画は ARON WIESENFELD アーロン・ウィーセンフェルド
Aron (born.1972, Washington D.C.) currently lives in San Diego, California.
人間の暗い側面を表現し続け、U.S.の終末を見据えるアーティスト。
☆http://www.aronwiesenfeld.com/ 作
「Captive 監禁されている人 2015」です。
☆晴れ、気温高め。
黒幕としての「電通」、
◆http://blog.tatsuru.com/
内田樹の研究室 2016.05.15
◎電通は日本のメディアを支配しているのか?
「電通は日本のメディアを支配しているのか?」
と題するフランスのネット記事を翻訳しておく。
記者はMathieu GAULÈNE。配信は5月13日。
プリントアウトしたらA48枚に及ぶ長い記事だった。
手の空いているときにちょっとずつ訳したら、7000字になった。
電通は日本のメディアを支配しているのか?
Mathieu GAULÈNE • Publié le 13.05.2016
☆http://www.inaglobal.fr/television/article/
le-publicitaire-dentsu-tire-t-il-les-ficelles-des-medias-japonais-9000
電通は世界第五位のコミュニケーショングループで、
日本の広告市場の過半を握っている。
日本のメディアの自由に、とりわけ原子力産業について語る場合の
メディアの自由に、強い影響力を行使している。
参院選の夜、型破りの反原発候補者であった元俳優の山本太郎は
どこの政党の支持も受けず、ツイッターで選挙運動を展開してきたが、
東京の参院議席を獲得した。
メディアの検閲を受けながら、この熱情的な若い候補者は
原発と並んでメディアに対しても激しい批判を向けていた。
メディアは「広告代理店の支配下にあり、それゆえ電力会社に買収されている」
「原発に関するすべての情報をシステマティックに検閲している」
と彼は主張したのである。
あるテレビ局が彼に放送の最後に発言機会を与えたが、
まずスタジオにいるジャーナリストに業界擁護の弁明をさせた。
画面では、若い参院議員は返答のために1分弱の時間しか与えられなかった。
「僕は簡単な例を挙げます。これから食糧はキロ当たり100ベクレルまで
含有することができる。それは食事を摂るだけで被曝するということを意味しています。
しかし、このことをテレビは放送していない」
そこまで言ったところで山本は発言を遮られた。
番組終了のジングルが鳴り、スタジオの司会者は嘲笑しながら番組の終了を告げた。
広告は文字通り日本全土を覆い尽くしている。
列車の中も駅構内もポスターが所狭しと貼られ、スクリーンが並んでいる。
ビルの上には巨大な看板が立ち、車には巨大なポスターが貼り付けられ、
街路にはコマーシャルソングが響き渡っている。
小便器の上に広告のスクリーンがあるレストランさえある。
この広告の帝国においてメディアも例外ではいられない。
新聞雑誌は、フランスと同じく、相当の頁数を広告に割いているが、
それ以上なのがテレビである。
放送はスポンサーの告知から始まり、以後、五分おきに短時間のスポット広告が、
それも同一スポンサーの広告が番組を中断する。
考える時間などない。
ほとんどのテレビ局はパチンコ業界のようなプログラムを提供している。
目障りな色彩、絶えざる騒音、中学生なみの俗悪な笑い。
このテレビという曲馬館のような騒ぎにおいて、広告は世界的な巨人、
電通によってコントロールされている。
電通は世界第五位のグループ企業であり、広告業界トップの代理店である。
日本における第二位の会社であるライバル博報堂と共に、
二社は「電博」と呼ばれ、広告、PR,メディアの監視を集中的に行い、
国内外の大企業・自治体、政党あるいは政府のための危機管理を担当し、
マーケットの70%を占有している。
この広告帝国が日本のメディアの論調を決定していると批判する人々がいる。
電通の重要性を表わす数値を掲げる。
2015年において、グループは70億ユーロの売り上げを達成した。
これは同時期のFrançais Publicis の売り上げ96億ユーロに続く数字である。
ビジネスの中心はテレビ広告。 どれもいずれ劣らず突飛なものである。
例えば電通は10年前にSoftbankの「白戸家」シリーズを始めた。
このCMでは父親が犬で、長男がアメリカの黒人俳優で、
家政婦がトミー・リー・ジョーンズである。
2013年、グループは英国のAegis を37億ユーロで買収し、
ロンドンに電通Aegisネットワークを立ち上げて、国際的な企業に拡大した。
この国際的なネットワークは世界140カ国に拡がる10社ほどの広告代理店を擁し、
デジタル・マーケティングを中心に、盛んな活動を展開している。
国際市場で存在感を示し、その売り上げはグループの半分以上
(2015年で54.3%)に及ぶ。
電通の社員は世界で47000人、日本に7000人いる。
汐留のビジネス街、日本テレビ、フジテレビ、朝日新聞に隣接して
電通タワーがあり、その偉容は辺りを圧している。
デザインはフランスの建築家ジャン・ヌーヴェル、
軽やかな曲線とガラスの仕切り壁にはいかなる突起物もない。
建物の中では、グループの広報部長河南周作が満面の笑みで私たちを迎えてくれる。
一階はオノ・ヨーコの白いチェスボードをはじめとする現代美術作品が並べられている。
そこからエレベーターで社員たちは違う階のそれぞれの部署に向かう。
グループはそれぞれの業界のトップ5を顧客に持っている。
「それぞれの業界で競合する会社のために働く社員は
決して交わらないようにされております」と河南は私たちに保証してくれた。
電通は見たところ透明である。
だが、そのイメージはそれほどに滑らかなものだろうか。
2012年に出版されたある本の中で、本間龍は電通の装飾の裏側について
ある程度のことを書いた。
電通がその上得意の一つである東京電力のために
メディアをきびしく統制していることである。
本間は広告代理店のハーレムの外側にいる人間ではない。
彼は18年間業界二位の博報堂で働いていた。
詐欺罪で1年の禁固刑を受けた後、彼は作家生活に身を投じ、
最初にまず自身の監獄体験を書き、次に彼が広告業界で過ごした日々について書いた。
彼がメディアを丸め込むために用いたさまざまな方法について。
2012年、彼の著書『電通と原発報道』は
ほとんどのメディアが黙殺したにもかかわらず、数ヶ月の間ベストセラーとなった。
本間は著書で 無視することのできない媒介者である電通が メディアに対して、
原発について 書いてよいことと 書いていけないこと、
どういう条件の場合にそうなるかを暗黙裏に指示するメカニズムを仔細に記述した。
「電通は特別な地位を占めています。
日本における原子力広告市場の80%を占有しているからです。」
本間龍氏は上野駅の喫茶店で行われたインタビューで私たちにそう指摘した。
2012年、広告市場において、地域企業である東電は
広告費については10位に過ぎず、三菱重工業より下位にいた。
その後、福島原発事故の直前に、東電は200万ユーロ以上を広告に投じた。
10社ある地域の電力会社の広告費総額は700万ユーロに達した。
この数十年、とりわけいくつも事故が続いて
原子力に対する疑念が高まってきた1990年以降、
東電と他の電力会社は広告スポットとジャーナリズムへの広告記事を増大させていった。
テレビでは、この広告出稿はそれだけであらゆる批判を封じることができる。
大企業はトークショーや1クール丸ごとのシリーズをしばしば提供する。
自己検閲は一般に行われており、これに異議を唱えることは事実上不可能となっている。
しばしばドキュメンタリー番組が電力会社の連合組織であり、
原子力ロビーの中心的なアクターである 電事連 によって製作され、
原発事業の利点を宣伝する。
原発反対の声はなかなか聞き届けられない。
それをすれば貴重なスポンサーを失う怖れがあるからである。
福島の事故後、山本太郎はその犠牲にされた。
彼はタレントとしてそれまでスタジオにレギュラー出演していたが、
反原発の立場を明らかにしたために、いきなりテレビ界そして映画界においてさえ、
「ペルソナ・ノン・グラータ」(好ましからざる人物)に認定された。
今に始まったことではない。
ずっと以前から、広瀬隆や小出裕章のような反原発運動の中心人物たち、
ベストセラー作家は 事実上テレビスタジオに登場することがなかった。
福島の事故以後も。
本間が告発するこの「メディア支配」は原発にのみかかわるものではない。
彼の著書では、トヨタのアクセルペダルの不良についての
リコール事件についても言及している。
事件が日本のメディアで報道されるのは、
トヨタの社長がアメリカ議会で謝罪した後のことである。
「広告代理店が彼らのクライアントの企業イメージに傷がつかないように
報道を抑えていたことが確かだ。しかし、スキャンダルがあまりにも大きく、
海外でも報じられたので、日本のメディアはやむなくこれを報道する
ことになったのである。」と本間は語る。
テレビ朝日の『報道ステーション』は質の高い報道番組で、
しばしば政府批判を行っているが、これを除くと、
テレビのニュース番組はどれも凡庸なもので、雑報的なものを前面に報道し、
特定の企業の評判にかかわるような主題はまれにしか扱わず、
政府発表をそのまま留保なしに中継し、
国際ニュースは日本人の在外国民がかかわる場合にしか報道しない。
これらの民間のメディアの中にあって、NHKだけが
受信者から直接受信料を徴収することで、この広告帝国の支配を免れており、
独立性を誇っている。
だが、残念ながら、NHKの状況はさらに劣悪である。
会長籾井勝人はNHKは安倍政権のスポークスマンであるべきだと
何の遠慮もなく繰り返し断言している。
200人の退職者を前にした最近の宣言の中で、籾井は
NHKの記者たちに九州での地震については
当局からの確かな公式発表と地震が列島南部のみを伝えることで満足するように、
また列島南部で稼働中の原発に地震が与えるリスクについては
独立的な専門家の意見には耳を貸さないように厳命した。
電通は共同通信、時事通信というふたつの通信社と特別な関係を持っている。
いずれも電通の歴史的な株主であり、それには理由がある。
この三つの会社は戦前は同一の企業体を形成していたのである。
新聞報道はテレビに比べると統制がむずかしい。
この点においては電通は広告出稿しかできないが、
ある種のアフターサービスを提供している。
メディアの監視、危機管理コンサルティング、広告サービスを経由しての
新聞への間接的な圧力の行使である。
フランスでは企業グループによる出版社の買収は
企業からメディアへ直接的な圧力のリスクがかかることを意味しているが、
日本では、圧力の行使は広告代理店を経由して行われている。
広告代理店がメディアに対する企業サイドの「大使」の役割を演じているからである。
「どういうようにそれが行われているか、私は熟知しています」と本間は言う。
「私は博報堂にいたとき、まさにそのような仕事をしていたからです。
工場や発電所で何かトラブルが起きる。
メディアがそれについて報道すると、電通がただちに介入してきます。
そして、問題になっている新聞の営業部門を訪れます。」
別に声を荒立てるわけではない。ことは「日本的」に行われる。
「ただ、この件についての報道をもう少し抑制してくれないかとお願いする。
記事にしないか、あるいは読者の少ない夕刊に記事を掲載してくれないか、と」。
新聞の営業部門はそのメッセージを編集部門に伝える。
記者たちはそのプロセスについては何も知らない。
翌日になって続報はさらに小さな扱いになるか、まったく報道されなくなる。
その場合には紙面に余裕がなかったという理由が用いられる。
しかし、疑惑は無数にある。
本間によれば、彼の著書の出版の後、多くの記者たちが彼のところに取材に来て、
検閲の事例について確認を求めた。
「少なくとも私が知っている例が一つあります。
それはある自動車メーカーが三大日刊紙の一つである毎日新聞に対して
検閲を成功させたことです」と彼は言う。
原発に関しては、検閲はさらに広がり、週刊誌や地方紙にまで及んでいる。
福島の原発事故以来、検閲は停止している。
しかし、電通にとってはこれは新しいビジネスチャンスの到来を意味していた。
福島県産の農作物のプロモーションである。
テレビ広告、新聞広告、駅貼りポスターなどなど。
2011年以来、有名歌手の参加を得て、福島県は県産の梨や米やトマトについて
「福島のプライド」「福島は元気だ」といったプロモーションに対する出費を惜しまなかった。
こういったことのすべてには電通と電通PR(電通のPR担当子会社)という
日本第一位の広告代理店が関与している。
「電通PRは経産省の仕事もしている」と電通PRの広報部長の藤井京子は私たちに説明した。
「私たちは海外のジャーナリストたち、タイとマレーシアのジャーナリストたちのために、
被災地が被害からすでに立ち直っていることを示すために、
東北地方への無料訪問を企画しました。」
それは周辺の放射能を忘れさせるためでもあった。
電通はまた原発広告においても、東電のためにまた強力な経産省と自民党の傍らにあって
特異な地位を占めてきた。
この二つも電通の広告のクライアントである。
このような状況において、電通が「原子力ムラ」の立場に与している
と考えることは可能だろうか。
この問いに私たちを電通タワーの上層階にある彼のオフィスに迎えた河南周作氏は
「われわれはメディアに対する影響力を持ちませんし、政治にも関与しません」と即答した。
しかし、私たちがではなぜ電通は日本の電気会社やEDF(フランス電力)と並んで
原子力ロビーの中心組織である日本原子力産業協会のメンバーであるのかと問うと、
河南周作氏はより用心深くなった。
「そのような団体のことは存じませんが、それは確かなのですか」と
彼は困惑した様子で答えてからスマートフォンを手にした。
「ああ、そうですか。私たちはメンバーです。けれども、
私たちはさまざまな協会のメンバーになっております。
誰かを会議に出席させてくれと言って来る。
誰かが言ってサインする。それだけのことです。」ややあってから、
彼は「私たちは木材製造協会の会員でもあります」と付け加えた。
明らかに彼自身自分の説明に説得力がないと感じていたらしく、他の理屈を見つけ出した。
「ご覧なさい、博報堂も会員です!」と彼は突然声を上げた。
原子力ロビーに関与しているのが電通だけではないことを知って彼はほっとしたようだった。
本間龍によれば、これは原発促進活動の再開の徴である。
「博報堂は二年前から日本原子力産業協会の主要メンバーです」と言いつつ、
彼は福島の事故後に博報堂がこのような関心を示したことに驚いていた。
明らかに、何十年にもわたって原発広告という「金鉱」から遠ざけられていた博報堂は、
福島事故の後に強化されるはずの原発促進広告という「ケーキの分け前」にありつこうと
しているのである。
原発促進広告は2011年の3月11日の事故以来完全に消えている。
東電によるテレビと新聞を使った謝罪広告のあと、
原発の開発事業者と建設事業者たちは広告には消極的であり、
5年間原発についての広告は一つの配信されていない。
だが、原発再稼働がいくつかも法廷で争われ、高浜原発のように稼働停止判決が下され、
国民の多くが原発再稼働に逡巡しているうちに、
原発促進の賭け金はどんどん吊り上がっていった。
2015年の原発再稼働の後、2016年は原発広告のひそやかな再稼働の年となった。
広告はまず原発が設置された地方の地方紙と地方テレビ局に登場した。
本間龍氏は彼の最近の発見を誇らしげに見せてくれた。
「2016年2月から、関西電力は福井新聞に何度か全面広告を打ちました。
福井は高浜原発が再稼働してから一月後に稼働停止の仮処分を受けたところである。
新潟日報と新潟の地方テレビ局では、東電の世界最大の原発
柏崎刈羽原発再稼働のための広告が独特の文脈で登場した。
現在の新潟県知事ははっきりとした反原発の立場にあり、再稼働一般に反対しているが、
彼の任期が終わる年末に選挙がある。
東電による原発広告の再開は新潟の市民たちの怒りに火を点けずにはいなかった。
とくに福島からの避難民たちは広告の停止を求める請願を行った。
これらの広告の伝えるメッセージはどれも同じであり、
電通がその背後にいることを思わせる。
電力会社は原発の安全性を保証するためにあらゆる手立てを尽くしていると約束し、
その一方で、写真は原発労働者たちの姿を前面に押し出して、
福井のような産業の乏しく、原発に依存している地域の雇用問題の琴線に触れてくる。
本間龍氏によれば、これらの広告は氷山の一角に過ぎない。
これらの広告は原子力に関するすべての広報と緊密な関係を持っている。
これらの地方紙は原発反対派の発言についてはごくわずかな紙数しか割かない。
先月公表された報道の自由度についての報告で「国境なき記者団」は
日本を世界72位に格付けした。
これはハンガリーやタンザニアよりも下位である。
日本は6年前はこのランキングで世界11位であった。
東京を訪れた国連の調査員もまた日本のジャーナリストたちが受けている圧力が、
民間でもNHKでも、日々強まっていることについて警告を発した。
問題になっているのは政府による圧力の強化である。
これは特定秘密保護法の施行によって一層強まった。
特定秘密のうちには原子力に関するものも含まれている。
この規定の曖昧な法律は「秘密」情報を漏洩したジャーナリストを投獄すると
恫喝している。
この状況を象徴するように、三人のジャーナリスト、
それぞれ硬骨で知られた人々がテレビのレギュラーを辞職するということが起きた。
その中の一人『報道ステーション』のキャスターであった古舘伊知郎は、
本間龍氏によれば、数年前から原発政策と安倍政権の政治に対する批判的な態度ゆえに、
電通の標的になっていた。
日本の巨大企業の特権大使である電通が、これから後も、
日本で今起きているメディアに対する大がかりな締め付けにおいて
負託された役割を演じ続けることには疑いの余地はない。
↑
独占禁止法の強化ですよw
広告受注は一業種一社まで、電通は自動車産業での広告受注はトヨタのみ、とすること。
すべての業種で徹底させること、違反は独占禁止法違反で厳罰にする。
欧米ではそのはず、日本が異常なだけ。
オリンピックの裏におるのも電通w 裏金の闇w
朝鮮・電通から、キックバックをもらう政治屋の群れ=自公・朝鮮カルト政権、ということ。
オリンピックはどうやらロンドンが奪還するらしいねw
ARON WIESENFELD、二枚目、
「Greenhouse 2012」です。
石原チョン太郎w
◆http://blog.livedoor.jp/jlj001/archives/52137936.html
「ジャーナリスト同盟」通信 2016年05月17日
◎敵もさるもの!<本澤二郎の「日本の風景」(2357)
<敵とは99%の敵、1%・財閥・富豪の巨額脱税王>
敵もさるものである。
パナマ文書の公開日・5月10日に合わせて、
都知事の舛添要一の犯罪的醜聞を準備していた、と政治分析できるだろう。
既に一部で、そうした鋭い分析が公開されている。同意したい。
巨額脱税王で知られる1%・財閥・富豪の犯罪に蓋をかける作戦を、
日本政府あげて取り組んでいる!
そのスケープゴートに、ワルの舛添が選ばれたものだろう。
新聞テレビも舛添特集で膨れ上がっている。まもなく家庭内にも話題が移るだろう?
自業自得に違いないが、それにしても政府の、メディア動員による
悪者政治屋退治も壮観だ!
<パナマ文書隠しに舛添要一都知事事件>
いわずと知れたパナマ文書隠しが、こんな形で表面化するとは筆者も想像できなかった。
まともな野党と言論が存在すれば、甘利証人喚問もしない、パナマ文書の捜査もしない、
東京五輪買収事件追及に逃げを打つ政府に対して、
せめて野党は国会審議を止めて、体当たりで、
事件の真相究明と脱税王の公開を迫って、真相を国民の前に示す場面である。
一挙に安倍退陣に持ち込める局面であろう。
現実はどうか、パナマ文書隠しに都知事の舛添が、いけにえの羊に選ばれて、
目下、新聞テレビで袋叩きにされているレベルだ。
即刻辞任すればいいのに、馬鹿な元タレント学者崩れは、まだ夢を見ているらしい。
彼は学者崩れの政治屋に過ぎなかった。
こんな人物を起用してタレントに育てたテレビ局の責任は?
<官邸が操作する醜聞を立証>
今回の都知事追及問題で判明したことは、新聞テレビを操作することも、
犯罪者を血祭りにすることも、すべて裏で糸を引いている組織は、首相官邸である、
ということである。
当たり前のことだが、捜査機関は官邸の指示で動く、官邸の走狗にすぎない。
そこでは正義を大義にしながら、実は反正義が堂々とまかり通っている。
まともな検事は、早々に辞めている不条理な世界だ。
<舛添もくだらない政治屋だが、石原慎太郎はもっと悪辣>
舛添も金に汚い政治屋、くだらない守銭奴に過ぎなかったが、
石原慎太郎と比較すると、まだ小者に過ぎない。誰もがそう思っている。
昔話を一つ披瀝すると、徳洲会疑獄のさい、フジテレビの取材を受けた。
カメラを回す前に、なんとテレビインタビュー記者が
「石原のことは触れないでください」と陳情してきた。
今はその裏事情がよくわかる。
フジテレビにとって、石原は別格の存在だったのだ。
石原の世話になっていた証拠であろう。
それが現場記者にまで貫かれていたのである。
石原は週3日しか登庁しなかった。
それでも新聞テレビも議会も、大して問題にしなかった。
これは今、考えても不思議だ。
彼の大名旅行もよく知られていた。羽田空港利権や築地市場移転問題など、
疑惑は山のようにあったが、議会も新聞テレビも大々的に追及して報道しなかった。
巨額銀行利権の行方は、いまだうやむやのままである。
この石原利権が、馬鹿な息子たちを、次々とバッジをつけさせてきた背景である
と多くの都民が信じている。
巨額の税金と利権を懐に入れての富豪入り石原一家には、
過去に前例もなく本当に驚く。 都民の民度を証明している。
それも右翼に身を置くことで可能となったのだろう。
右翼と腐敗は深く連動している。
<徳洲会疑獄の主役だったが、官邸がもみ消した!>
筆者も追及した徳洲会疑獄の裏側には、必ず石原の姿が見えていた。
しかも、巨額の金の動きが見えるのだ。
ましてや、ここでは徳田の金庫番が公然と証拠を示すという異例な事件だった。
石原のほかの政治屋も判明していた。 自民党崩壊の場面だった。
その発覚を恐れた官邸は、警視庁に指示して金庫番を捕獲して、
世間から見えなくさせて、事件をもみ消してしまったとされる。
間違いなく事実であろう。 ここでも官邸と徳洲会の利権人脈が見え隠れしていた。
事情通によると、この事件を追及していた朝日新聞の検察担当記者は、
新たな事実を掌握して記事にしたが、
編集局幹部の上司が、紙面に載せなかった、と打ち明けている。
正義に屈した朝日に衝撃を受けたものだ。
<官邸を操る財閥>
権力乱用の首相官邸そのものだが、もう一皮むくと、影の権力が見えてくる。
与党スポンサーの財閥である。
莫大な資金力で、与党を飼いならしてきた1%である。
1%は野党の一部にも資金を流している。
パナマ文書は、まさに彼らに初めての危機を招来させた。
仮に、彼らの脱税資金を国民に還元すれば、消費税は不要なのだ。
消費税をゼロにすれば、年収200万円前後の弱者でも財布を開く。
消費の拡大によって、経済は快適な速度で回るだろう。
それを止めているのが、富豪の巨額脱税事件の存在である。
そのかくかくたる証拠がパナマ文書なのだ。
ゆえに、1%スポンサーの厳命に対して、官邸は必死の蓋かけをさせられることになった、
と判断されても文句言えないだろう。
そのための生け贄が、舛添事件の発覚と分析できるだろう。
<3分の2議席作戦本部は1%>
日本政治の悪しき政治経済構造から見えるくるのは、政権が必死となる憲法破壊、
3分の2議席確保の 裏の作戦本部が、官邸や自民党本部にない
ことが理解できるだろう。
まじめに永田町を見聞してきたジャーナリストの目には見えるはずだ。
大手町(財閥の本丸)の数少ない住人もわかるだろう。
傍観者にとっては、雲の上の話に過ぎないが、これは不幸にして、日本の真実である。
<不甲斐ない野党が心配>
舛添事件は、野党と新聞テレビに、奮起を求めている。
別に血で染まったフランス革命・ロシア革命をまねよ、といいたいのではない。
暴力は100%NOである。
しかしながら、言論の府である議会が責任を果たせないでは、
国民の代表とは言えないだろう。
民進党がなぜ国民の人気が出ないのか、それは国民の期待に沿っていないためだ。
「新聞が報道しないため」は理由にならない。
本気で立ち上がれば、必ず道が開けるだろう。まだまだ命がけとは言えない。不十分だ。
不正腐敗に屈するような野党は、健全な野党とは言えない。恥を知るべきだ。
言論の府としての責任を果たせば、改革への道は必ずや見えてくる。
99%が決起する。 廉恥の政治家集団であるならば、必ず国民の支持をえられる。
<大手新聞テレビの重すぎる犯罪>
筆者は日本記者クラブ会員になって、かなりの時間を経過した。
東京タイムズ政治部長になった時点(鈴木善幸内閣)で、
めでたくクラブメンバーになった。
「ようやく1人前のジャーナリストになった」との感慨にふけったことを、
現在も覚えている。 今はどうか。
いまは、いつ辞めるか、との気持ちが先行する。
日本記者クラブがマスコミの殿堂と胸を張れるか、
聞いてあきれるような、情けない存在でしかない。
真実を追及する正義の言論機関とはいえない、情けない日本記者クラブである。
大手の新聞テレビの責任は重大である。
日々、重大な犯罪に加担している。
ARON WIESENFELD、三枚目、
「Witness 目撃者 2015」です。
ピカ・ドーンの目撃者は多い、
◆http://melma.com/backnumber_45206_6367920/
宮崎正弘の国際ニュース・早読み 発行日:5/17
読者の声
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(読者の声1)
オバマ大統領の広島訪問が話題になっていますが、
やたら「謝罪」にこだわるマスコミは半島系に汚染されています。
そんな雑音はともかく、アメリカ人の本音を記した本があります。
「私はヒロシマ、ナガサキに原爆を投下した」
チャールズ・W. スウィーニー(著) 原書房 2000年
著者はアメリカ陸軍の登録機すべてを操縦したという操縦のエキスパート、
1995年にスミソニアン博物館で企画された原爆展が
あまりに被害者寄りだとする退役軍人の声を反映した内容ですが、
戦時中のアメリカ陸軍の雰囲気や戦略爆撃機B-29の開発にまつわる話、
原爆の開発が時間との戦いだった様子が描かれます。
騎兵隊上がりが上層部を占める陸軍で航空部隊は傍流、
飛行士の昇進は非常に遅いところなど米軍も保守的だった。
著者は米軍機のテスト・パイロットになるのですが、
試験機には英国仕様の機体もあったという。
法律上、新品の機体は輸出できないため、試験飛行をした機体を
中古としてカナダに売却、カナダから英国に輸出という体裁をとる迂回輸出です。
B-29の開発ではティベッツ中佐(エノラ・ゲイの機長ティベッツ大佐)が
あらゆる干渉を撥ねつける様子が描かれます。
テスト・パイロットが足りなくなると民間の女性飛行士を連れてくる。
B-29の操縦性に不満をもつ飛行士たちには
女性飛行士だけでB-29を飛ばせることを見せつけ黙らせる。
戦時下とはいえB-29を操縦できる女性飛行士がいたというアメリカの底力は侮れません。
アメリカらしいと思ったのがネバダ州とユタ州にまたがる街の話、
州の境界線上にあるレストランの半分は禁酒なのにもう半分では賭博もOK。
こんな多様性もアメリカの強みなのでしょう。
原爆投下が現実目標となるや、ネバダ州の基地で模擬爆弾を積むための改装、
爆弾の信管のテストが繰り返されます。
信管が早く反応し過ぎるとB-29の機体もろとも吹き飛ばされてしまう
という命がけの試験です。
欧州戦線でのアイゼンハワーとルメイの確執、
1944年末にドイツ敗北間近と米軍主力を太平洋方面に移動させたところ、
バルジの戦いでドイツの反攻にあい、
新兵ばかりの米軍は大打撃をくらったのはアイゼンハワーの判断ミスだとする。
太平洋戦線では航空軍は本来なら地域総司令官のマッカーサーの指揮下に入るはずなのに、
なぜか総司令部はワシントンに置かれたという。
マッカーサーに指揮させるわけにはいかないという陸軍上層部の判断ですが、
マッカーサーは陸軍部内でよほど嫌われていたのでしょう。
テニアンから日本本土空爆へ向うB-29、
最大離陸重量を超過する爆弾を積み離陸に失敗、墜落する機体も多かったという。
原爆投下は三機一組、原爆投下機+データ収集観測機+写真・映像撮影機です。
原爆実験は地上に固定されたもので、空中投下による原爆は広島がぶっつけ本番。
広島での原爆投下が成功したエノラ・ゲイ、
テニアンに帰還したらお祭り騒ぎ。
搭乗員が後に精神に異常を来したとか、後悔の言葉を綴ったというのは
エノラ・ゲイ搭乗員や搭乗員でもない人間のホラ話を
新聞が裏も取らず書き散らかした嘘だという。
二度目の原爆投下は小倉が第一目標、ところが前日の八幡爆撃による火災の煙で
視界不良、長崎へ予定を変更。
二度目のミッションでは撮影機に割り込んだ機長が
当初の予定を守らず会合地点で落ち合えず、
空中待機のため燃料を消費しすぎて 原爆投下後は沖縄へと向かうが
危うく燃料切れで墜落もあり得たというほどギリギリの状況だった。
全体を通して読むとアメリカも戦争に勝利するため必死だった。
さらに膨大な予算をつぎ込んだマンハッタン計画が成功した以上、
科学者・軍人・政治家の頭に
実戦で試してみたいという思いが強かったことがわかります。
日本軍の官僚主義とアメリカ軍の実力主義の比較として読んでも面白い。
大恐慌以降のデモや失業問題で分裂するアメリカの社会を
真珠湾攻撃を機に反日でまとめ上げたルーズベルト、
ある意味では偉大な大統領だったといえるのでしょう。
(PB生、千葉)
↑
手前の亡父は以前にも書きましたが大戦末期は「海軍大村基地所属」の主計兵曹。
B29の襲来とピカ・ドーンを遠望しております。
救援に動員され被爆したようです、高血圧に悩まされ52で死亡。
現時点では、「原爆は日本製」には疑問を留保したい。
Aron (born.1972, Washington D.C.) currently lives in San Diego, California.
人間の暗い側面を表現し続け、U.S.の終末を見据えるアーティスト。
☆http://www.aronwiesenfeld.com/ 作
「Captive 監禁されている人 2015」です。
☆晴れ、気温高め。
黒幕としての「電通」、
◆http://blog.tatsuru.com/
内田樹の研究室 2016.05.15
◎電通は日本のメディアを支配しているのか?
「電通は日本のメディアを支配しているのか?」
と題するフランスのネット記事を翻訳しておく。
記者はMathieu GAULÈNE。配信は5月13日。
プリントアウトしたらA48枚に及ぶ長い記事だった。
手の空いているときにちょっとずつ訳したら、7000字になった。
電通は日本のメディアを支配しているのか?
Mathieu GAULÈNE • Publié le 13.05.2016
☆http://www.inaglobal.fr/television/article/
le-publicitaire-dentsu-tire-t-il-les-ficelles-des-medias-japonais-9000
電通は世界第五位のコミュニケーショングループで、
日本の広告市場の過半を握っている。
日本のメディアの自由に、とりわけ原子力産業について語る場合の
メディアの自由に、強い影響力を行使している。
参院選の夜、型破りの反原発候補者であった元俳優の山本太郎は
どこの政党の支持も受けず、ツイッターで選挙運動を展開してきたが、
東京の参院議席を獲得した。
メディアの検閲を受けながら、この熱情的な若い候補者は
原発と並んでメディアに対しても激しい批判を向けていた。
メディアは「広告代理店の支配下にあり、それゆえ電力会社に買収されている」
「原発に関するすべての情報をシステマティックに検閲している」
と彼は主張したのである。
あるテレビ局が彼に放送の最後に発言機会を与えたが、
まずスタジオにいるジャーナリストに業界擁護の弁明をさせた。
画面では、若い参院議員は返答のために1分弱の時間しか与えられなかった。
「僕は簡単な例を挙げます。これから食糧はキロ当たり100ベクレルまで
含有することができる。それは食事を摂るだけで被曝するということを意味しています。
しかし、このことをテレビは放送していない」
そこまで言ったところで山本は発言を遮られた。
番組終了のジングルが鳴り、スタジオの司会者は嘲笑しながら番組の終了を告げた。
広告は文字通り日本全土を覆い尽くしている。
列車の中も駅構内もポスターが所狭しと貼られ、スクリーンが並んでいる。
ビルの上には巨大な看板が立ち、車には巨大なポスターが貼り付けられ、
街路にはコマーシャルソングが響き渡っている。
小便器の上に広告のスクリーンがあるレストランさえある。
この広告の帝国においてメディアも例外ではいられない。
新聞雑誌は、フランスと同じく、相当の頁数を広告に割いているが、
それ以上なのがテレビである。
放送はスポンサーの告知から始まり、以後、五分おきに短時間のスポット広告が、
それも同一スポンサーの広告が番組を中断する。
考える時間などない。
ほとんどのテレビ局はパチンコ業界のようなプログラムを提供している。
目障りな色彩、絶えざる騒音、中学生なみの俗悪な笑い。
このテレビという曲馬館のような騒ぎにおいて、広告は世界的な巨人、
電通によってコントロールされている。
電通は世界第五位のグループ企業であり、広告業界トップの代理店である。
日本における第二位の会社であるライバル博報堂と共に、
二社は「電博」と呼ばれ、広告、PR,メディアの監視を集中的に行い、
国内外の大企業・自治体、政党あるいは政府のための危機管理を担当し、
マーケットの70%を占有している。
この広告帝国が日本のメディアの論調を決定していると批判する人々がいる。
電通の重要性を表わす数値を掲げる。
2015年において、グループは70億ユーロの売り上げを達成した。
これは同時期のFrançais Publicis の売り上げ96億ユーロに続く数字である。
ビジネスの中心はテレビ広告。 どれもいずれ劣らず突飛なものである。
例えば電通は10年前にSoftbankの「白戸家」シリーズを始めた。
このCMでは父親が犬で、長男がアメリカの黒人俳優で、
家政婦がトミー・リー・ジョーンズである。
2013年、グループは英国のAegis を37億ユーロで買収し、
ロンドンに電通Aegisネットワークを立ち上げて、国際的な企業に拡大した。
この国際的なネットワークは世界140カ国に拡がる10社ほどの広告代理店を擁し、
デジタル・マーケティングを中心に、盛んな活動を展開している。
国際市場で存在感を示し、その売り上げはグループの半分以上
(2015年で54.3%)に及ぶ。
電通の社員は世界で47000人、日本に7000人いる。
汐留のビジネス街、日本テレビ、フジテレビ、朝日新聞に隣接して
電通タワーがあり、その偉容は辺りを圧している。
デザインはフランスの建築家ジャン・ヌーヴェル、
軽やかな曲線とガラスの仕切り壁にはいかなる突起物もない。
建物の中では、グループの広報部長河南周作が満面の笑みで私たちを迎えてくれる。
一階はオノ・ヨーコの白いチェスボードをはじめとする現代美術作品が並べられている。
そこからエレベーターで社員たちは違う階のそれぞれの部署に向かう。
グループはそれぞれの業界のトップ5を顧客に持っている。
「それぞれの業界で競合する会社のために働く社員は
決して交わらないようにされております」と河南は私たちに保証してくれた。
電通は見たところ透明である。
だが、そのイメージはそれほどに滑らかなものだろうか。
2012年に出版されたある本の中で、本間龍は電通の装飾の裏側について
ある程度のことを書いた。
電通がその上得意の一つである東京電力のために
メディアをきびしく統制していることである。
本間は広告代理店のハーレムの外側にいる人間ではない。
彼は18年間業界二位の博報堂で働いていた。
詐欺罪で1年の禁固刑を受けた後、彼は作家生活に身を投じ、
最初にまず自身の監獄体験を書き、次に彼が広告業界で過ごした日々について書いた。
彼がメディアを丸め込むために用いたさまざまな方法について。
2012年、彼の著書『電通と原発報道』は
ほとんどのメディアが黙殺したにもかかわらず、数ヶ月の間ベストセラーとなった。
本間は著書で 無視することのできない媒介者である電通が メディアに対して、
原発について 書いてよいことと 書いていけないこと、
どういう条件の場合にそうなるかを暗黙裏に指示するメカニズムを仔細に記述した。
「電通は特別な地位を占めています。
日本における原子力広告市場の80%を占有しているからです。」
本間龍氏は上野駅の喫茶店で行われたインタビューで私たちにそう指摘した。
2012年、広告市場において、地域企業である東電は
広告費については10位に過ぎず、三菱重工業より下位にいた。
その後、福島原発事故の直前に、東電は200万ユーロ以上を広告に投じた。
10社ある地域の電力会社の広告費総額は700万ユーロに達した。
この数十年、とりわけいくつも事故が続いて
原子力に対する疑念が高まってきた1990年以降、
東電と他の電力会社は広告スポットとジャーナリズムへの広告記事を増大させていった。
テレビでは、この広告出稿はそれだけであらゆる批判を封じることができる。
大企業はトークショーや1クール丸ごとのシリーズをしばしば提供する。
自己検閲は一般に行われており、これに異議を唱えることは事実上不可能となっている。
しばしばドキュメンタリー番組が電力会社の連合組織であり、
原子力ロビーの中心的なアクターである 電事連 によって製作され、
原発事業の利点を宣伝する。
原発反対の声はなかなか聞き届けられない。
それをすれば貴重なスポンサーを失う怖れがあるからである。
福島の事故後、山本太郎はその犠牲にされた。
彼はタレントとしてそれまでスタジオにレギュラー出演していたが、
反原発の立場を明らかにしたために、いきなりテレビ界そして映画界においてさえ、
「ペルソナ・ノン・グラータ」(好ましからざる人物)に認定された。
今に始まったことではない。
ずっと以前から、広瀬隆や小出裕章のような反原発運動の中心人物たち、
ベストセラー作家は 事実上テレビスタジオに登場することがなかった。
福島の事故以後も。
本間が告発するこの「メディア支配」は原発にのみかかわるものではない。
彼の著書では、トヨタのアクセルペダルの不良についての
リコール事件についても言及している。
事件が日本のメディアで報道されるのは、
トヨタの社長がアメリカ議会で謝罪した後のことである。
「広告代理店が彼らのクライアントの企業イメージに傷がつかないように
報道を抑えていたことが確かだ。しかし、スキャンダルがあまりにも大きく、
海外でも報じられたので、日本のメディアはやむなくこれを報道する
ことになったのである。」と本間は語る。
テレビ朝日の『報道ステーション』は質の高い報道番組で、
しばしば政府批判を行っているが、これを除くと、
テレビのニュース番組はどれも凡庸なもので、雑報的なものを前面に報道し、
特定の企業の評判にかかわるような主題はまれにしか扱わず、
政府発表をそのまま留保なしに中継し、
国際ニュースは日本人の在外国民がかかわる場合にしか報道しない。
これらの民間のメディアの中にあって、NHKだけが
受信者から直接受信料を徴収することで、この広告帝国の支配を免れており、
独立性を誇っている。
だが、残念ながら、NHKの状況はさらに劣悪である。
会長籾井勝人はNHKは安倍政権のスポークスマンであるべきだと
何の遠慮もなく繰り返し断言している。
200人の退職者を前にした最近の宣言の中で、籾井は
NHKの記者たちに九州での地震については
当局からの確かな公式発表と地震が列島南部のみを伝えることで満足するように、
また列島南部で稼働中の原発に地震が与えるリスクについては
独立的な専門家の意見には耳を貸さないように厳命した。
電通は共同通信、時事通信というふたつの通信社と特別な関係を持っている。
いずれも電通の歴史的な株主であり、それには理由がある。
この三つの会社は戦前は同一の企業体を形成していたのである。
新聞報道はテレビに比べると統制がむずかしい。
この点においては電通は広告出稿しかできないが、
ある種のアフターサービスを提供している。
メディアの監視、危機管理コンサルティング、広告サービスを経由しての
新聞への間接的な圧力の行使である。
フランスでは企業グループによる出版社の買収は
企業からメディアへ直接的な圧力のリスクがかかることを意味しているが、
日本では、圧力の行使は広告代理店を経由して行われている。
広告代理店がメディアに対する企業サイドの「大使」の役割を演じているからである。
「どういうようにそれが行われているか、私は熟知しています」と本間は言う。
「私は博報堂にいたとき、まさにそのような仕事をしていたからです。
工場や発電所で何かトラブルが起きる。
メディアがそれについて報道すると、電通がただちに介入してきます。
そして、問題になっている新聞の営業部門を訪れます。」
別に声を荒立てるわけではない。ことは「日本的」に行われる。
「ただ、この件についての報道をもう少し抑制してくれないかとお願いする。
記事にしないか、あるいは読者の少ない夕刊に記事を掲載してくれないか、と」。
新聞の営業部門はそのメッセージを編集部門に伝える。
記者たちはそのプロセスについては何も知らない。
翌日になって続報はさらに小さな扱いになるか、まったく報道されなくなる。
その場合には紙面に余裕がなかったという理由が用いられる。
しかし、疑惑は無数にある。
本間によれば、彼の著書の出版の後、多くの記者たちが彼のところに取材に来て、
検閲の事例について確認を求めた。
「少なくとも私が知っている例が一つあります。
それはある自動車メーカーが三大日刊紙の一つである毎日新聞に対して
検閲を成功させたことです」と彼は言う。
原発に関しては、検閲はさらに広がり、週刊誌や地方紙にまで及んでいる。
福島の原発事故以来、検閲は停止している。
しかし、電通にとってはこれは新しいビジネスチャンスの到来を意味していた。
福島県産の農作物のプロモーションである。
テレビ広告、新聞広告、駅貼りポスターなどなど。
2011年以来、有名歌手の参加を得て、福島県は県産の梨や米やトマトについて
「福島のプライド」「福島は元気だ」といったプロモーションに対する出費を惜しまなかった。
こういったことのすべてには電通と電通PR(電通のPR担当子会社)という
日本第一位の広告代理店が関与している。
「電通PRは経産省の仕事もしている」と電通PRの広報部長の藤井京子は私たちに説明した。
「私たちは海外のジャーナリストたち、タイとマレーシアのジャーナリストたちのために、
被災地が被害からすでに立ち直っていることを示すために、
東北地方への無料訪問を企画しました。」
それは周辺の放射能を忘れさせるためでもあった。
電通はまた原発広告においても、東電のためにまた強力な経産省と自民党の傍らにあって
特異な地位を占めてきた。
この二つも電通の広告のクライアントである。
このような状況において、電通が「原子力ムラ」の立場に与している
と考えることは可能だろうか。
この問いに私たちを電通タワーの上層階にある彼のオフィスに迎えた河南周作氏は
「われわれはメディアに対する影響力を持ちませんし、政治にも関与しません」と即答した。
しかし、私たちがではなぜ電通は日本の電気会社やEDF(フランス電力)と並んで
原子力ロビーの中心組織である日本原子力産業協会のメンバーであるのかと問うと、
河南周作氏はより用心深くなった。
「そのような団体のことは存じませんが、それは確かなのですか」と
彼は困惑した様子で答えてからスマートフォンを手にした。
「ああ、そうですか。私たちはメンバーです。けれども、
私たちはさまざまな協会のメンバーになっております。
誰かを会議に出席させてくれと言って来る。
誰かが言ってサインする。それだけのことです。」ややあってから、
彼は「私たちは木材製造協会の会員でもあります」と付け加えた。
明らかに彼自身自分の説明に説得力がないと感じていたらしく、他の理屈を見つけ出した。
「ご覧なさい、博報堂も会員です!」と彼は突然声を上げた。
原子力ロビーに関与しているのが電通だけではないことを知って彼はほっとしたようだった。
本間龍によれば、これは原発促進活動の再開の徴である。
「博報堂は二年前から日本原子力産業協会の主要メンバーです」と言いつつ、
彼は福島の事故後に博報堂がこのような関心を示したことに驚いていた。
明らかに、何十年にもわたって原発広告という「金鉱」から遠ざけられていた博報堂は、
福島事故の後に強化されるはずの原発促進広告という「ケーキの分け前」にありつこうと
しているのである。
原発促進広告は2011年の3月11日の事故以来完全に消えている。
東電によるテレビと新聞を使った謝罪広告のあと、
原発の開発事業者と建設事業者たちは広告には消極的であり、
5年間原発についての広告は一つの配信されていない。
だが、原発再稼働がいくつかも法廷で争われ、高浜原発のように稼働停止判決が下され、
国民の多くが原発再稼働に逡巡しているうちに、
原発促進の賭け金はどんどん吊り上がっていった。
2015年の原発再稼働の後、2016年は原発広告のひそやかな再稼働の年となった。
広告はまず原発が設置された地方の地方紙と地方テレビ局に登場した。
本間龍氏は彼の最近の発見を誇らしげに見せてくれた。
「2016年2月から、関西電力は福井新聞に何度か全面広告を打ちました。
福井は高浜原発が再稼働してから一月後に稼働停止の仮処分を受けたところである。
新潟日報と新潟の地方テレビ局では、東電の世界最大の原発
柏崎刈羽原発再稼働のための広告が独特の文脈で登場した。
現在の新潟県知事ははっきりとした反原発の立場にあり、再稼働一般に反対しているが、
彼の任期が終わる年末に選挙がある。
東電による原発広告の再開は新潟の市民たちの怒りに火を点けずにはいなかった。
とくに福島からの避難民たちは広告の停止を求める請願を行った。
これらの広告の伝えるメッセージはどれも同じであり、
電通がその背後にいることを思わせる。
電力会社は原発の安全性を保証するためにあらゆる手立てを尽くしていると約束し、
その一方で、写真は原発労働者たちの姿を前面に押し出して、
福井のような産業の乏しく、原発に依存している地域の雇用問題の琴線に触れてくる。
本間龍氏によれば、これらの広告は氷山の一角に過ぎない。
これらの広告は原子力に関するすべての広報と緊密な関係を持っている。
これらの地方紙は原発反対派の発言についてはごくわずかな紙数しか割かない。
先月公表された報道の自由度についての報告で「国境なき記者団」は
日本を世界72位に格付けした。
これはハンガリーやタンザニアよりも下位である。
日本は6年前はこのランキングで世界11位であった。
東京を訪れた国連の調査員もまた日本のジャーナリストたちが受けている圧力が、
民間でもNHKでも、日々強まっていることについて警告を発した。
問題になっているのは政府による圧力の強化である。
これは特定秘密保護法の施行によって一層強まった。
特定秘密のうちには原子力に関するものも含まれている。
この規定の曖昧な法律は「秘密」情報を漏洩したジャーナリストを投獄すると
恫喝している。
この状況を象徴するように、三人のジャーナリスト、
それぞれ硬骨で知られた人々がテレビのレギュラーを辞職するということが起きた。
その中の一人『報道ステーション』のキャスターであった古舘伊知郎は、
本間龍氏によれば、数年前から原発政策と安倍政権の政治に対する批判的な態度ゆえに、
電通の標的になっていた。
日本の巨大企業の特権大使である電通が、これから後も、
日本で今起きているメディアに対する大がかりな締め付けにおいて
負託された役割を演じ続けることには疑いの余地はない。
↑
独占禁止法の強化ですよw
広告受注は一業種一社まで、電通は自動車産業での広告受注はトヨタのみ、とすること。
すべての業種で徹底させること、違反は独占禁止法違反で厳罰にする。
欧米ではそのはず、日本が異常なだけ。
オリンピックの裏におるのも電通w 裏金の闇w
朝鮮・電通から、キックバックをもらう政治屋の群れ=自公・朝鮮カルト政権、ということ。
オリンピックはどうやらロンドンが奪還するらしいねw
ARON WIESENFELD、二枚目、
「Greenhouse 2012」です。
石原チョン太郎w
◆http://blog.livedoor.jp/jlj001/archives/52137936.html
「ジャーナリスト同盟」通信 2016年05月17日
◎敵もさるもの!<本澤二郎の「日本の風景」(2357)
<敵とは99%の敵、1%・財閥・富豪の巨額脱税王>
敵もさるものである。
パナマ文書の公開日・5月10日に合わせて、
都知事の舛添要一の犯罪的醜聞を準備していた、と政治分析できるだろう。
既に一部で、そうした鋭い分析が公開されている。同意したい。
巨額脱税王で知られる1%・財閥・富豪の犯罪に蓋をかける作戦を、
日本政府あげて取り組んでいる!
そのスケープゴートに、ワルの舛添が選ばれたものだろう。
新聞テレビも舛添特集で膨れ上がっている。まもなく家庭内にも話題が移るだろう?
自業自得に違いないが、それにしても政府の、メディア動員による
悪者政治屋退治も壮観だ!
<パナマ文書隠しに舛添要一都知事事件>
いわずと知れたパナマ文書隠しが、こんな形で表面化するとは筆者も想像できなかった。
まともな野党と言論が存在すれば、甘利証人喚問もしない、パナマ文書の捜査もしない、
東京五輪買収事件追及に逃げを打つ政府に対して、
せめて野党は国会審議を止めて、体当たりで、
事件の真相究明と脱税王の公開を迫って、真相を国民の前に示す場面である。
一挙に安倍退陣に持ち込める局面であろう。
現実はどうか、パナマ文書隠しに都知事の舛添が、いけにえの羊に選ばれて、
目下、新聞テレビで袋叩きにされているレベルだ。
即刻辞任すればいいのに、馬鹿な元タレント学者崩れは、まだ夢を見ているらしい。
彼は学者崩れの政治屋に過ぎなかった。
こんな人物を起用してタレントに育てたテレビ局の責任は?
<官邸が操作する醜聞を立証>
今回の都知事追及問題で判明したことは、新聞テレビを操作することも、
犯罪者を血祭りにすることも、すべて裏で糸を引いている組織は、首相官邸である、
ということである。
当たり前のことだが、捜査機関は官邸の指示で動く、官邸の走狗にすぎない。
そこでは正義を大義にしながら、実は反正義が堂々とまかり通っている。
まともな検事は、早々に辞めている不条理な世界だ。
<舛添もくだらない政治屋だが、石原慎太郎はもっと悪辣>
舛添も金に汚い政治屋、くだらない守銭奴に過ぎなかったが、
石原慎太郎と比較すると、まだ小者に過ぎない。誰もがそう思っている。
昔話を一つ披瀝すると、徳洲会疑獄のさい、フジテレビの取材を受けた。
カメラを回す前に、なんとテレビインタビュー記者が
「石原のことは触れないでください」と陳情してきた。
今はその裏事情がよくわかる。
フジテレビにとって、石原は別格の存在だったのだ。
石原の世話になっていた証拠であろう。
それが現場記者にまで貫かれていたのである。
石原は週3日しか登庁しなかった。
それでも新聞テレビも議会も、大して問題にしなかった。
これは今、考えても不思議だ。
彼の大名旅行もよく知られていた。羽田空港利権や築地市場移転問題など、
疑惑は山のようにあったが、議会も新聞テレビも大々的に追及して報道しなかった。
巨額銀行利権の行方は、いまだうやむやのままである。
この石原利権が、馬鹿な息子たちを、次々とバッジをつけさせてきた背景である
と多くの都民が信じている。
巨額の税金と利権を懐に入れての富豪入り石原一家には、
過去に前例もなく本当に驚く。 都民の民度を証明している。
それも右翼に身を置くことで可能となったのだろう。
右翼と腐敗は深く連動している。
<徳洲会疑獄の主役だったが、官邸がもみ消した!>
筆者も追及した徳洲会疑獄の裏側には、必ず石原の姿が見えていた。
しかも、巨額の金の動きが見えるのだ。
ましてや、ここでは徳田の金庫番が公然と証拠を示すという異例な事件だった。
石原のほかの政治屋も判明していた。 自民党崩壊の場面だった。
その発覚を恐れた官邸は、警視庁に指示して金庫番を捕獲して、
世間から見えなくさせて、事件をもみ消してしまったとされる。
間違いなく事実であろう。 ここでも官邸と徳洲会の利権人脈が見え隠れしていた。
事情通によると、この事件を追及していた朝日新聞の検察担当記者は、
新たな事実を掌握して記事にしたが、
編集局幹部の上司が、紙面に載せなかった、と打ち明けている。
正義に屈した朝日に衝撃を受けたものだ。
<官邸を操る財閥>
権力乱用の首相官邸そのものだが、もう一皮むくと、影の権力が見えてくる。
与党スポンサーの財閥である。
莫大な資金力で、与党を飼いならしてきた1%である。
1%は野党の一部にも資金を流している。
パナマ文書は、まさに彼らに初めての危機を招来させた。
仮に、彼らの脱税資金を国民に還元すれば、消費税は不要なのだ。
消費税をゼロにすれば、年収200万円前後の弱者でも財布を開く。
消費の拡大によって、経済は快適な速度で回るだろう。
それを止めているのが、富豪の巨額脱税事件の存在である。
そのかくかくたる証拠がパナマ文書なのだ。
ゆえに、1%スポンサーの厳命に対して、官邸は必死の蓋かけをさせられることになった、
と判断されても文句言えないだろう。
そのための生け贄が、舛添事件の発覚と分析できるだろう。
<3分の2議席作戦本部は1%>
日本政治の悪しき政治経済構造から見えるくるのは、政権が必死となる憲法破壊、
3分の2議席確保の 裏の作戦本部が、官邸や自民党本部にない
ことが理解できるだろう。
まじめに永田町を見聞してきたジャーナリストの目には見えるはずだ。
大手町(財閥の本丸)の数少ない住人もわかるだろう。
傍観者にとっては、雲の上の話に過ぎないが、これは不幸にして、日本の真実である。
<不甲斐ない野党が心配>
舛添事件は、野党と新聞テレビに、奮起を求めている。
別に血で染まったフランス革命・ロシア革命をまねよ、といいたいのではない。
暴力は100%NOである。
しかしながら、言論の府である議会が責任を果たせないでは、
国民の代表とは言えないだろう。
民進党がなぜ国民の人気が出ないのか、それは国民の期待に沿っていないためだ。
「新聞が報道しないため」は理由にならない。
本気で立ち上がれば、必ず道が開けるだろう。まだまだ命がけとは言えない。不十分だ。
不正腐敗に屈するような野党は、健全な野党とは言えない。恥を知るべきだ。
言論の府としての責任を果たせば、改革への道は必ずや見えてくる。
99%が決起する。 廉恥の政治家集団であるならば、必ず国民の支持をえられる。
<大手新聞テレビの重すぎる犯罪>
筆者は日本記者クラブ会員になって、かなりの時間を経過した。
東京タイムズ政治部長になった時点(鈴木善幸内閣)で、
めでたくクラブメンバーになった。
「ようやく1人前のジャーナリストになった」との感慨にふけったことを、
現在も覚えている。 今はどうか。
いまは、いつ辞めるか、との気持ちが先行する。
日本記者クラブがマスコミの殿堂と胸を張れるか、
聞いてあきれるような、情けない存在でしかない。
真実を追及する正義の言論機関とはいえない、情けない日本記者クラブである。
大手の新聞テレビの責任は重大である。
日々、重大な犯罪に加担している。
ARON WIESENFELD、三枚目、
「Witness 目撃者 2015」です。
ピカ・ドーンの目撃者は多い、
◆http://melma.com/backnumber_45206_6367920/
宮崎正弘の国際ニュース・早読み 発行日:5/17
読者の声
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♪
(読者の声1)
オバマ大統領の広島訪問が話題になっていますが、
やたら「謝罪」にこだわるマスコミは半島系に汚染されています。
そんな雑音はともかく、アメリカ人の本音を記した本があります。
「私はヒロシマ、ナガサキに原爆を投下した」
チャールズ・W. スウィーニー(著) 原書房 2000年
著者はアメリカ陸軍の登録機すべてを操縦したという操縦のエキスパート、
1995年にスミソニアン博物館で企画された原爆展が
あまりに被害者寄りだとする退役軍人の声を反映した内容ですが、
戦時中のアメリカ陸軍の雰囲気や戦略爆撃機B-29の開発にまつわる話、
原爆の開発が時間との戦いだった様子が描かれます。
騎兵隊上がりが上層部を占める陸軍で航空部隊は傍流、
飛行士の昇進は非常に遅いところなど米軍も保守的だった。
著者は米軍機のテスト・パイロットになるのですが、
試験機には英国仕様の機体もあったという。
法律上、新品の機体は輸出できないため、試験飛行をした機体を
中古としてカナダに売却、カナダから英国に輸出という体裁をとる迂回輸出です。
B-29の開発ではティベッツ中佐(エノラ・ゲイの機長ティベッツ大佐)が
あらゆる干渉を撥ねつける様子が描かれます。
テスト・パイロットが足りなくなると民間の女性飛行士を連れてくる。
B-29の操縦性に不満をもつ飛行士たちには
女性飛行士だけでB-29を飛ばせることを見せつけ黙らせる。
戦時下とはいえB-29を操縦できる女性飛行士がいたというアメリカの底力は侮れません。
アメリカらしいと思ったのがネバダ州とユタ州にまたがる街の話、
州の境界線上にあるレストランの半分は禁酒なのにもう半分では賭博もOK。
こんな多様性もアメリカの強みなのでしょう。
原爆投下が現実目標となるや、ネバダ州の基地で模擬爆弾を積むための改装、
爆弾の信管のテストが繰り返されます。
信管が早く反応し過ぎるとB-29の機体もろとも吹き飛ばされてしまう
という命がけの試験です。
欧州戦線でのアイゼンハワーとルメイの確執、
1944年末にドイツ敗北間近と米軍主力を太平洋方面に移動させたところ、
バルジの戦いでドイツの反攻にあい、
新兵ばかりの米軍は大打撃をくらったのはアイゼンハワーの判断ミスだとする。
太平洋戦線では航空軍は本来なら地域総司令官のマッカーサーの指揮下に入るはずなのに、
なぜか総司令部はワシントンに置かれたという。
マッカーサーに指揮させるわけにはいかないという陸軍上層部の判断ですが、
マッカーサーは陸軍部内でよほど嫌われていたのでしょう。
テニアンから日本本土空爆へ向うB-29、
最大離陸重量を超過する爆弾を積み離陸に失敗、墜落する機体も多かったという。
原爆投下は三機一組、原爆投下機+データ収集観測機+写真・映像撮影機です。
原爆実験は地上に固定されたもので、空中投下による原爆は広島がぶっつけ本番。
広島での原爆投下が成功したエノラ・ゲイ、
テニアンに帰還したらお祭り騒ぎ。
搭乗員が後に精神に異常を来したとか、後悔の言葉を綴ったというのは
エノラ・ゲイ搭乗員や搭乗員でもない人間のホラ話を
新聞が裏も取らず書き散らかした嘘だという。
二度目の原爆投下は小倉が第一目標、ところが前日の八幡爆撃による火災の煙で
視界不良、長崎へ予定を変更。
二度目のミッションでは撮影機に割り込んだ機長が
当初の予定を守らず会合地点で落ち合えず、
空中待機のため燃料を消費しすぎて 原爆投下後は沖縄へと向かうが
危うく燃料切れで墜落もあり得たというほどギリギリの状況だった。
全体を通して読むとアメリカも戦争に勝利するため必死だった。
さらに膨大な予算をつぎ込んだマンハッタン計画が成功した以上、
科学者・軍人・政治家の頭に
実戦で試してみたいという思いが強かったことがわかります。
日本軍の官僚主義とアメリカ軍の実力主義の比較として読んでも面白い。
大恐慌以降のデモや失業問題で分裂するアメリカの社会を
真珠湾攻撃を機に反日でまとめ上げたルーズベルト、
ある意味では偉大な大統領だったといえるのでしょう。
(PB生、千葉)
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手前の亡父は以前にも書きましたが大戦末期は「海軍大村基地所属」の主計兵曹。
B29の襲来とピカ・ドーンを遠望しております。
救援に動員され被爆したようです、高血圧に悩まされ52で死亡。
現時点では、「原爆は日本製」には疑問を留保したい。