズ1890」

   最晩年の傑作、同名同構図で黒猫無しが「ひろしま美術館」にあり。


☆晴れ。

ようやく夏らしくなって来ました。夏雲よ湧け、日照時間よ長くなれ、です。

いい記事ではないのか、

◆http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/kokuminmusisiosupureihaibi.html
長周新聞 2012年7月23日付

      国民無視しオスプレイ配備
      岩国基地・対中国戦睨む増強
      米国が国家主権握る日本

墜落事故が多発し、沖縄で受け入れを拒否されている垂直離着陸機・オスプレイをアメリカが岩国基地に持ち込んだ。
沖縄でも岩国でも広島でも国民の反対が圧倒しているのに、野田政府はアメリカが決めたことには従うだけである。
日本の国家主権はアメリカに握られたままであることを見せつけている。
この動きは、民主党政府は選挙で選ばれていない自衛官上がりの森本を防衛大臣にして
文民統制(シビリアンコントロール)の格好もとり払ったり、石原東京都知事が尖閣諸島の都による買収を騒いで
中国を挑発しているのも、さらに集団自衛権行使にむけた憲法解釈変更やPKO法改定を急ぐのも、
アメリカの指図によるひと連なりの問題としてあらわれている。
さらにそれは原発再稼働や消費税増税、TPP参加など、アメリカの指図による日本の国益放棄と連なっている。
 
☆事故死続出の構造的欠陥機

オスプレイ12機を積んだ貨物船「グリーン・リッジ」が22日20時過ぎ、関門海峡を通って岩国基地に入港した。
オスプレイはヘリコプターとプロペラ機の機能を合わせ持つ最新鋭機だが、事故死が続出し構造的欠陥が指摘されている。
開発段階をふくめ36人が事故死。4月にはモロッコで墜落し米兵4人が死傷し、6月には米フロリダ州で墜落した。
緊急着陸も絶えない。2010年にはアフガン戦争時に墜落して米兵4人が死亡している。
米国防省系の研究者が議会で「トラブル発生時に緊急着陸する機能(オートローション)が欠如している」
「基地間の物資を運ぶ実績だけで、頻繁な上昇や下降を繰り返す戦時任務の安全性は立証されたとはいえない」
「エンジンが停止するなどすれば墜落するのがオスプレイの特徴」と証言している欠陥機である。
だが米政府は「操縦マニュアルに従わなかった人為的な事故」とし「機体の設計や部品に問題はない」ともみ消してきた。
米軍需産業大手ボーイングのムーレンバーグ防衛部門社長は「米海兵隊の軍用機のなかでもっとも安全性が高い」といい、
米国防総省のリトル報道官は「オスプレイはきわめて良好な安全飛行記録を持っている」といって改善する気配はない。
アメリカは湾岸戦争で劣化ウラン弾を使用してイラク人はもちろん戦斗に参加した米兵も大量の被曝をさせたが、
オスプレイについても攻撃される人人はもちろん米兵の生命も二の次なのだ。

☆航続距離伸び中国射程 行動半径は4倍以上

オスプレイの航続距離は現在の輸送ヘリの5倍になり、沖縄周辺に限られていた従来ヘリの行動範囲は朝鮮半島全域、
中国大陸全土に拡大し格段の増強となる。
オスプレイは2014年までに24機を普天間基地に配備する計画だ。
海兵隊は殴り込み部隊であり上陸作戦にはヘリが不可欠である。小さな甲板で発着し、より遠くに早く、
大量の人員と物資を運ぶために開発された。現在のCH46輸送ヘリと比べ、
オスプレイは時速が約2倍(570??)で航続距離は5倍以上(3900??)ある。
最大飛行高度が2倍以上(約7500?)で地上攻撃も受けにくい。輸送兵員は2倍(24人)になり、
貨物量は約4倍(9100??)、行動半径は4倍以上(600??)だ。
CH46の航続距離は沖縄を起点にすると九州中部までしか届かないが、オスプレイは中国やモンゴルの奥地にまで届く。
パネッタ米国防長官は「アジア太平洋地域における軍事的なバランスを保つために確実に役に立つ」と公言し、
クリントン国務長官は「われわれの安全保障のニーズに応えるために適切な装備が必要」とのべた。
それは単なるヘリの更新にとどまらずアジア全域を射程にいれた格段の増強となっている。

☆岩国常駐の可能性は大 米軍に好都合な位置

オスプレイは普天間基地への配備であり岩国基地は一時的な駐留といっている。
しかし「沖縄が受け入れを拒否している」という状況に変わりはなく、いったん岩国に陸揚げとなれば、
そのまま岩国基地における常駐・運用となる可能性は大きい。
沖縄では8月5日に大規模なオスプレイ配備に反対する沖縄県民大会を開く予定で、受け入れるメドはない。
しかもそのまま常駐配備となるすう勢の岩国を起点にしてオスプレイの行動範囲を見ると、
中国全土が航続距離範囲のなかに入り、朝鮮半島は行動半径のなかに入るため
米軍にとっては沖縄以上に好都合な位置関係となる。佐世保基地(長崎県佐世保市)にはすでに4月、
オスプレイを運べる甲板付きの強襲揚陸艦ボノム・リシャール(4万5000?)が配備されている。
海兵隊の岩国移駐計画も動いており、沖縄も岩国もオスプレイ部隊がローテーションで使える基地になりうる。
厚木の空母艦載機移転、普天間の空中給油機移転、愛宕山への米軍住宅建設が進行する岩国基地に、
海兵隊移転とオスプレイ配備が加われば米軍機約130機と約1万5000人の人員を擁する
極東最大の米軍出撃拠点に変貌することとなる。




Gogh、二枚目、



「One-Way-near-Arles-1888」です。 




☆アジア重視戦略の実行 日本盾にする米国

オスプレイ配備を強引に進めるのは、アメリカによるアジア重視の「新軍事戦略」のもとで、
日本国民が反対しようが、事故が起ころうが、対中国戦争をにらみ、
日本中を米本土防衛の盾にしようとしているからである。
アメリカの「新軍事戦略」はアフガン・イラク戦争で敗北し、米国家財政が窮地に陥るなか、
米軍だけはハワイやグアム、オーストラリアなど安全な後方に下げて日本を最前線におくものだ。
中国の核ミサイル攻撃が届く九州、沖縄をはじめ日本列島、台湾、フィリピンを結ぶ第一列島線のなかから
米軍を外に移動させ、アメリカは通信ネットワークや精密誘導弾などを駆使した「遠隔誘導戦争」をやる。

対中国戦争となれば、核ミサイル戦争の戦場となり、前面には日本や韓国、フィリピンなどの
近隣諸国の兵員を立たせ、米軍の損害を最少にする作戦である。
中国市場を奪い植民地化することは長年にわたるアメリカ支配層の野望であるが、
日本を「代理戦争」の矢面に立たせようとしている。

野田政府はこのアメリカの意図をくみ軍事挑発や戦時法制整備で動いている。
尖閣諸島問題では石原東京都知事がアメリカへ行き「東京都が購入する!」と騒ぐと、野田首相も「国が買う」と呼応。
小平時代に「将来の世代に解決をゆだねる」としてきた扱いを、わざわざ対立・緊張関係にしようと煽っている。
朝鮮問題では4月の「朝鮮ミサイル発射」対応を検証する報告書で、ミサイル発射情報があれば
「発射地点の周辺海域をふくめ、北朝鮮により近い海域」(黄海)に
海自イージス艦配備を検討すると明記し物議を醸している。
先月には朝鮮半島南方で日米「韓」による初の大規模海上軍事訓練をやり、
公海上に米原子力空母や海自のイージス艦やヘリ搭載型大型護衛艦を集結させ、
朝鮮・中国に露骨な軍事恫喝を繰り返している。

アメリカがたたき出された中東でも、九月に米海軍がペルシャ湾でおこなう機雷除去演習に
海自部隊180人を派遣する予定だ。
これは核開発問題で米欧と対立するイランがホルムズ海峡を封鎖すれば、海上自衛隊が機雷を除去する訓練で、
中東では米軍が自衛隊を下請軍隊として使う意図を示している。
このうえにアメリカが六月末、岩国へのオスプレイ配備を通告すると野田首相は
「なんといっても日米安保が軸だ。米国がアジア太平洋地域に回帰している動きは歓迎すべきだ」と表明した。
そして米軍が攻撃されたら自衛隊員が武器を使って反撃できるようにするPKO改定法(従来は海外での武力行使は禁止)
の国会提出を急ぎ、集団的自衛権(アメリカが攻撃されたらそれを自国の攻撃と見なして反撃する)を行使するための
「憲法解釈」見直しへむけ、聞く耳ない暴走を続けている。
日本はアメリカの植民地であり、自民党にしろ、民主党にしろアメリカと財界の道具である姿が浮き彫りになっている。

☆日米安保が根本の問題 全国で軍事都市化

こうしたなかで全国各地の軍港整備や軍事道路整備が進行している。
米軍が朝鮮半島有事のとき利用する重要港(下関、博多、長崎、鹿児島、新潟、秋田の6港)の一つとして名指しされた下関
では5月の天皇来関のおりにヘリを10機搭載できる海自最大の護衛艦「ひゅうが」(基準排水量1万3950?)が接岸。
オスプレイを搭載した民間船だけでなく頻繁に自衛隊の護衛艦が関門海峡を行き来しており、
関門海峡をかかえる下関は戦時中と同じく軍事要塞地域であることを思い知らせている。

米海軍は、下関、新潟、秋田は朝鮮半島、 鹿児島は中国、 博多と長崎が両方をにらむと役割を分担した。
そして人工島につながる巨大な道路が出現。貨物列車とつなぐ幡生ヤード跡、
市街地ではなく下関インター方向にだけ通じる巨大道路、また新幹線新下関駅に直結する道路、
吉見の海上自衛隊基地に通じる迂回道路、小倉に直結する第二関門橋計画など、
すべての道は人工島につながる形になっている。
山口県下では岩国から周南に抜けて下関に接続するバイパス網も巨大化している。いざ朝鮮半島有事となったら、
岩国基地から米海兵隊が戦斗機で飛び出し、大量の人員や物資を必要とする陸上戦になった場合、
岩国から軍事物資を積んで高速道路や大型道路を走って下関に集結し、下関港から強襲揚陸艦で出撃したり、
岩国からオスプレイで飛来し人工島で人員を積んで出撃するなど最前線基地として機能することが現実味をおびている。

さらにオスプレイをめぐっても東北、中国地方、関西、九州など都市部ふくめ全国七ルートで
低空飛行訓練をやる計画になっている。どこで墜落事故による大惨事が起きてもおかしくない。
いざ戦争となったら日本全土が標的となり、火の海にたたき込まれる危険性にさらされる事態となっている。

こうしたなか、生活のあらゆる面にあらわれる問題が、アメリカによる日本の植民地的支配、
売国奴政治による民族的な裏切り、日米安保という根本問題の解決なしにはなにも解決できないことが浮き彫りになっている。
選挙で選ばれた議会は国政も地方政治もオール与党の翼賛政治が横行して国民の声は届かない。
大衆の政治行動こそ力だが、「日共」集団も旧社会党集団も労働官僚どもも、
大衆の運動を抑えつけ、ねじ曲げて支配勢力に恩を売るのが専門の状態となっている。

どれだけオール与党の翼賛政治の専制政治であろうと、働く勤労大衆がついていかなければ彼らは無力である。
子分のいない親分はただの人にすぎない。支配者は多くの人人が「世話になっている」と感じているあいだしか
支配者の位置にはおれないのが歴史の教訓である。

首相官邸前の聞く耳を持たない売国反動政治に反対する行動は引く気配はない。
オスプレイの関門海峡通過に際して、海峡沿いには数千人の市民がつめかけて抗議の意志を表した。
東北大震災に際して政府の被災地切り捨て策に抗して下から地域共同体を結集した力は大きなものとなっている。
全国で農漁業・地方破壊に対抗し、TPPに反対する行動は巨大なものになっている。
都市部で海外移転のための工場閉鎖、首切り、失業に反対する世論はうっ積したものになっている。

生産を担う労働者、勤労大衆を中心にあらゆる階層が、共通の敵に対する共同の斗争を発展させる方向に事態は進まざるを得ない。
このようななかで重要なことは、日本人民に貧困と抑圧をおしつけ、さらには戦争に導こうという敵はだれなのか、
そして友はだれなのか、大衆を欺く敵の共犯者はだれかを鮮明にし、
大衆みずからが下から指導的な骨幹を形成し60年安保斗争のようなたたかいを起こすことにだけ展望があるし、
そのような方向に進まざるを得ない。



Gogh、三枚目、



「Fishing-Boats-on-the-Beach-at-Saintes-Maries,-Arles-1888」です。



コスプレ・ハシゲw

◆http://blog.tatsuru.com/
内田樹の研究室 2012.07.26
◎同一労働最低賃金の法則について

より抜粋、

橋下徹と大阪維新の会のムーブメントは「前代未聞のものだ」という仮説を採択することにする。
別にしなくてもいいのだが、したことによって失われるのは私の時間だけである
(私の話に付き合わされる読者の方々も時間を失うわけだが、
それはご本人の神聖なる自由に属するので、私がとやかくいう筋のことではない)。

では、どういう点が「前代未聞」なのかというと、
これが「経済のグローバル化を推進して、国民国家を解体しようとしている政治運動が
外形的には愛国主義的な衣装をまとっている」という点である。

維新の会の政治綱領が、「手垢のついた新自由主義」であることは誰でもが認めている。
けれども、新自由主義はそれでも「選択と集中」によるトリクルダウンという「言い訳」を用意していた。
私たちに資源を集中せよ。私たちがそれによって国際競争力を増し、ワールドマーケットで大金を儲ければ、
一時的に「割を食っていた」貧乏人諸君もその余沢に浴することができる、というあれである。

だが、維新の会のグローバリズムはもう「余沢」についてはほとんど語らない。
「とりすぎのやつから剥ぎ取る」という話だけである。
「剥ぎ取った分」がどこに行くのかということに、有権者たちはもはや興味を持っていない。
市長が着任して最初にやったことの一つは、大阪市営バスの運転手の賃金が高すぎるので、
これを民間並に引き下げるということであった。
この政策に市民のほとんどは喝采を送った。
労働者たちが、同じ労働者の労働条件の引き下げに「ざまあみろ」という喝采を送るというのは、
日本労働史上でおそらくはじめてのことである。

労働者というのは労働条件の向上のために「連帯する」ものだと思っていたが、
それはもう違ってしまったのである。
現に市長の組合攻撃はすさまじい。組合員というのは「非組織労働者」には与えられていない
特権を享受している「ワルモノ」であるという物語に有権者もメディアも同意署名を与えた。
それが自分たちの死刑執行書に署名したことかもしれないということに誰も気づいていない。

市営バスのケースは「同一労働では、最低賃金が標準賃金である」という
文字通り「前代未聞のルール」に有権者たちが同意を与えたということを意味している。
このルールに大阪の有権者たちが同意した以上、これから後、彼らはすべての賃金交渉において、
「同じ労働をもっと低い賃金で引き受けるものがいる」事例を雇用者側が示し得た場合には、
最低賃金を呑む他ないのである。
だって、自分で「それがフェアネスというものだ」と言ったわけだから。

このルールの導入によって最も喜んでいるのはビジネスマンたちである。
すでに、「日本の労働者は人件費が高すぎる」という理由で生産拠点を海外に移し、
国内の雇用を空洞化してきたグローバル企業のふるまいを日本人の過半は「それももっとも」と同意してきた
(現に、大飯原発の再稼働を決断したとき、野田首相は
「電力コストが高ければ、日本を捨てて国外に出て行くのは、企業家としては当然のふるまいである」として、
グローバル企業の利益の擁護は原発の安全性に不安を抱く国民感情に優先するという「常識的な」決断を下した)。

それは、国内の雇用においても、「同一の能力であれば、いちばん人件費の安いものを雇う」
というルールが一般則として適用されるということである。
ご存じの通り、現在、どの組織でも、非正規雇用労働者が溢れかえっている。
正社員の他に、嘱託社員、派遣社員、アルバイトと雇用形態は識別しがたいほどに複雑に複線化した。

そのときに何が起きたか。
仕事ぶりを外から見ていると、それが正社員かアルバイトか区別できないということが起きてきたのである。
場合によっては、正社員よりアルバイトの方が業務内容を熟知しており、適切な判断を下すというようなことさえ起き始めた。
そのときに何が起きたか。
正社員と同じくらいに働くなら、「アルバイトの雇用条件を正社員並にせよ」という要求がなされたのではない。
逆である。
アルバイトと同じくらいの働きしかないなら「正社員なんか要らないじゃないか」という台詞が出てきたのである。

出てきて当然である。
雇用形態の複線化は論理の必然として、「同一労働の場合、それを最低の賃金で達成するものを標準とする」
という「同一労働・最低賃金の法則」を導くということに私は導入時点では気づかなかった。
でも、今はわかる。
職場に業務内容が似ており、雇用条件の違う労働者を「ばらけた」かたちに配備しておくと、
最終的に雇用条件は最低限まで引き下げることができる。
だから、経営者たちは非正規雇用の拡大に固執したのである。

彼らのロジックは「日本のような高い人件費では、コスト削減の国際競争に勝てない」というものである。
日本の労働者の絶対的な貧困化はグローバル企業にとって「好ましいこと」なのである。

もちろん、貧しい労働者は消費活動がきわめて消極的なので、日本国民のほとんどが下層に固定化された段階で
内需は壊滅するが、とりあえずそれまでの間は人件費削減で浮いた分は企業の収益にカウントされる。
先のことは考えない、というのが資本主義の作法であり、国民国家の将来のことなど配慮しない
というのがグローバル企業の常識であるから、それでよいのである。

前に国民戦略会議の「大学統廃合」について書いたときも述べたが、
日本の財界人が国際競争に勝つために採用している最優先事項は「人件費を限りなく切り下げること」である。
低学歴低学力労働者を大量に作り出せば、
場合によっては中国の労働者程度の時給まで国内の賃金を下げられるかもしれない。
人件費問題さえクリアーされるなら、国内で操業する方がずっと利益が大きい。
労働者のモラルは高いし、社会的インフラは整備されているし、怪しげな党官僚が賄賂をせびることもないし、
テロや内乱の不安もないし、中国の労働者の賃金が上がって、
「もっと賃金のやすい国」めざしてプラントごと引っ越しをする移動コストも考えなくてよい。
実際に、「焼き畑農業的」に生産拠点を移してみたが、このやり方が予測したほどに安定的な利益をもたらさず、
むしろコストとリスクを増やすことに資本家たちも気づいてきたのである。
できることなら、日本にいたい。

そこで、日本の経営者たちは「こんなに人件費が高くては生産拠点を国外に移すしかない」
という言葉をことあるごとにメディアを通じて「国内向けに」アナウンスすることにした。
これは別に「そのうち移転しますので、みなさん心の準備をしていてくださいね」
と事前に親切に告知しているわけではない。
そうではなくて、「国内にいてほしければ、人件費を下げろ」と言っているのである。
政治家も官僚もビジネスマンも大学人も、みんなそれを聴いて「わかりました」と頷いて、
「どうやったら人件費が安くなるか?」という問いへの最適解を求めて知恵を絞り始めた。
とりあえずやってみて効果があったのは:

(1)学力が低い若者を大量に作り出し、「自分のような能力の人間には高い賃金は要求できない」という自己評価を植え込む。

(2)同一労働に雇用条件の違う労働者を配備して、「こんな安い給料で同じ仕事をしている人間がいる」
   という既成事実を作り出し、「同一労働なら最低賃金」のルールを受け入れさせる。

(3)製造コストや人件費コストが上がりそうになると、
   「では国内の製造拠点を海外に移します。それで雇用が失われ、地域が『シャッター商店街』化し、
   法人税収入が失われても、それはコスト負担を企業におしつけたあなたたち日本国民の責任です」
   というロジックで脅しにかかる

やってみたら、全部成功した。

大阪維新の会はまさにこのグローバル企業と政官が国策的に推し進めている
「国内労働者の絶対的窮乏化」路線そのものを政治綱領の前面に掲げたという点で「前代未聞の政治運動」なのである。

「これから『反撃のできないセクター』から順番に、国民の既得権を奪い、そのつどの最低賃金で働いてもらいます」
という彼らの政策に国民自身が拍手を送った。
たしかに、この制度改革は「グレート・リセット」というのに相応しいであろう。
なにしろ18世紀の市民革命から以後の労働運動の成果そのものを否定しているからである。

維新の会が権力を掌握すれば、体制が「変わる」という点については、間違いなく変わる。それは私が保証してあげる。

ただ、その「変化」は労働者の絶対的窮乏化と「グローバル企業」の収益の増大と
彼らのいわゆる「国際競争力」の向上に資するものであることは告げておかなければならない。

この労働者の組織的連帯を破壊してゆく過程で、「愛国主義」が功利的に利用されているのだが、
なんだか書いているうちにぐったり疲れちゃったので、今日はここまで。

「愛国主義はどうして国民的統合の解体に役に立つのか」については、
前に書いたものがあるから、それを参照されたし。

http://blog.tatsuru.com/2007/06/20_1056.php

http://blog.tatsuru.com/2008/03/30_1850.php



妥当な分析だと思う、座布団一枚!ですなぁ。

手前はもう奴らのメッキは殆ど剥げ落ちたかと思う。

関西ローカルで何名か当選できるか? その程度ではないのか。

それよりも「生活」党w 北海道にも万遍なく候補者を立てろよ。

小沢のムネオに任した? は誤りなり。

ムショ帰りに任したは無責任というものだ。 理念なき利権政治屋はいらんよ。


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